2022年4月13日水曜日

Ie(家)ZOOMチャンネル

 今日は最近何かと話題の家系youtubeチャンネルを紹介します。

意外に思うかもしれませんが・・北海道って住宅に特化した様々なメディアがあることで有名な地域。「住宅雑誌リプラン」さんや「北海道発OnlyOneの家づくりさん」などはお馴染みですよね~。実はこれ以外にも建築業界の私たちが読む新聞も数社あります。

今日紹介するのはそんな新聞社の一つ「北海道住宅新聞社」の白井編集長さんのチャンネル。

既に家系youtuberもたくさん居るけど・・よくよく見ると、単なる販促目的だったり、実は北海道のことはぜんぜん分かっていなかったりと・・有名な人でもかなりバラツキありが実情。そんな時はぜひ参考にどうぞ、30年以上地元北海道の住まいづくりを取材してきた現場からの発信は意外な事実を教えてくれる。地元に家を考えているのに大阪や東京の話しを聞いても今一つピンと来ない。そんな建て主さんたちには特にお薦めします。



追分の家基礎工事

縦枠がほぼ完了した「追分の家」。明日は二回目のコンクリート打設です。凍結深度というローカルルールがあるおかげで比較的床下空間が取り易い。止水や計画換気に結露防止&適切な住まい方等々・・色々やるべきことは多かったけど・・容易に出入り可能&使える床下という新たな室内空間が手に入ったことは基礎断熱の開発者や改善に取り組んできた人たちに感謝したい。GL以深に安全な室内を自由に作れるってけっこうハードル高い。現場のみなさま:今日も一日ご安全に!
玄関土間部分にも床下空間を設ける。当然ながら人通口も設けて床下に熱源を設置する。床下暖房は竣工初年のコンクリートの乾燥を促しカビを抑え、もし何かあっても容易に修理点検に人が入れるようにしておく。人通口のない基礎の家を後から改修することは非常に困難という経験に基づいて計画する。
今後は基礎外周部に暗渠管の設置、設備配管、スカート断熱を行う。ちなみにもしスカート断熱を行わない場合・・これよりさらに-400mm基礎が下がる。本来の追分地区の凍結深度はGL-1000mm(札幌は-600mm)・・基礎断熱という安全にコストを圧縮できる技術なしでは特に地方現場の基礎工事は厳しい。
これだけの空間が丸々室内として手に入る・・家の坪数は減ったけど・・収納は逆に増えた。


北海道は暖房好き??

 


「全国のみなさんすいませ~ん」・・って気持ちになるこのグラフ。「おいおい暖房エネが全国平均の3倍+?ってないわ~」とか「足引っ張ってんじゃねーぞ」、「断熱気密で省エネ?ってどの口がだよ~」、「真冬に薄着でアイス食ってるからだぞ」その他・・

まあ北海道以外の地域から見ると・・ボロカスに言われる訳です・・確かにヒートショック(家の寒さ)死こそ克服しましたが、暖房はもちろんお金も掛かる訳で・・まだまだ風当たりも強い今日この頃。

こっから先は余談ですけど・・実は、更なる断熱強化を行えば、太陽光発電に頼ることなく現状の暖房エネの概ね半分程度にはできます。📊(グラフ)で言うと概ね18~20GJ/世帯・年くらい。300mm断熱の家を10年間建ててきてその大体の感触がつかめました。それでも約20GJ/年・世帯くらいは掛かるので・・まだまだ全国平均の暖房エネと比べて約2倍・・これをさらに半分にするのは中々厳しいので・・地域に合った再生可能エネ(南部はPV、その他の地域はPV+薪やバイオマス等々)で化石エネ依存体質を変えて行きたいと思います。

結果として2009年から始めた住まいの超断熱化(300mm断熱プロジェクト)は正解でした。今後、さらに高性能な太陽光発電や蓄電池、その他の環境設備が色々が発売されるでしょう。しかし建物自体に大きな手を入れることなくそれらを全て後から導入可能な住まいにしておいて本当に良かったし、その機会を頂いた多くの建て主のみなさまに心より感謝したいと思います。

今後は北国特有の低い太陽光を受け止める壁面型太陽光発電とか地域の間伐材を薪燃料とする新たなストーブの環境的評価方法、それらを発信して移住者を増やす等々・・北海道の家づくりが新たな時代に入ります。むちゃ大変そうだけどがんばろ!

