2019年3月18日月曜日

桂岡の家 断熱改修工事



木立の中に佇む築50年の「桂岡の家」。
 
現地調査をしていると当時の住まい手の雪や寒さに対する気持ちや恐れまで感じることができます。断熱を除き、当時手に入る様々な工夫をほぼ全て投入してこの北国の住まいはできている。最初に伺った際に感じたことです。
 
居間の主暖房はなんとペチカ。高温の煙を煙道に導くことで蓄熱性の高いレンガの躯体をやんわりと暖め穏やかな輻射熱を得るロシア生まれの暖房方式。燃料は基本的に薪。もちろん煙突共々建築の一部ですからこのペチカを中心に周りを田形に部屋が取り囲む間取り。
 
かつて西欧列強と競い大陸に侵出した旧日本陸軍により持ち帰られた朝鮮半島のオンドルと同様に当時の第七師団が駐留していた道北旭川の将校用官舎の暖房としても同種のものが用いられた記録があります。
 
今一つは居間と浴室に採用したセントラルヒーティングの床暖房。特に浴室は脱衣室も含め暖かかったおかげで非常に痛みが少なく当時の内装がきれいなまま残っています。
                                
ペチカは「横島ペチカ製」

 
 

屋根の形状は当時から「招き屋根」と呼ばれる形式で東西に落雪を振り分け南側のエントランスと北側の勝手口を確保する設計思想が感じられます。屋根の落雪から大切な暖房用灯油タンクを守るために十分な離隔が取られています。

当時流行した外壁に大谷石を貼ったエントランス。1階には冬場の除雪用具や薪、車両等を収納しつつ積雪から逃れるために建物は高基礎により持ち上げられています。実質的に玄関は中二階の高さとなり、降り積もる雪を見下ろす恰好の居間や主室群となります。こうした垂直方向のゾーニングは今で言うなら二階リビングのようなスタイルに姿を変えて比較的多く北海道内で見られます。
 
断熱は基本的に外側からスッポリ建物を外張り断熱しようと考えています。
 
今日はリリリップスなんていかがだろう?