2016年7月23日土曜日

「箱の家」をお手伝いする その3

昨日、難波和彦さんよりメールが入る。内容は建て主さんがプロパンの燃料単価の高さを気にしている点と断熱は暖房負荷の低減には有効でも給湯には無関係なのではないか?との疑問に対するものだった。

まずプロパンガスの単価については昨年完成した家の実績データー(検針レシート)を送る。夫婦と小さな子供たちの4人家族くらいであれば、暖房(温水セントラル)+給湯+調理を合計し、最も寒い1月、2月であっても約2万円程度/月で済むこと。北海道は昔から灯油、電気、ガス(LPG、都市ガス)のエネルギー事業者が凌ぎを削ってきた地域であり、建て主さんがプロパンに対して前向きな印象が持てないようなら別の熱源でも同じことが可能なことをお伝えする。


断熱と給湯負荷の関係性については、そもそも本州地域で断熱なし、暖房なしの寒い浴室を使用する際にヒートショックを起こさぬために入浴前に床や壁を温水で温めるよう地元の保健所や行政が指導している事実から、断熱による室温の上昇が給湯負荷の増減には影響しないという指摘は当たらない旨お伝えする。事実、断熱性に乏しい浴室は使用前に床や壁を温水で予熱する必要があるし、浴槽のお湯も冷めやすいので頻繁に足し湯や追い焚きも必用になる。要するに本来、断熱されていれば生じない暖房負荷を無意識に給湯負荷を増やして補わざるを得ない構造が一般に多い。話は変わるが、住まいに断熱を浸透させ、浴室環境を暖かなものに改善したなら、冬場の給水温度の高さ(冬場の水道水の温度が北海道と本州ではぜんぜん違う)と合わせて本州の住まいの給湯負荷はもう少し下げることが可能なのかもしれない。もちろんこの際、給湯器を屋外設置する設計も改められるとよいと思う。一方、既に断熱済みの北海道は冬場、一桁台まで下がる水道水の温度を何らかの工夫で予熱するか、機器の更なる効率向上に期待するしかない。今まで圧倒的な暖房負荷の影に隠れてきたが考えてみるとなかなか悩ましい。