今日はグリンデイなんていかが



日本人は暖房嫌い??

 

上のグラフを見て10年前なら・・「日本の省エネ技術は世界一」とか「欧米のように暖房(化石資源)に頼らない日本の暮らしこそ真に環境的」、「暖(冷)房をなるべく使わない(嫌う)意識を育てることがよい教育&よい躾(*環境的な意味で)」・・極端なものだと「断熱なんて省エネには無関係」、「日本には断熱より通風換気が相応しい証だ」、「断熱など一手段に過ぎない」、「健康のためならいくらエネルギー(主に化石エネ)を使ってもよいのか?」こんな意見をよく聞いた。その一方でH・ショックに関しては暖房より断熱不足と結びつけて語られることが多かったように記憶している・・あれから10年が経ち最近ではそもそも「従来の断熱等級4(2022年現時:最高等級)では得られる室温が一桁に過ぎない・・」とか、「仮にその上位等級であれど、暖房(日本でいう全室暖房)前提ならば従来(採暖)と同等又はさらに省エネを望むなら非常に高い断熱水準が必要」といった具合に理解の深まりと広まりを感じる・・やっぱ時間って掛かりますよね。

ところで・・北海道や北東北にお住まいの方は「いったい何のお話し??」と思うだろう。実はマクロな視点で見れば暖房しない日本の家は世界から見て極端に寒い。反面それを不思議に思う人が少なく、世界中が暖房の省エネ化に悩む中、意図せずもの凄い省エネを達成しているというお話し。もちろん良い話しばかりではなく・・先進国の中では飛びぬけてヒートショック(家の寒さ)死が多いという事実が分かっている。

そんな理由で暮らしの中にセントラルヒーティングが定着し「暖房」と言えば当然のように家ごと暖めることを指す北海道や北東北の人達が不思議に思うのにはこんな理由がある。

確かに北海道生まれの自分でも子供の頃は「使わない部屋の電気と火は消しなさい」と言われた・・ただそれは随分と昔のことで、最近は出入りの時しか使わない玄関や用を足す以外使い道のないトイレが暖かいからといって顔をしかめる人は少ないと思う。

こんな風に北国では今や当たり前のことが全国に目を向けると全然違う。確かにエネルギーは使えど・・せっかく建てた家が原因で亡くなる人の割合は沖縄を除いて全国一低い北海道。そんな地域性を嬉しく感じます。

今日はカムバックを果たしたIVE。KPOPアイドルの養成は国家戦略なのだそう



2022年4月6日水曜日

追分の家 配筋検査&コンクリート打設

 

昨日は瑕疵保険の検査でした。結果は特段問題なし。基礎チームと松澤さん、奥さんの現場チームの活躍で手直しなしですぐにコンクリート打設の工程に進めます。

基礎工事で大切な点は鉄筋の間隔が設計図通りに組み立てられているか?具体的には縦横20cm間隔を守って組み立てられているかを確認します。

こんな風に撮影用のスケールを取り付けて大切なポイントを撮影して行きます。大切なことは記録に残すことと、それを明らかなかたちで保存しておくことです。

出来上がると基礎内部の鉄筋は見えなくなってしまいます。鉄筋コンクリートで作る建物の基礎は、細くても引っ張りに強い「鉄」と石のように圧縮に強いコンクリートをバランスよく組み合わせることで必要な強度を生み出します。その際の事前確認では鉄筋の種別、規格、径、組み立て間隔、緊結、補強について極力撮影して記録を残します。

まだ夜は雪がちらつくこともある今の季節ですが、コンクリート打設時に大切なのは気温です。ミキサー車が到着し打設時の気温が9℃。気温はけして高くはありませんが安全に打設できる環境です。
打設時の風景です。コンクリートを流し込むとすぐに大まかに均して水平にしさらに丁寧に小さな鏝で均して行きます。基礎断熱をすることで床下を室内として使うのでこの工程はとても大切。基礎屋さんは手際よく進めますが、重たいコンクリートに足を取られながら均す作業はたいへんな重労働。みなさん本日もごくろうさまです。

うーんお姉さんたち上手い!カッコイイ!




