12/10(土)久しぶりに難波和彦さんよりメールが届く。江別の「157S邸」の基本計画を煮つめる上でのアドバイスの依頼。クライアントに指摘されたことにはじまり、初めての北海道プロジェクトとあってかたくさんの質問をいただいた。
実はこの12/10から12/26(月)までに実に11回のメールでのやり取りが続いている。不思議なことにご本人の口から「やり取りを深めてみてますます「箱の家」らしくなってきた。」との言葉をいただいた時には安堵が半分少し意外な気もした。
私の勝手な印象で恐縮だが難波和彦さんは自らの作風を振り回すタイプの建築家ではない。静かに建築の成り立ちを観察しその振る舞いや仕組みを読み解くことを信条としているように見える。自らの建築に注ぐに等しい興味を周囲の建築に注ぐスタンスは巷でいうデザイナーズ建築家像とは全く異質なものだった。
具体的には難波さん側で作成した計画図を挟んでまずは、北海道目線での問題の抽出や双方の設計常識の差を埋めるべく合意の共有を行う。雪の話し、屋根型の話し、雨水と落雪の話し、換気や断熱構造の話し、構造やコストの話し・・・・・対話の中で生まれた興味はブログを更新する動機ともなった。
お互いにやり取りをして気付いたのは、私自身、普段何気なく行っていることの理由を説明するために多くの時間を必要とした。という笑えない事実だった。設計というのは不思議なもので、結果と解決の方法論さえ覚えてしまえば、その問題がそもそもなぜ生じたのか?とか、なぜそれ以外の方法では難しかったのか?と言ったそもそもの動機?は急速に忘れ去られてしまう。あまり良くない方法とその訳を憶えておくより、確実な方法を一つ覚える方が作り手にとって遥かに楽だからだ。
以前の投稿でも述べたように、私の役割は現地の技術アシスタントとして北海道で最初の「箱の家」を無事完成に導くお手伝いである。北国のレンズを通った箱の家がどんな風に出来上がるのか、今から楽しみである。
今日はリシッツアのワルトシュタインで
https://www.youtube.com/watch?v=wSs-2NDG4Ao