2019年4月30日火曜日

ゴールデンウイーク

 
みなさん!ゴールデンウイークをいかがお過ごしでしょう?
 
今年は長男と次男が卒業&就職、三男が進学と慌ただしい三月と四月でした。ゴールデンウイークはそんな彼らが帰省し、従妹たちも集まってとてもにぎやかに過ごしています。
 
ふと振り返れば・・・子育てはあっという間の出来事・・いやいや私は仕事をしていただけで妻には本当に苦労を掛けました。彼女にしてみれば、子供たちが独立して行くのは頼もしい反面、家を離れる寂しさもある事でしょう。何を隠そう私自身が、家の静かさにまだ慣れていないのですから。

家に帰ってくるなり、長男と次男からもらったプレゼント。初任給で買ったそうで・・・親父のイメージだそうな(笑)。 なかなか良く人間観察していると感心しつつも・・大切に使わせてもらおうと思いました。
 
子供たちよありがとう!大切に締めさせていただきます。(笑)

 
元気に帰ってくる子がいると思いきや・・・せっかくの休みに限って体調を崩す困った家族がどの家庭にも約1名は居るはず(笑)・・・
 
今年は猫のレイ君でした。GWに入っても連日の病院通いで注射に点滴・・・今日になってやっと餌が食べられるようになって久しぶりに”にゃ~ん”と声が出るようになりました。
 
心配でおちおち出かけられないんでレイ君も早く良くなってね!
 
ゆっくり「野幌の家Ⅱ」と「桂岡の家」の現場を行き来しながら、少しスピードダウンして体を休めようと思います。
 
みなさんもよいGWを!(笑)
 
今日は暖かで穏やかな日。ラジオから八神純子が聞こえています。

2019年4月27日土曜日

桂岡の家 解体工事その2

昨日は冷たい雨の降る一日。したがって空の下の作業は難しいので屋内の解体工事です。「桂岡の家」は人が楽に入れる高さの高基礎になっていて、中からは1階の床の裏が丸々見上げられる状態です。きっと当時も寒かったのでしょう。かなりの量の断熱材を用いて当時なりの断熱改修をした痕跡が見られます。

 
こちらが天井から降ろした断熱材。これだけの量を使っても床の冷たさが解決しなかった理由は気密不足。どんなに高価な断熱材を用いても最低限必要な気密を確保しないと断熱材の能力を引き出すことは困難です。

 
基礎の中を車庫や物置として使うために束は用いていません。それを可能にしたのが軽量溝形鋼による大引き。当時では珍しく90cm間隔で床を支えています。事前の現況調査でぜんぜん床が狂っていない理由がよく分かりました。これなら確かに凄く丈夫です。

こちらがその現状を図面化したもの。そもそも新築時から気密が不十分なために、その後の断熱改修も使った断熱材の量に比べると効果はかなり限定的だったことが伺えます。
 
今日も冷たい雨の日・・地域によっては雪が降るそうです。みなさんもGWは気を付けて!
今日の製図のお供はカーペンターズ。
 
 
 

2019年4月25日木曜日

野幌の家Ⅱ 屋根断熱工事

建て方が無事終わり、工程はすぐさま屋根に移行します。写真は桁上に貼った合板(1階から見上げると天井部分)に厚手のビニールを敷いてテープ止めしたところ。

その上にグラスウールを詰め込むための下地を作って行きます。一層目約24cm厚さのグラスウールを詰め込むための下地を作り、その上に10.5cm更に断熱します。写真は第一層目の断熱下地を作っているところ。

 
この工法は2012年に考え出した方法に現場毎に少しづつ改良を加えながら行ってきたものです。当初は留め付けに構造用金物を多用したりいたしましたが、大工さんたちの献身的なアドバイスや実践のおかげで最近はほぼ釘のみでたいへんスピーディーな施工が可能になっています。北国北海道とはいえ、雪解けが終わると降るのは雨ばかり・・・ですからまずは日本建築の伝統通り、屋根から仕上げて行きたくなります。もちろん天気は待ってはくれませんからシンプルで合理的な工法で屋根の防水と合わせて断熱工事も素早く終わらせてしまいます。
 
一般的には屋根の防水工事と断熱工事を分けて工程を組みますが、分けると屋根の断熱は室内側から重力に逆らうかたちでそれも工程の終盤になってしまい易いのです。それまでの間、特に夏場は屋根のトタンが焼け込んで、建物の中に居ても暑くて仕方がありません。屋内で働く大工さんや職方さんたちにとって晴天時に暑くならない室内を早くから用意することは良好な作業環境のみならず結果的に作業も早く進みます。
 