2022年4月1日金曜日

追分の家 基礎工事

 

昨日は基礎底盤の下に砂利を敷き詰め充分突き固めて水平に均し、水はけのよい地業を作りました。
本日はその砂利地業の外周部分にコンクリートがこぼれ出ないように縦枠を立て、その内部に防湿と断熱を行って行きます。

長期優良住宅である「追分の家」にとっては大切な工程。しっかり写真を撮って監理記録とします。
現場で使用されている防湿シートが設計で指定したものであるかどうかを確認します。防湿シートも様々なものがありますが、厚手で破れにくいものをチョイスしています。


現場は曇りの後、雪になりましたが大したことはなく、防湿ビニールの上に5cmの断熱材をきれいに敷き込みました。


ここでも設計で指定した断熱材が使われているか否かしっかりと確認します。

その後は基礎の配筋作業に進みました。

こちらは水道の止水栓の立ち上がり。北海道は寒いですから水道管は地盤面下1.2m以深の深いところを通ってきます。床下に引き込むためには底盤を貫通せねばなりません。そこでこのように丁寧に断熱材を開口して立ち上げます。

基礎底のコンクリートのかぶり厚さを担保するスペーサー。鉄筋本体まで7cmのコンクリート被りが取れるようになっています。

敷地内の水を集める釜場ですが増水する様子もなくポンプ1台で今のところは足りています。引き続き注視しもし増水の場合は釜場を増設する予定で作業を進めます。

なぜこれほどまでにファンキーなのか??恥ずかしながら今まで知らなかったが・・なんと演奏がEW&Fなのだとか・・そりゃあそうですよね~。FCCも良いけど今日はオリジナルで!









2022年3月31日木曜日

追分の家 根切工事

 


本日より根切工事を開始した「追分の家」。

施工を担当していただくのは株式会社リノアの松澤所長さん、現場担当は奥さんです。これから約4カ月半よろしくお願いいたします。

写真は早速、表土をすき取った様子。地盤は固い粘土質。直接基礎で杭が不要なのはたいへん望ましいのですが・・いかんせん水はけが芳しくありません。そこで水を集める釜場を掘りそこにポンプを設置して排水しながら基礎工事を行います。

もしポンプがないと雪融け時期の濁った水で工事を行う上で必要な作業視野が確保し難くなります。配筋や防湿処置等々・・大切な作業を濁った水中で行わざるを得なければ、後の確認も難しくなります。

それ以外にも将来的な敷地内の外構(庭や家庭菜園を楽しむ際)また追分地区特有の厳しい冬の寒さによる凍上(地中の水分が凍結し建物や舗装を持ち上げてしまう現象)を防止するためにも、水はけの改善は充分な価値があります。

そんな理由で雪解け水の多い今の時期、基礎工事にはこうした用心深さが必要なのです。

今日はHSCCによる最高のJ.ベンソンのカバー・・音も最高だ





2022年3月24日木曜日

追分の家 敷地の除雪

 本日より敷地内の除雪を開始した「追分の家」・・「ずいぶん融けましたけど・・まだダンプ10台分くらいはありますよね~」と現場監督さん・・メッセンジャーで現場を見ながらの監理は便利でいいけど現場は大変・・果たして遣り方出しまで行けるかな(笑)





これでも札幌に比べて雪は全然少ない追分地区



敷地の奥まで重機を入れての作業はかなりの大仕事

今日はFromis9なんていかがだろう・・美しい4K映像で!



2022年3月21日月曜日

300mm断熱の家NO.38「追分の家」着工準備完了!

