人間の特徴は同じ哺乳類の中でも極端に温度変化に弱い事なんです。特に寒さには弱くて生存のためには安定的な室温をはじめとする「生存可能環境」を自ら整える必用があります。言い換えれば建築なしには生きられない動物が唯一人間だといえるでしょう。したがって家作りの本質的な目的にこうした健康に生きるための環境の獲得があるのは、なにも新しい話しではありません。
でもね・・・人間って「目先」の「簡単便利」に弱いんですよ~。昔からこんなに寒い北海道なのに、「家が寒い!」って相変わらずよく聞くでしょう。家を暖かくするなんて簡単でしっかり断熱すりゃ~いいだけなんですけど・・・なぜか出来てこなかった。断熱なんて実はお安いもので巷でよく見る平均的な家なら総工費の約2~3%程度、当事務所で取り組んでいる300mm断熱だって5%程度です。2000万円もする家の断熱工事費が40万円少々なんて意外だと思いますよね~。おまけにその程度じゃまだまだ寒いし、オール電化の多い北海道じゃ北電さんの相次ぐ値上げで今年の冬場は昨年に続き戦々恐々・・・、電気代が上がるってことはその他の灯油やガスも上がるってことで更に悩みは深まるばかり・・・
でも最近は随分クライアントさんの意識が変わってきました。簡単に言えば「スマートハウス」に疑問を持つ人が増えたって言う印象でしょうか、太陽光に燃料電池、HEMSによる全体制御とくれば、聞こえはよいものの、見方を変えれば高額設備のオンパレード。もちろん高額な直接コストを負担できる人しか建てられず、そうした最先端設備は毎年進化するのですぐに古くなって陳腐化も早い。要は定期交換みたいなランニングコストも合わせて高額!となるビジネスモデルに踊らされ続けることになります。これってまるで携帯電話の世界。ローンを払い終わる35年後は「こんなの昔あったあった・・・」なんて笑いのネタにされること間違いなし。一時、完全にスマホ化するかに見えた携帯業界も今じゃ、利用者のニーズによってはガラケーの方が何倍も安全で安心で安価。ってことが明らかになっている。
みんな景気が良くて余裕がある内は「目新しさや簡単便利」に流れやすいけど、そうじゃなくなるとよーく考えるようになる。結果、若くたって賢い人が増えるような気がするのです。尊敬する先生が昔言っていたことに、「問題はむしろ本質的に解決しちゃうと困るっていう人が多いことなんだ。」っていうのがありました。当時はよく意味が分らなかったけど今はなんとなく分る。高額な設備や機器を開発したり販売したりする理由を維持するためには家なんて暖かくなってもらっちゃ困りますよね~(笑)。うーん確かに。想えばこの方程式に気付かない限りずーっと状況は変わらないわけで・・・。「家全体の事を考えて断熱しましょう!」なんて面倒なことを考えるより「太陽光付けよう」とか「ヒートポンプ」どうでしょう?って考えるほうが敷居が低くて簡単そうに見える。でもざるみたいに熱の逃げる家にそんな設備を付けたって解決には程遠く、一時安心するような気がするだけ・・・かくして歴史は繰り返す・・・
たしかに不景気は良いことではないかもしれないけど、困難な時ほど人を賢く強くする!そんな力強い風を最近感じています。
You-tubeを見ていて面白いPVがあったんでUPします。まあ~ナレーターの口調は好き嫌いが分かれると思うけどぜひ聞いてみてはいかが。
http://www.youtube.com/watch?v=Cc7x2Eu3BLo&feature=share