本日は、春光の家の工事チームの紹介を兼ねて現場で始まった根掘り作業を見に来ました。春光の家は少々広めの平屋ですが、この日本人にとって人気の高い平屋を計画する際にいくつかのコツがあります。前回のブログで床下空間の大切さを取り上げましたが、今日はその大切な空間をいかに費用対効果を上げて作るかをお話したいと思います。
単純に言うと同じ広さの平屋と二階建てでは、基礎の大きさが倍違います。当然平屋は基礎の面積も大きくなりやすくそのままでは倍掛けのコストとなりかねません。道北圏の旭川市の凍結深度は80cm、基礎の下には水平に均した砂利を敷き詰めねばなりませんから、その分も加えると、通常の根掘りは地表面から1.1mまで掘り下げねばなりません。ちなみに札幌は0.9mが標準です。当然掘り出される土量も同じ面積の基礎同士で比較すると札幌よりも多くなります。また2011年現時でのコンクリート単価は旭川市1.5万円/m3に対して0.78万円/m3札幌市となっています。お話を総合すると、基礎のコンクリートは倍の価格で、コンクリート量は二割り増し、当然排出土量も二割り増しの基礎をどのようにコストデザインするか?この観点を計画の初期に持ち対案を設計に盛り込まねば企画倒れの憂き目に会います。(笑)
その対案とは断熱浅基礎。一般にはスカート断熱工法と呼ばれるものです。この工法、旭川の北総研(北方建築総合研究所)で生まれました。HP:http://www.nrb.hro.or.jp/index.html基礎の周囲に必要とされる断熱措置を施すことで、旭川で必要とされる凍結震度80cmを50cm程度に軽減することが可能になります。要は安全性を保ったまま、基礎全体のボリュームが半減すれば仮にコンクリートの価格が札幌の二倍でも、さほどコストは気にならなくなります。さらに平屋だとこの効果を二倍享受できます。何度もこのブログで述べているように、こうした地産技術はどんどん地域で使うべきではないでしょうか?熱の伝わり方をデザインすることで、実は安全にコストを下げたり、以前はまったく使い道がなかった床下に大切な役割を与えたりできるのですから。
平屋のためにほぼ総堀りに近い掘削となるが、その分浅いために結果的に排出土量とコンクリート量は通常設計に比べて約40%ダウンとしている。
旭川の通常の基礎工事は溝の中に入ると、ほぼ胸の低い位置まで埋まる感じ。圧倒的に浅いのがお分かりだろうか?
MGMTの原曲もいいけど~(笑)