 

随分と雪融けが進みましたね~今シーズン最初の着工となる「追分の家」の届け出も終わり着工準備が完了しました。

もちろん北海道が長年、地域に相応しい住まいとして改良を重ねてきた北方型住宅の最新版「北方型住宅2020」の住まいです。
北方型住宅とは?https://www.kita-smile.jp/north2020

上の写真は、当事務所ではもうすっかりおなじみになったBELSの標識です。
外皮(断熱)性能を示すUA値は0.2W/㎡K、生活の中で家電を除いた一次エネ(化石エネ)削減率は35%。寒冷地の人間にとって関心の高い暖房用の一次エネの削減率に至っては45.7%の削減となりました。

ちなみに一般的な北海道の住まいの断熱性能はUA値が0.46W/㎡Kを下回ることを目標にする場合が多いですが、近年のコロナ禍、ウッドショック、2/24に突然勃発したウクライナ戦争の影響で益々高騰が続く石油価格を前にしては全く不十分です。っと言うか・・コロナ前から既に不十分のところに想定外の大波が押し寄せている・・そんな感じでしょうか。

上の表は昨年の11月、国により示された地域別の断熱性能の強化案です。それによれば従来は最高等級とされていた等級4は上から4つ目のものとなりその上に3つの等級(等級5~7)が新設されるようです。


2009年から始めた300mm断熱プロジェクトの家づくりですが全棟がこの新等級6~7に該当します。13年前に始めた試みが、少しも陳腐化することなく、むしろ時を重ねて大切な社会的価値として認識されつつあることは本当に作り手として嬉しい限りです。それと同時に今まで大切な家づくりをお任せ頂いたみなさまに「これからも胸を張ってお住い下さいね」と言える住まいがさしたる苦労もなく提供できる北海道の今は、開業した1998年と比べて隔世の感があります。


こちらが「追分の家」の一エネルギー(化石エネルギー)の設計と基準の内訳。簡単に言えば私たち設計者はハードルとして設定された「基準一次エネルギー」をいかに下回るかを追求します。

300mm断熱の家は簡単に暖房費が半分になりますがその理由が上記のように計算結果にも表れています。実際の住まい手さんは省エネ意識を持ってさらに節約して暮らす方も多いのでこの計算結果よりも良い場合も少なくありません。

もちろん寒さに耐え室温を限界まで下げるような・・やせ我慢的な節約ではなく晴れた日にはブラインドを上げて日射で暖房するとか、暖房する時間をタイマーを用いて効率よく管理するとか・・そんな簡単な工夫で燃料費が減ることは逆に楽しいとみなさんおっしゃいます。これからも北海道の住まい手さんを笑顔にする300mm断熱の家をたくさん作りたいと思います。

今日は最近、製図中にはまっているHSCC
とてもカバーバンドとは思えない。音も最高です!







2022年3月16日水曜日

着工に向けて思う事

只今「追分の家」と「藻岩の家」の着工に向けて毎日、実施設計を進めています。

2009年の「銭函の家」から数えてそれぞれ38棟目と39棟目となる300mm断熱の新築ですが、二年前から続くコロナ禍、昨年から高騰が始まった建築資材(ウッドショック)、2月末から始まったロシアのウクライナ侵攻による今後のエネルギー高騰・・社会は益々先の見通せない様相を呈しています。

2009年当時は漠然と省エネを考えていましたが、最近はつくづくその大切さが身に染みます。幸いにも300mm断熱住宅の住まい手さんから光熱費に対する不満は全くいただいていません。一般的な新築と比べて光熱費は約半分。さらに住まい方が上達すると簡単に更なる省エネも可能。始めた当時は最新の機械設備と断熱のどちらを重視しようか悩んだ時期もありましたが・・13年経って結論が出たようです。

さてそうは言っても社会は更なる省エネや再生可能エネルギー利用・・そして2050年には化石燃料からの卒業を意味する0カーボン社会と新たな目標が見えてきました。今後はコロナも収まって行くでしょうからまた皆さんと楽しめる見学会を復活出来たらいいなと思っています。

