2015年12月29日火曜日

2015年 御礼

 
今年は、たいへん多くの仕事に恵まれ今まで新築中心だった「300mm断熱」をリフォームにまで拡大することができました。それと同時に治すことの難しさ、ひとつひとつ異なる構造や症状に対して最適な処方箋を考え出すことの難しさも学びました。今後は従来の新築(新たにつくる)という立場に加えリフォーム(今あるものを治す)ということに地域的な資産である「断熱」を生かして行きたいと思います。そんな意味で17件目の300mm断熱となった「山の手の家」の性能向上リフォームは得がたい経験となりました。この場をお借りして、現場で奮闘した全ての人たちと、挑戦の機会をいただいたクライアントさんに心より御礼申し上げます。
 
新築においては「平和の家」、「東光の家」といった300mm断熱の家たちが現在も完成に向かっています。「平和の家」においては、外断熱、外張り断熱、充填+付加断熱といった多彩な断熱のバリエーションを駆使して室内として使える空間を最大限に拡大しました。全体で33坪に満たないコンパクトな家ながら二階には7部屋という構成を可能にしています。昔は、いち省エネ対策として始まった「断熱」が「新たな空間獲得」のために使われるようになって来ました。
 
「東光の家」では札幌以外の地方都市のニーズとして多いカーポートを取り込み、札幌圏より寒冷な道北の冬と暑い夏を楽しむことをテーマにしました。地方都市の特性として同じ暮らしでも都心より多くの面積を必要とします。実際に世帯あたりの車の所有率は地方都市の方が高く、通勤をはじめとする毎日の暮らしに欠かせないものとなっています。そうした事情に答える解決策として1階に駐車スペースを組み込みたいという願いは昔から根強いものがあります。そうしたニーズに答えつつ、厳しい道北圏の気候に負けない技術開発として多くのチャレンジを行っています。
 
双方の家とも、ブログを読んでいただいて実際に見学会に来ていただいたことからお仕事をいただくことになった若きクライアントさんです。自らの家づくりを通して地域に投資していただくばかりでなく、その住まいをさらに良くする上で欠かせないさまざまな挑戦の機会をいただくことが出来ました。毎年想うことは程度の差こそあれそうした多くの理解ある建て主さんのおかげで、私たちは糧を得るのみならずたくさんの笑顔に出会うことができるということです。北海道の環境建築を語る上で欠かせない「断熱」は当初、たくさんある省エネ技術の一つとして始まりましたが、今や地域の住まいを語る上で核となる技術(哲学)にまで育ちつつあると言ってもよいでしょう。いわゆる「機械設備」による恩恵の何倍にも相当する効果や長期に渡り劣化しない性能等々、はたまた冒頭に紹介したように、質の高い空間の獲得性といった付加価値の多様さは北海道に暮らす多くの人たちの特典なのではないでしょうか。こうした恵まれた環境で毎年建設的にものづくりに携われることは建築家冥利に尽きると思っています。完成の際には見学会も考えていますので一人でも多くのみなさんに「チーム平和」、「チーム東光」の仕事を見ていただきたいと思います。
 
今年一年、お世話になったたくさんのみなさまに心よりの感謝を捧げるとともに、来年も引き続き、喜びに満ちた困難さ(笑)にご協力いただけますようお願いいたしまして2015年の結びとさせていただきます。
 
冬季休業:2015年12/28(月)~2016年1/5(火)
 
今年はヴェルディーの合唱で!みなさまよいお年を!