2019年6月29日土曜日

桂岡の家 外装&内装工事

現在「桂岡の家」は内装と外装二手に分かれて現場が進行中。写真は和室の窓廻りの納まり。

上階の結露水の後が刻まれた鴨居に新たな枠廻りを追加。さすがに築50年の内装となると当時は一般的でも今となっては入手困難な材料や仕事も多い。ここをしっかり押さえておかないと開口部を変えた部屋の内装を全てやり替えねばならなくなる。

予算もさることながらどこで内装と外装のけりを付けるのか、事前にしっかり決めておかないと工期もずるずると伸びるばかりとなる。写真は当時の外付けサッシの近似寸法で現在の半外付けサッシを組んだために生じた窓下の隙間を見事に納めたところ。
 
当時と同じ赤ラワンをクリア塗装すれば風合いは馴染んで分からなくできる。そんな玄人技を見せてくれたのはS棟梁のお父上。
 
やっぱこういう個別に細かい仕事は年長の棟梁の技が冴えます。うーん元からこんな風に作ってあったみたい。(笑)

うーんきれい・・・ケーシング風の昭和チックな納まりが泣かせます。

これこれ・・・柱に溝掘りして直接L型ケーシング風。昭和です!(笑)
 
ちなみに既存の四方枠の中に新たなラワンで枠を組みます。
 

北面から道南地方原産の杉材を貼っているところ。こちらはS棟梁(息子さん)が担当です。

裏側からどんどん貼り始めています。

緑に馴染む道南杉。形になって参りました(笑)
 
今日はマイルスでも聞きましょう!

2019年6月28日金曜日

芦別の家 断熱工事

芦別の家の断熱工事が晴天の下順調に進行中です。まずはビニールの上に210(38×235)を455mm間隔に並べて。

まずは1層目に140mmのGW(グラスウール)を充填します。
 
次に2層目のGW100mmを充填して合計約240mm分。丁度、210分が完了。今度は直行方向に45×105をこれまた455mm間隔で並べて・・・
3層目のGW105mmを充填。
 
終わったところで屋根全面に3mの幅広タイベックを貼って

 
通気垂木(45×105)を455mm間隔に留め付けます。通気垂木の上部は18×45の通気欠き込みを303mm間隔で連続させて屋根通気が十字方向に逃げるようにすること!
 
屋根のタイベックと壁のタイベックを連続させて最悪雨が入ったとしても屋根勾配を水滴が滑り壁の通気層から地面に排水される経路を確認します。
 
雨の合間を縫って凄い速さと丁寧さで屋根を葺いてくれた政田棟梁(当人のお許しを得たのでご紹介します/(笑))本当にありがとうございます。
 
また各工程の勘所を押さえた・・・私の解説ピッタリの工程写真を撮影してくれたT主任にも心より御礼申し上げます。ほぼ毎日、美瑛と芦別の往復ごくろうさま!こんな風に丁寧に遠くの様子を伝えてくれて大変助かってます。仕事の効率も上がりますね。
 
週末は曇りとのことですが急な雨に注意して安全にお願いいたします。
 
夏になるとサザンが聞きたくなりますよね~・・今日は献身的な政田棟梁と現場で真剣に頑張る若きお弟子さん二人に「希望の轍」を贈ります!
 
くれぐれもご安全に!みんなの活躍を心から応援しています!




2019年6月26日水曜日

新琴似の家Ⅱ 基礎工事

 
最近、週末の雨が続いた札幌。「新琴似の家Ⅱ」はほぼ基礎工事が終了しました。この後、屋外設備配管の敷設、そして埋め戻し、いよいよ建て方が始まります。


基礎断熱も本格的に始めて20年経ちましたが、ここ最近は断熱材が十分厚く強度も高くなったので基礎の外周部分の型枠は不要になりました。
写真は中央を境に右を基礎断熱、左を通常の布基礎とした部分です。

こんな風に基礎断熱の部分は断熱材が型枠べニアの代わりをするので直接単管で押さえてコンクリートを打つことができます。
 
コンクリートは固まるまでは液体なのでこの型枠に強度がないと設計通りの形状を保つことができません。写真はEPSと呼ばれるボード状断熱材ですが断熱性能もさることながら十分な強度があって基礎の精度もよく出ます。

本来は梅雨のない北海道の6月ですが最近は雨が多くなってきました。雨が降るたびに基礎の中に水が溜まってしまうのも困りもの・・・そこで今回は集水のための穴をわざと残して雨水を排水しながら作業を進めました。
 