そんな理由もあって屋根の防水と断熱を一気にしかも早く終わらせる方法が欠かせないのです。

 
グラスウールはパラマウント硝子工業さんの20KG/m3高性能品。硬くて切断しても形がしっかりしています。昔のグラスウールと違って素手で扱え防塵眼鏡やマスクがなくても工事可能なところに進化を感じます。性能も良くて一般的な16KG/m3高性能品に比べて同じ厚みでも断熱性能が約1割向上します。

 
週末から雨の予報なので、特大のブルーシートをしっかり準備しておきます。断熱材は絶対に濡らせないので連休に向けて準備は万全にしておきます。

 
きれいにまず14cm入りました。次に10cm、最後に10.5cm入ります。

 
こちらは屋根の通気垂木。垂木は並べて使いますが垂木内を通る空気が一方向のみならず直行方向にも流れるように垂木に刻みを入れておきます。

 
積雪荷重1mを考慮してスパン約6.4mのエントランスポートですから、尺梁を鋼材で両側から挟み付けてたわまぬよう補強します。木造家屋の梁の間隔は元々1.8mピッチが多いのですが北国で積雪荷重を考えるとその半分の90cmピッチとしています。
 
 
サッシは地元産のYKK430。トリプルガラスでありながらコスパの高い樹脂サッシができて本当に良かったです。
 
今日はW.Montgomeryを聞きながらブログを書いていました。いいすね~(笑)
 
 



2019年4月24日水曜日

桂岡の家 解体工事

 
 
建物周囲に足場が掛かり、解体工事に着手した「桂岡の家」。
 
「祖父が建てた築50年の家を暖かく断熱改修して大切に住み継ぎたい」住まい手のSさん夫妻にそんなご相談をいただいたのが1年前。はじめて現地にお伺いしたのが4/22で偶然にもそのちょうど1年後の4/22に着工と相成りました。なんだかとても不思議な感じです。
 
まずは新築にはない解体工事から。お茶を買って現場へ・・・そこで10年ぶりにお会いしたのがS棟梁とK棟梁。想えば10年前に同じ小樽の見晴町で「銭函の家」を担当していただいたお二人でした。
 
2009年の「銭函の家」こそ今に続く300mm断熱の第一号なのですからお二人はまさに私にとって恩人そのもの。S社長のキャスティングも中々粋ですね。(笑)
 
前置きが長くなりましたが、「桂岡の家」をご担当いただくのは㈱丸三ホクシン建設さん。冒頭でもお話しした通り、出会いは早10年前、当時の「銭函の家」の元請、㈱橋本川島コーポレーションさんの大工工事でお会いしたのが最初。続いて北海道R住宅による性能向上リフォームで「西岡の家」をご担当いただき、この時に教わった外張り断熱に関わる様々なノウハウは今も大切に使わせていただいています。
 
丸三ホクシン建設HP https://www.hokushin-k.jp/
 
 

 
こちらは50年前のグラスウール。厚みは50mmで密度は10kg/m3程度。当時は中々高価でアパートのような安普請には断熱なしが当たり前の時代。繊維は荒く不注意に触ると手がチクチクして痛い。比較的汚れていないのは断熱材として効いていなかった証拠。
 
北海道には様々な時代の断熱建物がありますがそれを解体し検証することは貴重な体験。まさにタイムカプセルを空けるのと同じ。当時の人の関心がどこにあったのか?それが正しいものだったのか否か?50年ぶりに謎が今解けるのですから・・・
 

中でも特に大切なのは水が回っているところを確認すること。この水が雨水なのか?壁内結露なのか?それを明らかにしてから相応しい対策を講じます。

北側壁面のモルタルは痛みが少なく充分再利用が可能。第一解体するのももったいない。なので地場産の改修ノウハウを用いて、このまま固定を強め耐力壁(筋交い)として再利用したいと思います。
 
住宅の性能向上リフォームマニュアル http://www.hro.or.jp/list/building/koho/pdf/gijutu/taishindannetu.pdf

外廻りの装飾は今では中々手に入らないラワン材の幅広&長物。鼻隠しの銅板はぜんぜん傷んでいない。むしろ緑青(ろくしょう)が味わいさえ感じさせます。

小樽市の中でも山側で比較的海から遠い桂岡地区でもやはり海沿いの鉄は弱い。こうなるとさすがに直すことは困難です。
 
今日は春めいた暖かな日・・貴重な挑戦の機会をいただいた住まい手のSさんご夫妻に大好きなStuffを贈ります。

2019年4月22日月曜日

芦別の家 着工しました

 
好天に恵まれた先日の地鎮祭。行政に対する届け出も完了し、「芦別の家」が無事着工しました。ご担当いただくのは美瑛町の清水組さん。2015年の「東光の家」から旭川方面の案件をご担当いただき、どれも立派に作り上げていただきました。棟梁はK所長のお父さん、職長は弟さんが担当します。本社のある美瑛からでも1時間以上、大工さんの多くが住む旭川市からだとそれ以上の通勤となりますので現地に宿舎をお借りして工事を行う予定です。
 

