雨の合間を縫って、床下の防湿コンクリートを打設した「発寒の家Ⅱ」。しかしその翌日から雨に見舞われました。今の時期の基礎工事ではけして珍しいことではありません。
上の写真は雨水が基礎の防湿コンクリートの表面に溜まったところ。秋も深まり水の上には落ち葉も見えます。11/20を目処に建て方を開始する予定なのでそれまでにはきれいに清掃して水をくみ出します。気温的にはまだ暖かくコンクリートにとって水分のある環境でゆっくり硬化できることはむしろよいのですが、水を汲み出した後の湿気には少々注意が必要です。
基礎断熱の特徴が充分理解されていなかった頃は・・このまま工事を進め3月~4月に完成し引渡しを行うと、ほぼ必ず初夏から夏場にかけて床下がカビる。という現象に見舞われました。理由は簡単で1:床下も含めて換気経路として計画していない。(床下と床上をガラリでつなぐだけでは不十分)2:床下に熱源がない。以上2点が主な理由です。
コンクリートは乾いているように見えても年単位で湿気を放出しながら強度を少しづつ増す性質を持っています。また3月~4月という暖かくなり始めの時期に住み始めるので実質の暖房期間は1ヶ月あるかないかです。要は床下がまだ湿ったままなのに暖房もどんどん弱める(本当は床上の暖房はそうでも床下は強めたいくらい)、換気経路として床下を含めた計画もしていないので床下の換気量が常に不足してしまう。結果的に湿度発生源であるコンクリートを乾かすことが出来ずに、床下は低温+高湿(常時露点)の常態が続き・・・見る見るカビが発生するという具合です。
現在では床下を換気経路に含み、熱源を設けることが広く知られていますから、こうした事故は随分減りました。しかし換気も熱源も備えていながら、正しい運用方法を住い手に伝えることを怠ったばかりに同じ問題を繰り返すケースもなかなか、なくなりません。
意外に多いのは環境意識が高く、小さな熱源で暮らすことに憧れや使命感をもっている人。特に薪ストーブ1台で暮らしたい等という人に限って床下の熱源も計画換気のスイッチも早々と切ってしまいがち・・熱量の大きな薪ストーブは床上と床下の温度差をどんどん広げるので、床下が冷たく結露しているなんてぜんぜん気付かない。その内、台所で調理のたびに換気扇を入れるとプーンとかび臭い匂いが床から上がるようになってはじめて・・「あれれ?」なんて感じです。
パッシブ換気は自立性の高いシステムですから、意図的に塞ごうとしない限り換気自体を止める事は出来ません。特に換気量が最大となる冬場は乾燥した冷気を床下に引き入れ予熱機で温めます。言い換えるなら床下で除湿用の新鮮空気を生産しているのと同じことなのです。
薪ストーブやペレットストーブの持つエコ風味や見栄えのする環境性に浸りたい気持ちも分りますが床下の除湿と加温もどうぞお忘れなく。(笑)
今日はR.L Jonesなんていかが