もちろん屋根が掛かった後には防水モルタルで塞いでしまいます。

こんな風に流し込んだコンクリートの圧力でアンカーボルトが倒れたり埋まったりしないように治具でボルトの頭を固定して作業をしてくれる基礎屋さん。
 
いつも丁寧な仕事に感謝です。
 
今日はガーシュインでも聞きますか

2019年6月25日火曜日

週末は 釧路の家へ


週末は「釧路の家」へ。お天気は生憎の霧と雨でしたけど久々に伺うことができました。
 
外壁はすっかりいい色に変わり・・・ 

玄関ホールに置かれたグランドピアノが迎えてくれました。
 
 
中央の壁には弟さんが描いた絵が飾られていて・・・ピアノの黒、白樺の生成り、壁の白が印象的でした。
 
こんな風にすごく丁寧にきれいに住んでいただいて嬉しいなと思う以上に住まい手さんのセンスの良さが伝わって来ました。

二階に上がると白樺やカラマツは美しく味わいを増していて一度、建付けが狂ったキッチンの扉も製作者の石川さんの手で見事に調整されていました。

竣工当時は白っぽい印象が強かった白樺の合板もしっとりしてきました。

木目の通りを大切にして丁寧に木取された扉
 
 
こちらは昨年末のクリスマスシーズンに伺った時のもの。冬の太陽光が26°の角度で低く部屋の奥まで差し込んだ居間の写真です。

12月の釧路は、3時過ぎには夕闇が訪れ・・・4時には夜がやってきます。写真は釧路名物、冬の夕焼け。
 
釧路の家に行くといつもモーツァルトが聞きたくなります。


2019年6月21日金曜日

桂岡の家 外壁断熱工事その4

 
外壁にグラスウールを充填し、グラスウール内に風が通り抜けぬようタイベックシートで覆った「桂岡の家」です。 

窓廻りは周囲4辺に先張りしておいたタイベックシートを窓下のみ外壁のタイベックシートの外側に引き出してテープ止めします。その他3辺は外壁のタイベックを室内側に折り曲げて、先張りと重ねてテープ止めします。
 
タイベックシートに対する基本的な扱い方(考え方)は下見板やこけら葺きのような「重ね合わせ」による防水の知恵から来ていますから、和大工なら一度コツを掴めば理解し易いと思います。

こんな風に壁のタイベックの上に屋根のタイベックを被せて、万が一タイベックの表面を水が流れても壁内のグラスウールを濡らさぬように考えておきます。

こんな風に納めるために屋根のタイベックを折り上げておきました。
 
今日はリバティーンズなんていかが

2019年6月20日木曜日

野幌の家Ⅱキッチン製作工事

 
先週の土曜日はクリナップ㈱札幌営業所さんにて「野幌の家Ⅱ」のキッチンについてお打ち合わせを行いました。
 
ご担当いただくのは、札幌直需営業所の石川さん。実は私のクライアントさんの中には最初から石川さん指名の人もいる程で(笑)・・・一緒に作る使い易くてデザイン性に優れたキッチンを楽しみにしているのです。
 
一般的にクリナップ㈱さんと言えば、日本屈指のキッチン&水廻りの総合メーカーとして有名です。
読者の皆様の中にも、ショールームまでキッチンを見に行った経験をお持ちの人もいるのではないでしょうか。
 
中でも同社を代表するブランドとして「クリンレディ」や「SS」といった商品名は昔からとっても有名ですし全国に多数の愛用者がいますよね~・・・・・っと言うのがいわゆるクリナップさんの一般的な印象。平たく言えばブランド力の高い既製品を販売するメーカーさん。
 
その一方でマンションやホテル&コンドミニアム・・・そして私たち建築家の案件を専門に担当してくれるのがいわゆる「直需営業所」さん。つまり既製品以外の一品物が専門なのです。
 
開放的で大きなLDKが北海道の住まいの特徴ですが、家の中でメインとなる大きな空間に置かれることの多いキッチンセットだけに、様々なニーズが多いのもまた然り。対面型が多いのもその一つ、北海道の主婦にとって食堂や居間を見渡しながら伸び伸びと家事をこなすのがある意味最近の理想なのかもしれません。

こちらはそんな一品物案件専用のショールーム。天板をどんな素材で作るのか?ステンなら磨き方はどうするのか?流しは既製品か?製作か?足元にゴミを分類できるようにして目立たぬように隠したい。包丁差しを子供の手の届かないものにしたい。天板の上に一切調理器具も置きたくない等々・・・様々なニーズに答えるアイディアがこの場所から生まれます。

ゴミ箱がどこにあるか分かります?