現場には遣り方(建物の大きさと主に基礎の高さを検討するための定規)が出され、既に基礎の高さが決定されました。

 
GL(基準となる地盤面)より約1.4mまではやや軟弱な地盤ですので、砕石杭によって地盤補強を行います。写真は敷地に杭の位置を青のテープで出したところ。この位置に穴を掘り砂利を充填して充分突き固めて固い地盤を作ります。
 
この砕石杭ですが地盤補強と言う本来の目的の他に暗渠としての効果もあります。2010年に手掛けた「南あいの里の家」では支持地盤がGL-15m以深とかなり脆弱で地下水位も高く、土を掘ると敷地から水が沸く程でしたが、砕石杭によって地下水位が下がり床下への浸水はありませんでした。
 
砕石杭HySPEED工法HP https://www.hyspeed.jp/

 
芦別市の凍結深度はGL-70cm。札幌市より10cm深く、旭川市より10cm浅いとはいえ冬の厳しさは札幌以上。どちらかと言えば内陸的な気候で旭川寄りです。地方のお約束として生コンクリートの価格が高く、基礎部分のコンクリート量を安全に圧縮するアイディアが求められます。
 
そこで今回は昨年の「神楽岡の家」同様にスカート断熱を採用して札幌並みにGL-60cmの基礎にします。
 
 
今日はビートルズなんていかが https://www.youtube.com/watch?v=WrAV5EVI4tU
 

SIR工法技術講習会

 
うーん先日のセミナー・・目からウロコ・・でした。ご存知のように古い建物を耐震改修するのに、外壁を剥がして合板を貼るのはよくやる方法・・「ついでに断熱も~」なんつー人はよほど省エネだったり健康意識や予算に余裕がある人が多い・・なので全国的に見れば耐震性1番、防火性2番、断熱性3番みたいな優先順位(あくまで予算的には・・)に陥り易い。(寒い北海道のみが断熱の優先順位が高い)要は・・耐震と断熱を一緒にできればそれに越したことないけど・・耐震性向上に直接関係ない断熱はやっぱ・・予算的にはお荷物なのよね~(笑)というのが今までの常識だった。
 
 
しかしみなさんどうだろう?・・実は”ある特定の方法”でボード状断熱材を取り付けた方が遥かに耐震性に優れる建物になるとしたら? その工法が第三者機関の技術評価を取得済みで今後、国を始め地方自治体が様々に用意するであろうリノベ認証やインセンティブに使えるとしたら?・・・凄ーいいハイテクを使ったコアで高価な方法じゃなくて・・原理だけ見ればみんなやってきたありふれた民間療法・・だからそもそもハードル低し(笑)でもそれに向き合って地味な実験を繰り返しボード状断熱材が実は耐力面材として高いポテンシャルをもつことを発見し・・第三者評価まで取得する。最近、新築にも改修にも使える技術こそ最高だと思うようになってきたけど・・また新たな北海道発の技術として大切に使わせて頂きたいと思いました。素晴らしい技術を開発していただいたUM教授(元北総研)、H准教授(元断熱材メーカー)、そして関係各位のみなさんに心より御礼申し上げます

 
なーんだ・・断熱も一緒にやる方が耐震性もあがるんじゃんね~となった方が、寒冷地にとっても温暖地にとってもハッピーだと思います。

 
しっかり第三者の評価も得ているところがよい。従来型の新築のみならず、後から直す型の技術がたくさん出てくると、今あるストックを直してもう一度使うことができるようになる。親の家を子供が引き継ぐことができれば、子世代は家づくりと言う大きな投資から解放され子供の教育や自身のためにお金を使う余地が生まれる。
 
結果として、デザインや設計と言った事柄に価値を見出す人が増えると思う。

 
北海道において、良い技術とは様々な人々の協力で生まれるという事実。
 
今日はH.E.R.Oでスーパーパワーズなんていかが
 
 
 

2019年4月19日金曜日

野幌の家Ⅱ 建て方開始

「野幌の家Ⅱ」の建て方が始まりました。今年は極端な大工不足。例年なら後二人は欲しいところですが、クレーンの助けを借りて3名で建て方を行いました。
 
「野幌の家Ⅱ」は比較的大きな平屋。なのでダクト式の一種熱交換換気を使います。天井裏にダクトが水平展開できるスペースを確保するためにいつもよりも約30cm長い柱を使います。
 
