2010年12月14日火曜日

頑張れあと一歩!

足場が取れた菊水の家。外観は木貼り単色仕上げ。建て込んだ市街地にレッドウッドの色が映えます。温かみのあるレンガ色は、クライアントの奥さんの提案。私からの提案は「単色で行きましょう。」でした。理由はメンテナンスと街並みへの配慮。木材は最も長く使えて、最後は土に還り、再生可能な素晴らしい材料です。反面最低限のメンテナンスが必用です。仕上げ材料の中で単位面積当たりの工事単価が最も安く、プロが行っても素人が行っても仕上がりに大差が出ないのが塗装です。ガルバが良い、いやサイディングがよい等々いろいろ言われますが、50年経ったサイディングや100年経ったガルバリュウム鋼板がはたしてどのような姿になるのか見たことがないので私には分かりません。もちろん両方とも悪い材料ではないでしょうが、歴史の観点から「耐久力があってよい材料は?」と聞かれると最近は木貼りの外壁を勧める事が多くなりました。写真は安価な貫材を押し縁で留めつけた簡素なものですが、実はたくさんの工夫がしてあります。内覧会ではその秘訣もお話しますので楽しみにしていてください。(笑)

エコシラ合板と厚物のフラットバー(鋼板)を稲妻型にレーザーカットした階段。適度なしなりと、空間を圧迫しない「軽さ」を演出できる。下階の気配を知るとともに、熱や光をやり取りする大切な仕掛け。木造3階建てのこの家は、階段の上がり降りのリズム感を統一するために一段の高さも各部各階で共通化されています。

美しいキッチンの意匠はクリナップ㈱直需事業部、石川氏とのコラボレーション。もちろんエコシラ合板の流し台は同社のカタログには載っていないのであしからず。菊水の家のために専用にデザインされました。希少なエコシラペーパーウッドを用いて、引き出しやBOXの木口の印象を引き立てています。キッチンスペシャリストの技を感じてしまいますね~。指のかかり具合、耐久性、引き出しを閉めたときの吸い込まれるような感触、断面と白色のバランス等々、大枠のデザインから、ともすればこぼれ落ちそうなディティール(細部)を徹底的に追及してこの流し台は作られています。㈱クリナップ直需部の特徴は大メーカーでありながら既製品より特注物を得意とするところ。自動車で言えばトヨタ直営のメーカーカスタムショップのような感じです。クリナップ製品に使われている高いクオリティーのパーツを用い、時にはエコシラのような新しい材料にも積極的に取り組みながら、世界で唯一つのキッチンを最高のコストパフォーマンスで作ってくれるのです。大メーカーの品質とほとんどのリクエストが可能な対応のきめの細かさにいつも感謝しています。