みなさん暑いですね~。お元気ですか?きっと今日あたりからお盆休みの方も多いと思います。そんな中、西野の家が無事上棟を迎えました。棟を上げると書く上棟(じょうとう)は建物が無事建ちあがった大切な節目。棟梁も私も現場を預かる武田社長も一安心です。どんなに優れた設計も実際に現場で作ってみるまで分からない。一見楽に見えて矛盾があるかもしれないし、そんな意味では屋根まで作ることで、はじめて全体が見えるようになるのです。建築家にとっては今まで紙の中にしかなかった建物が実物大のラフスケッチのように現れる時間帯といったらきっと分かっていただけるでしょうか。(笑)
尊敬する先輩建築家の小室さんから教えていただいたシート防水とフラットなテーブル屋根。屋根の排水構造や凍結防止設備が必要ないために、シンプルに陸屋根を作れます。もちろん雪下ろしの必要はありません。雨水はテーブルに溢したコップの水よろしく、軒先から地面へ落ち、一般的な雨水同様、敷地内で浸透処理されます。写真はシートの専用溶着液、シートの溶接に用います。
重ねたシートの中に溶着液を注入しているところです。
屋根屋さんはおなじみ、旭川のプロテックさん。仕事は早くてきれい。屋根の上は灼熱地獄なのでこのいでたちです。
出隅の水切り部は丁寧な仕事が求められる部分。溶着下地を増し張りし対応します。
断熱に限らず、防水や日射遮蔽といった技術力を高めることで建築の可能性が飛躍的に高まります。写真はシンプルな垂木組(屋根組)を断熱された天井の上にちょんと載せていることが分かる写真。屋根の寿命が来たら、写真中央の白い紙の上のみ修理or交換すればよいという設計になっている。一方現在主流の屋根組み自体が建物の構造を兼ねるスタイルだと、屋根の痛みは≒建物の構造の痛みとなってしまう。弊社の設計の特徴は建物の外皮を容易に着替えるスタイル。要は外装と構造(断熱+気密も含んだ)のフィル、インフィルを実現しています。
屋根の上に突き出た3階部分のはと小屋。これにより建物の高さを稼ぎ、安定した自然換気(パッシブ換気)を実現する。(もちろん屋根に出ることも可能です。眺めもよいです。)
垂木と直角方向に空気が流れるよう欠き込みを入れている。現場を担当する内野沢棟梁のきめの細かな仕事です。
現時点で外壁の厚みは25cm、さらに室内側に5cmの断熱材が加わるので合計30cm断熱のGW(グラスウール)の入る西野の家です。
全体の坪数は33坪と、こじんまりした西野の家ですが、LDKは一体で19畳もあります。その写真が上、一見分かりづらいですが、大断面の梁を通常の1.8m間隔ではなく90cm間隔で掛けることで、間口、奥行きそれぞれ5.5mの無柱空間としています。天井は外貼り断熱化されているので豪快な梁姿が室内から楽しめます。構造が隠れていないということは、普段からメンテの目視が利き、天井を貼る事で部屋の高さも低くはなりません。
天井を見上げたときにリズミカルな印象となるように落とし根太としてあります。ハシゴ状の連続が西野の家の天井の特徴です。この状態で梁の下で2.23m、梁の上までだと2.5mもあります。
羽子板ボルトや隠蔽部分の気密化の様子。後から手が届かない部分は幾重にも手をかけておきます。
二階の一部が跳ね出し、下が玄関になる構成。水平線と垂直線でシンプルに外観デザインをまとめようと思っています。先ほどの天井パターンが見えていますね~。(笑)
今日は建築に恋している全ての人に贈ります。