さて今日は、最近図面を描きながらはまっているバンドをご紹介いたします。本当にカバーバンド??と耳を疑う完成度。ぜひお聞きください。





2022年2月3日木曜日

大雪と雪庇

連日の大雪と冬の卓越風がした仕事・・「雪庇/セッピ」。
窓を守る工夫って大切ですよね。少しづつ落としましょうか~

南西側を風上として北東側に吹き下ろす冬季の卓越風は巨大な雪庇を作り出す。 


ここまで来ると少しづつ落とすしかない。下手に一気に落下させると落ちた衝撃も凄いので注意です。

きょうはマルーン5なんていかがでしょう

















2022年1月14日金曜日

ホームページをリニューアルいたしました

 ホームページって作ったはいいけど・・なかなか更新が難しく

ついついブログが中心になっいていた㈱山本設計。

そんな中、コロナもあって昨年末の忙しさも薄れ・・久々に制作実績含めてHPを刷新。

ブログのようにUPする写真の大きさをさほど気にしなくてよいので竣工写真をたくさん載せました。ぜひご覧ください。

㈱山本亜耕建築設計事務所HP https://ako-a.com/

今日はKep1erなんていかがだろう



2022年1月2日日曜日

2022明けましておめでとうございます


新年あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
昨年から少しコロナが収まってくれたおかげで、久しぶりに落ち着いたお正月を過ごしています。今の内にしっかりと充電してまた今年もよい年にして行きたいと思います。

2022年の業務開始は1/6(木)~とさせていただきます。

 

2021年12月28日火曜日

2021御礼

 


2021年はまさにウイズコロナな一年でした。今までは年間3~4棟のペースで進めてきた300mm断熱プロジェクトも、中々打ち合わせができない中で少しペースダウンせざるを得ない状況になりました。

その一方で37棟目の300mm断熱となる「桂岡の家Ⅱ」そして築29年の家を250mm断熱&耐震リフォームした「南沢の家」を無事完成させることができました。

また住宅以外にも大きく仕事の幅が広がった一年でもありました。中でも4月から12月まで8カ月間、千歳に通って監理を行った「サーム千歳ドミニオWing13外断熱改修工事」、そしてコロナのために着工には至りませんでしたが築30年の事務所をZEB(ネットゼロエネルギービルディング)に改修するプロジェクトも自分が今まで取り組んできた断熱の知見を活かせる新たな可能性を感じさせてくれるものとなりました。

これらの他にも、北海道大学構内の歴史的建築物を当時の意匠を守りながら断熱改修し再び新たな命を吹き込むプロジェクト、道内自治体のコミュニティー施設の300mm断熱化、自治体の断熱リフォーム改修テキストの作成等々・・色々な人とのご縁から新たな世界が広がりました。

今年も粘り強く各現場を担当いただいたみなさまに心より御礼申し上げます。丸作吉田建産株式会社さま、飛栄建設株式会社さま、そしてコニシ工営株式会社さま、ありがとうございます。また貴重な経験の場を頂いた、各クライアントのみなさま、この場をお借りして一言御礼申し上げます。

来年は38棟目の300mm断熱となる「追分の家」、そして39棟目の「藻岩の家」を作り上げたいと思います。みなさま、またぜひよろしくお願いいたします。


冬季休業は2021年12/29~2022年1/5までとさせていただきます。
みなさま良いお年を!




2021年11月15日月曜日

ニセコの家テラス補修その他工事

 

2007年竣工の「ニセコの家」14年ぶりの補修工事の様子です。

最も痛みの激しい場所は二階のテラス。アクリル板の屋根が付いていましたが雪で壊れてしまい、床のデッキに直接雨が染み込む状態が続いていました。数年前から気になってはいましたが、建て主さんにとっては住まいながらの工事という事もあり、延び延びになっていました。新築時から使っていたペレットストーブが壊れたこともあり、一通り直そうと相成った次第・・さて約15年の傷み具合とは?

傷み具合とは裏腹に住まい手に取って一番好きな場所でもある二階のテラス。補強も兼ねて頬杖を追加して強度を上げます。

竣工当時は跳ね出し梁でしたが厳しい風雪に曝されて腐ってしまい梁継ぎが必要になったのです。やはり定期的なメンテナンスや点検は改めて大切だなと感じます。

こちらが腐ってダメになった材料。雨や雪に曝される環境で、木材がどのように傷むのかをよく知ることができました。

梁は集成材ですが、デッキを留めるビス孔から雨が侵入し梁の内部を腐らせているのが分かります。
こちらは柱の根元ですが、水を吸い上げて腐りやすい様子がよく分かります。やはり屋根がなくなるとすぐに傷み始めるところはデッキを作る際の大切なポイントです。

