2013年9月11日水曜日

屯田の家 内装工事

チーム全員の努力のおかげで、快調に進む「屯田の家」の内装工事。特徴的な天井廻りや開放的な階段の様子がだんだん分かるようになってきました。1階に20畳という大きなLDKを持つ「屯田の家」。L(居間)とD+K(食堂、台所)は写真の壁でやんわりと仕切られています。大きな部屋を作る際に大切なのが面積と天井高さの関係。簡単に言えば大きな部屋ほど、天井高さも高くしないと、なんだかちんちくりんの印象に見えてしまいます。反面、むやみに高すぎる天井は、暖房エネルギーが増大したり、対流が起きて落ち着かなかったりと、いろいろと困り事も生じます。「屯田の家」ではこの天井高を落ち着き感のある2.2mから、広々感を感じる2.7mまで適材適所に割り振り、空間に変化を持たせつつ、暖房エネルギーの削減やパッシブ換気に取り組んでいます。

パッシブ換気を採用しつつも、間取り的には各部屋が建具と壁で区画される、オーソドックスな部屋割りが特徴の「屯田の家」、パッシブ換気がその特性上、一体的空間で効果を発揮しやすいのに対し、対照的な間取りとなってしまいます。そこでパッシブ換気の効果がスポイル(阻害)されないように、欄間(間仕切壁と天井の間に隙間を設けること)を適宜行って、空気の流れと視覚的な連続感をさりげなく両立させるようにしています。まあ~いろいろ考え方はあるのでしょうが、私の場合はこうした矛盾する要件を両立することが求められた場合は協力、自然に見せながら解決するように意識しています。ぱっと見!目立つデザインの方が褒められることが多いこの世界ですけど、言われないと分からないように作ることも実は大切なのです。

外壁の杉板の様子。昨年の「前田の家」から気に入っている木材用保護剤で処理した杉材を貼り込んでゆきます。印象は年を経るごとに美しいグレーに味わい深く変色する木肌が楽しめるもの。どうしても着色だと塗りたてが一番でだんだんに色抜けしますけど、この保護材は逆。日本人好みかもしれません。

パッシブ換気の排気経路も兼ねる2階のWCの天井。空気の動きを邪魔しないように、またスノコの上に乗って排気口のメンテナンスに困らないようにこんな風にスノコ天井としています。

2階の洗面所からは塔屋に登れるように、また自然光を階下に落とすように考えています。壁に十分な窓がとりにくい間取りや、外壁に面して部屋がとりにくい場合は重宝する工夫です。

本棚の足元を空けて空気のリターン(回収)経路とします。
 

2階の建具は基本的に天井と同じ高さ。開放すると空間が一体になります。

壁内に納まる3枚引き込み戸。

西側の杉板貼りはずいぶんと進行いたしました。さてあともう一息!
みなさん頑張りましょう!(笑)