昨年、この住宅の計画のために北欧までダクト換気の視察に出かけ、国内との差にショックを受けました。機械自体の扱い易さ、特にメンテナンス性や対結露性もさることながら、ダクト配管の方法や管理が日本に比べてかなり進んでいて、ダクトを天井裏に隠す場合も、室内に顕す場合も非常によく考えられた解決策を用いているのが印象的でした。
 
1:基本的に住宅であっても100φ以上の大径管を用いること
 
2:管材にフレキ管をほとんど用いないこと
 
3:断熱材の中に埋設するような配管計画をしないこと(清掃ができなくなるため)
 
これらは早速、実践しようと考えています。
 
 
屋根を完全な外張り断熱とするための根太欠き。

クレーン:1名、梁の選別と玉掛け:1名、掛け手:2名で手分けして梁掛けを進めます。

隠ぺい部分はホワイトウッド顕し部分は唐松集成材。梁伏図を睨みながらしっかり種分けておきます。

ホワイトウッドと呼ばれるスプルースの集成材は世界各地から。最近の柱材は旧東欧のものが多いです。

2019年4月12日金曜日

アース21セミナー20190411

 
昨日のアース21さんのセミナーは衝撃的だった。「中古リノベのススメ」と題して登場したのは㈱アルチザン建築工房の新谷社長さん。北海道が今まで培ってきた知見を総動員することで・・”スケルトンリフォーム”という・・ある意味TV的には美味しいものの通常では地味に新築した方がずっと安くなる(今まで安くなると信じられてきた?)分野をビジネスモデル化している。おまけに新築用のローンを使い、長期優良住宅や瑕疵担保保険、UA値(断熱性能の見える化)、家歴保存等々・・要は新築の6~8掛けの予算で既存のシステムを縦横無尽に使いこなし・・新築同等以上のメリットをパッケージした家づくり・・・新しくて素晴らしくて・・聞いていて古くさい自分にホトホトため息が出た。やっぱ凄い人は凄い・・自分も新谷さんの弟子にしてほしいっす!そー感じられるセミナーでした。


 
中でも感動したのは写真の一言・・「もう世代ごとにスクラップ&ビルドを繰り返すんじゃなくて子供の世代には家づくりに悩まなくてよい時代にしよう!そんな家づくりの方法を選ぶべき!家にお金を割かなくて済むようになると、旅行や教育にお金をかけられるようになります。デザインや設計の価値を理解しお金を払うということはこういうことです。」うーんバッサリ・・新築が多い自分は結局・・無意識のうちにスクラップ&ビルド様様だったわけで・・・今の時代・・新築でお金をかけていいもんができないわけはないはずで・・本物はお金のある人はあるなりに・・ない人だってないなりに・・最高の仕事を納められなくっちゃいけない。30代の若い建て主に囲まれて笑顔で仕事に励む新谷さんが心底羨ましいと思いました。(拍手) 自分も負けないぞ!
 
 
アース21とは? http://www.earth-21.org/
 
アルチザン建築工房HP https://a-san.jp/

2019年4月10日水曜日

芦別の家 地鎮祭

今日は「芦別の家2019」の地鎮祭です。
札幌から約120km離れた芦別市に初めての300mm断熱の家を建てます。担当していただくのは、過去にも「東光の家2015」、「神楽岡の家2018」を作ってくれた美瑛町の清水組さんです。
 
現場所長のKさん。そのお父さんが棟梁さん、弟さんが職長として腕を振るってくれます。過去の仕事も素晴らしかったので今からとても楽しみです。
 
実は昨年から計画を始めた「芦別の家」でしたが、なにせ今、北海道は深刻な大工不足。1年も前から予定に入れていただかないとお約束の期日に完成はおろか・・・着工すらままなりません。以前のように2社くらいお見積り合わせをしてから・・・なーんて言っていると引き受けてくれる大工さんがどんどんいなくなってしまいます。昨年の内から消費税増税とオリンピックの前年ということで大工不足は懸念されていましたがまさかこれ程とは・・・本当に運が良かったのと、なにより建て主さん、清水組さんの前向きな努力があってこそ今日の日を迎えることができたことに感謝したいと思います。
 
今後は秋の完成を目指してまた3者力を合わせてよい家を作りましょう!
 

 
宮司さんの祝詞(ノリト)が春の日に朗々と響き・・・何度聞いてもいいものですね。(笑)
 
春はやっぱモーツァルトですね~・・最近は毎日図面を大量に描くのでよく聞いています。