特に傷んだ時に直すことが難しい2階以上のテラスではこうした雨仕舞と定期点検&メンテナンスが重要な反面、外装の木羽目板は築14年でも痛みは少なく、水の滞留がなければ木材は非常に丈夫なことが分かります。

今年はもう冬なので外部の塗装は来年に回しますが、15年ぶりにきれいに生まれ変わる姿が今から楽しみです。











2021年11月1日月曜日

「サーム千歳」MS外断熱改修工事10月の様子

こちらは着々と進む「サーム千歳」の外断熱改修現場。4棟ある大規模マンションを順次、外断熱化して行くプロジェクトです。地球環境の未来を考える上で今後益々重視すべきは「既存ストックのグリーン化」。そのためには、先細る新築の高性能化だけでは難しい!なので、積極的に取り組んでいます。

上の写真は、シール材の接着強度を下地別に確認しているところ。下地の違いによって接着強度は当然異なるのでよく確認して、適材適所に相応しい製品を使用する。

この日は北海学園大学工学部のみなさんが現場視察にお越しになりました。現場解説をしていただいているのはH主任。

こんな風に壁に75mmの断熱材で外断熱し既存のコンクリート躯体をスッポリ包んでしまします。もちろん室内の温熱環境が改善するのはもちろん、躯体の経年劣化も軽減できますから、定期的な修繕サイクルが伸びて住まい手の負担が減ります。

2021年現時の新築工数は概ね80万戸/年・・今後益々新築が減る中で既存住宅の総数は約5400万戸だそうです。2050年の0カーボン社会を本気で目指すなら、いかに既存住宅をグリーン化して行くのか・・悩ましいですが逃げずに積極的に向き合いたいと思います。

 



2021年10月21日木曜日

きた住まいるサポートシステム

 

みなさんは完成後、自宅建設に使用した図面や各種の届け出の控え等々どうやって保管していますか?重要書類なのは分かるけどガサバるしいつも使うものでもないので本棚に入れっぱなし・・あれれ忘れちゃいました・・なんて不安ですよね。今日ご紹介するのはそんな時に便利な北海道のクラウド預かりサービス「きた住まいるサポートシステム」です。

新築は完成後すぐに既存ストックに変わる。そもそも30年後、40年後に一体それがどういう家なのかが客観的に示せないと、果たして良い家か否か?なんて証明しようもない。自分やもしかしたら住まい手さんだってもうこの世に居ないかもしれないんだから・・保存するって深いテーマですよね。でもこんな風に既存住宅の中味がまとめられていたら便利ですよね。

こちらが「北方型住宅基準」への適合状況を示した「住宅ラベリングシート」の2ページ目。「北方型住宅」とは単なる断熱性能基準&達成住宅ではなくて、30年以上に渡り地域の住まいが経験してきた必要性を満たす設計仕様の住まい。その詳しい中味が「技術解説書」です。
「北方型住宅技術解説書」https://www.kita-smile.jp/north2020

最近、築30年以上の木造建物の耐震&断熱改修をあえて取るようにしている。新築ならほぼ竣工までが見通せるようになったけど・・大規模改修は正直まだ分からないことが多い。その中で見えてきたことは「図面の乏しさ」・・当時の図面は確認申請の副本が残っていれば良い方で図面も実態を必ずしも反映しているとは限らず届け出専用のものも多い。そこで実測と合わせて薄くなった当時の青焼きを見ながらCADデーターに起し直すという地味な作業が発生する。要は既に・・印刷物で設計できる時代ではないのだ・・正直、青焼きやコピーをスキャンして各種のCADデーターに自動変換してくれるシステムがあったら100万金出しても欲しいくらい。特にRCのMS等モノが大きくなるとこのトレース作業だけでかなりの手間となる。そこで以前は電子的印刷物すなわちPDFしか保存できなかったシステムにCADデーターの保存も可能となるよう改良されている。その様子が写真・・仮に数十年後に改修を依頼された設計者は最初からCADデーターを手にすることができるという訳・・お~い!未来の設計屋さんよろしく頼むぜ!(笑)
ちなみに「きた住まいるサポートシステム」に「桂岡の家Ⅱ」のデーター保管が完了すると送られて来るのがこの保管書。私たちも建てて終わりではなくて、次の世代に仕事(図面や情報)を引き継ぐことや、今の住まい手が未来の住まい手(買い手)に良質なストックである旨、客観的に示せるお手伝いをしないとですね。

