本日は待ちに待った階段が掛かりました。まだ手摺がつきますが、部屋に及ぼす光の影響が伝わるでしょうか?実際の壁は白色ですからこの陰影がさらにはっきりします。北側の窓からの光で階段の段板を壁に映しこもう。きっと放射状の美しい影ができるはず.....等々頭の中で考えていた事柄を確認しながら細部に目を光らせます。ちなみに2階からロフトへは、片持ちのささら階段。壁側にもササラを付けると影が美しく伸びないので壁の中に段板を呑み込ませて留めています。印象はご覧のとおり、段板が壁から生えたように見えます。
一方1階と2階の間にある踊り場から2階に上がる階段は下支えの3列ササラ階段。写真では分かりませんが、この階段は壁から離れています。純粋に下支えのササラ3枚で階段を支持しています。
1階から踊り場までが箱階段、段板と段板の間からむこうが見えない安定感のあるタイプです。ご覧のように南あいの里の家では、3種類の階段スタイルを使い分けています。段階的に上に掛かる階段ほど、シンプルに軽く透明にすること。要は上に行くに連れて階段のボリュウム感が薄れるように考えてあります。これは吹き抜けの上部からの圧迫感を押えるためと、上がる人に高さを意識させて注意を喚起させるためです。日本人は足元の見えない、一見怖くない階段を好みますが、このように高さから来る情報をまったく取り去ってしまうと逆に注意をしない癖がついてしまいます。これは本末転倒で、住人を安易に油断させる設計はあまり好きではありません。安全な階段とは怖くない階段ではなく、回り段を設けない、段板の奥行きが24cm以上ある。蹴上げ(一段の高さ)は極力18cm以下にする。そして注意喚起を忘れない。空間を阻害しない。光を遮らない。等々の観点からいつも非常に時間をかけて設計します。お馴染みU棟梁はその図面を見ながら更に時間をかけて作ってくれるのです。
階段手摺の打ち合わせ中。握りには木をつけて握りやすく安全に。細い部材ながら強靭に強く等々確認してゆきます。