「芦別の家」は現在、基礎工事が完了し建て方を待つばかりになりましたが、札幌よりも冬の寒さの厳しい芦別で必要になる、北国の基礎工事特有の工夫をレポートします。
写真はスカート断熱と呼ばれる工法で地中の凍結により建物が持ち上がる凍上現象を抑えることを目的に行います。
冬場、地面が凍結する北海道内では地域ごとに凍結深度が定められており、建物を凍上から守るためにその深さより基礎を深く設置しなくてはいけません。
ちなみに札幌市は凍結深度60cm、旭川市なら80cm、芦別市は70cmです。大都市圏の札幌ではコンクリートの価格が安価で、定められた深さで基礎を作ることが比較的容易です。
一方、地方に行くほどコンクリートの価格は急激に高騰し地方都市では凍上を安全に予防しつつもコンクリート量を減らす工夫が昔から求められて来ました。
そうしたニーズに対応する工法として北総研(北方建築総合研究所)が開発したのが「スカート断熱工法」であり、最初にマニュアル化されたのが1997年です。
その後、マニュアルは改定を重ねながら20年以上に渡って使い続けられている工法です。
これにより「芦別の家」では基礎の深さを10cm浅くすることでコンクリート量を安全に節約しています。
「スカート断熱工法設計施工マニュアル」http://www.hro.or.jp/list/building/koho/pdf/gijutu/skart_manual.pdf
基礎工事の最中に見つかった昔の暗渠用配管。電気及び上下水管の引き込みの障害となりますので撤去します。
こちらは敷地内に立てる構内電柱用の基礎。こちらはスカート断熱で浅く緩和していませんから凍結深度の深さがよく分かると思います。
このまま、内部にコンクリートを充填して基礎として使います。
埋め戻しが終わり、砂利が敷き込まれて周囲の敷地との高低差も調整された状態です。
屋根からの雨水を処理する浸透桝です。
左手前に構内電柱が立てられて建て方が始まるのを待っています。