こちらがその預かり料金表。まずは30年間のお預かりで3万円以内というのは十分にリーズナブルと思うけどみなさんはいかがでしょう?(但し図面等UPロード代金は別途)









2021年10月5日火曜日

桂岡の家Ⅱバーチャル見学会

 いつもブログをお読みいただいているみなさまへ

いつもブログをお読みいただきありがとうございます。ブログもふと気付けば書き始めから12年・・本日ご紹介する「桂岡の家Ⅱ」は37棟目の300mm断熱の家(新築)になります。

この他にも200mm断熱の新築、北海道R住宅として再生した「西岡の家」、250~300mm断熱として性能向上させた「山の手の家」、「帯広の家」、「桂岡の家」、「南沢の家」のリフォームも合わせると43棟。割り算をすると約4軒/年のペースでお仕事をさせて頂いた計算になります。

コロナ禍の前までは住まい手さんのご協力をいただきながら極力、地域の家づくりを広く発信する場として見学会も行ってきたところに・・このコロナ禍・・以前のように自由に家づくりを目指すみなさんとはお会いできなくなってしまいました。


ぜひ音楽と一緒に!今日はヨーロッパのJazzで



2021年9月30日木曜日

桂岡の家Ⅱお引渡し

2021年9月26日に「桂岡の家Ⅱ」を無事お引き渡ししました。約4カ月以上に渡り建設に携わっていただいた全てのみなさま、丸作吉田建産株式会社の吉田社長、N所長、M棟梁そして、今回の貴重な挑戦の機会を与えていただいた建て主さまにこの場をお借りして心より御礼申し上げます。みなさん本当にごくろうさま!そしてありがとうございます。

眼下に広がる雄大な石狩湾を眺めるために敷地のどこに窓を設けるのがいいのか?そんな検討から始まった「桂岡の家Ⅱ」でした。

北東側に広がる美しい石狩湾の眺めを得る居間の窓は、順光で照らされた緑も室内に取り込みます。これからの季節は毎日進む紅葉の赤や黄色が楽しみとなるでしょう。

山と海を愛しサーフィンとウインタースポーツが大好きな家族の住まいです。

こちらがその眺め。晴れて天気がよいと対岸の浜益方面まで見渡せます。普段は沖を行く貨物船、夜間は漁船の漁火も見えて、坂の街小樽の素敵な住宅街が桂岡です。

小樽と言えば市街地の運河や歴史的保存街区が有名ですが、こんなに札幌に近くて環境の良い住宅街は中々ありません。

ご近所さんも古くから住んでいる人たちが多くコミュニティーがしっかりしている印象。住まい手さんと一緒に土地探しをしている間も目が合うと必ず挨拶してくれる姿が好印象でした。

南東側からの立面は前面道路からの視線の侵入を抑えながら、最近特に対策が必要な夏の暑さを抑えるために窓面積を意識的に絞っています。また海を見下ろすテラスは大胆に左手の斜面の上に跳ね出して設けました。

その分一般的な建物よりも断熱を強化し、北側の窓を最大化して景色を取り込みます。

南面には山が迫っているために、南西の光は山に隠れて届きません。そうした理由も定石としての南面採光にこだわらなかった一因です。

雑木林の続く傾斜地を切り開いて作った住宅地なので、建物周囲には様々な高さが存在して、建物の間取りと呼応させることで面白い空間体験ができます。

テラスは丘上からの視線に配慮しつつ雑木林の中にあえて貫入させて、テラスに出るとふわりと緑の中に浮かんだような気分になります。

夜間はまちの照明器具のように浮かび上がるお馴染みの縦格子です。

こちらは海を眺める居間の大窓とテラスの位置関係がよく分かるカットです。階段状に切り土された住宅地に建つ感じがよく分かると思います。

テラスからは雑木林越しに海が見えます。

こちらは夜景。雑木林に貫入したテラス。暖かな室内の光が漏れる夕暮れの風景です。

居間からはいつも海が見渡せます。

今日はBTSなんていかがでしょう。国連より