扉の面材は道産品も含めて様々なものから選ぶことが可能。

当事務所のヒット商品でもある白樺積層合板(エコシラ合板/瀧澤べニア)とステンレスのキッチンもここから生まれました。
 
                                
「前田の家2012」

「新琴似の家2018」
 
「菊水の家2010」

テーブルエッジは丸面取り(エコシラ合板ペーパーウッド/瀧澤ベニヤ)
 

引き出しは斜め面取り
 

タオル掛け&包丁隠し(エコシラ合板プレーン/瀧澤ベニヤ)

引き出し+ソフトクローザー/ブルム

こんな風にいつも図面を真っ赤にしながら打ち合わせをしてくれます。
 

丁寧に説明してくれる石川さん。地域にこういう人が居て、住まい手の細かな要望まで対応してくれるのは本当にありがたいです。
 
ちなみにこの直需営業所、北海道と東京にしかありません。そんな意味では北海道のキッチン大好き人にとってはちょっぴり幸福なことかもしれません。(笑)頑張れ!石川さん(笑)
 
今日は地元特集で・・サカナクションなんていかが?
 
 

2019年6月12日水曜日

芦別の家 いい仕事

芦別の家の建て方を見てきてびっくり・・おいおい・・・凄くお若い棟梁(失礼!)なのに手一杯キッチリしてます。もちろんプレカットCADオペの能力も半端ない・・現場監督さんとの息もピッタリ・・これだとC値0.2以上になんてならないわ・・拍手!

 
上の写真では気密シートを登り梁と根太受けで挟み付けて、壁の最頂部の気密をバッチリ確保しているのが分かります。

近年は木造住宅も分業化が進んでいます。昔のように棟梁が材料の見立てから仕入れそして加工まで通して行うケースは稀です。むしろ構造材の加工はプレカット屋さん、その加工法をリクエスト(打ち合わせ)するのは現場担当者(多くの場合大工さん以外)、大工さんはそうやって加工された材料が現場に搬入され・・組み立てるところからスタート・・・みたいな現場も少なくありません。

設計者も仕様書や要求性能指定書に例えば「気密性能はC値0.3以下とする」みたいな指示(要望?/(笑))を書いて終わり・・・要は目標は示してもその達成方法については工務店任せ?みたいな人も多く・・・

平たく言えば「施工(工事)は施工者の責任であって設計者の仕事じゃない」と無邪気にも信じ込んでいる人までいます。でも全体統括や工事監理者として契約し設計図を描くのであれば、その図面が妥当な施工性や費用対効果を客観的に満たしていることが前提になります。言うまでもなく・・絵に描いたなんとか・・では困るのです。

要は分業化が進めば進むほど各部門は専業化し孤独化しますから、お互いの意思疎通を明快にし風通しよくものづくりの環境を整えることが、設計者の新たな役割となります。

◆意思決定の順序
最初の提案は1:山本→2:清水組さん(現場担当者さんと大工さんの同意)→3:昭和木材さん(山本+清水組K所長&T主任と昭和木材CAD担当Iさん)の流れで進み。

昨日、実際に現場で1~3の流れの成果を確認して・・驚いた(感動)したというお話し(笑)。

写真は外壁の登り梁が母屋梁を左右から挟み付けているところ。向こうから手前に向かって根太が根太受けに刺さってきているのがビニール越しにうっすら見えるでしょうか。
 
また母屋の上には梁の勾配に合わせて三角形の台座が据えられ、登り梁の上に合板が貼られた際にまんべんなくビニールシートを挟む力が広がるように考えられています。
 
断熱性能を100%引き出すためには気密性の確保が欠かせません。そのためにはプレカットの部材加工の段階から”最低限の資材”で簡単に性能が引き出せるように、こういった断熱工事に欠かせない羽柄材の加工を考えておきます。
 
もちろん最近は優れた副資材も多いですから、後から専用パッキンや梁用の役物、特殊シート等を買うのも悪くはありませんが、本来はより少ない手間と資材で最大限の効果を得ることこそものづくりの目標とするべきですし、その目標を提案しそのためのアイディアを各人から引き出すことこそ設計者の仕事だと思います。
 
*:最低限の資材とは断熱材の他に(①防湿シート系、②タイベック系、③テープ類、④コーキング、⑤ウレタン缶)の5種類程度を指す。

指先が触れているのが根太受け。向こうから手前に向かって根太が刺さり込む様子、外壁の防湿ビニールを挟み付けているのが分かるでしょうか。
 
仮にこの根太受けがない場合を想像してみて下さい。根太は一本、一本ビニールを破いて登り梁本体に突き刺さるのでその本数分の気密処理が大変な手間になります。
 
先張りシートが有効なのはシートを破る個所数が少ない場合であって近年のように梁の間隔が合板床(剛床)の普及によって従来の180cmから90cm間隔になると様々な工夫が必要になってきます。
 
最後に・・・これだけプレカット工場で建物性能のことを考えて様々な部品を作ってもその意図や使い方が大工さんに伝わっていなかったら?「なんだこの部品?」で終わっちゃいます・・(残念)
 
だから分業すればするほどスペシャリストになればなるほど彼らを横に結ぶ存在が大切さを増すんです。コミュニケーションって大切ですよね~(笑)
 
今日はバンプなんていかが・・いいわ~(笑)