階段の掛かった「ニセコの家Ⅱ」。どの家も階段の蹴上(一段分の高さ)は18cmと決めていて16段目、15段目、14段目が2階の床になるように段数を選びます。小さなニセコの家Ⅱは14段目が2階の床。松の集成材で柔らかい足触りの階段にしました。蹴込み板は省いて段と段の間を透かすことで写真のように部屋の奥まで日が差し込みます。
これはU棟梁の丁寧な仕事。構造用合板のきれいな面を揃え合板と合板の間をぴったり突き付けるのではなく、5.5mmべニアを挟んで目透シ貼にしていただきました。目透シの幅は合板の厚みより必ず小さくします。壁の合板はDIY の大好きな建て主さんに合わせてどこでも作り付けの棚や家具が固定しやすいよう、ビスや釘の効きのよい12mmの構造用合板を使っています。なので概ねその半分を目地の幅としています。こうすることで、写真のように目地の底が黒く陰影となって一見ラフな感じの合板がきちんと見えるようになります。本来は下地にしか使えない構造用合板を使っても荒っぽく見えない見せない。細やかな手業を感じます。
壁が90cm感覚のリズムを刻んでいます。もちろん表面にはサンドペーパーが当てられ合板のバリやささくれを落としながら貼り込まれていきます。こうすることで後から色を塗ってもワックスやオイルで拭いても木肌が美しく仕上がって見えます。
よく素人建築家や怪しげな建築インテリア雑誌が「安価な材料を使えばイコール安くなる。」的な話しを書きますが、あれって現場を知らない人の記事です。確かに構造用合板は安価な材料ですが今までお知らせしたように、裏と表を見ながら使える面を決めて、ペーパーを当てながらバリや印刷を落とし、目透シの幅を慎重に決めて貼り込む注意深さと腕がないと「仕上げ」にはなりません。要はシナべニアとか構造用合板、SPF材(ツーバイ材)のような安価な材料程、大工の腕が欠かせないのです。
天井が顕しになるところは根太材の間隔を約20cmとして繊細な表情に見えるようにします。
ニセコの家Ⅱではインテリアのコーディネートを基本二色にまとめようと思いました。まずは木肌の生成り色、次には白色。これに床や土足の部分は汚れを考慮してダークグレーのタイルやダークブラウンのガラリといった汚れに強い色をほんの少量配してゆきます。要は室内の基本の二色+α(少量)で室内をまとめることで室内から不要な自己主張を除き、トータルでコーディネートされた統一感を残そうと思いました。アパートに住んでいるみなさんはぜひ身の回りの色や仕上げの数を数えてみてください。床の色と異なる明るさの木目のキッチンだったり室内の建具だったり、洗面化粧台や吊戸棚は白色、木目混在、おまけに色目や素材感が違ったり。また部屋ごとで壁紙の種類が違ったり、照明の光色がばらばらだったり。 生活が始まると様々な家財が家の中に入りますよね~。その時室内が生活じみて見える最大の理由は素のままの室内の色や素材がそもそも多すぎることです。住まい手の個性が生きるように素のままの室内は少々禁欲的なくらい、シンプルにコーデすることが実は大切です。
今日はJazztronikなんていかが