2016年10月25日火曜日

円山西町の家 見学会 お引渡し

10月22、23と見学会を行うことができた「円山西町の家」。通常より約1ヶ月短い工期にも関わらず最高のパフォーマンスで現場を仕上げてくれた「チーム円山西町」のみんなに心からお礼を言います。ほんとうにありがとう。そしてごくろうさま!(笑) 当日は雨の中、遠方からも多くの見学者のみなさんにお越しいただきました。また第三世代に進化した300mm断熱の現場見学を快諾いただいた建て主さまにはあらためて、この場をお借りして御礼申し上げます。私たち地域に生きる作り手にとって自らの仕事を世に問うチャンスをいただくことは貴重であるばかりかとても嬉しいことです。意外にもこうした実践の場を与えていただく以外に地域のものづくりを維持する術はありません。華々しくプロモーションされた大手住宅会社の製品はまだまだ日本人にとって家づくりの憧れであり続けるかもしれません。しかしその一方で別の方法だってあることを示し続けることがワクワクする地域の未来には欠かせないと感じます。
 
実は将来的に現在の職場である大手を辞めて自分で設計ができるようになりたい。という若者が一人で歩いて見学に来ました。図面を真剣に読みながら廻りを見回して質問をする彼がなんだか頼もしく見えました。「たいへんだけど応援してるから頑張ってね!」そう伝えると「はい、今日は貴重な時間をありがとうございました!」と言ってぺこり・・・見学会は様々な出会いがあります。
 
 
この敷地を与えていただいた時から、紅葉や雪化粧した美しい山々をどんな風に切り取ろうかと思いました。一時は窓を床まで下げようかとも考えましたが下に建つ住宅の居間が見えそうだったり屋根並みは必ずしも美しくなかったりと色々検討する項目が多い計画でした。階段を上がって振り向いた時に眼下にある余計な景色を隠して山々の連なりを見せるために窓の腰高を上げようと決めました。
北斜面が敷地ですから、家づくりの定石通り南側に居間を作って窓を大きく開こうとすると、通りの向かい側の家と視線が交錯します。この辺の土地を買う人の多くは眼下に広がる街並みや景色を楽しむために北側に多くの窓を付けているからです。上の写真は南側の立面ですが、通常の場合とは反対に日当たりの良い南面の窓を小さく絞り周囲からの視線に配慮しています。その一方、冬場の日射取得は減りますが、寒々しい室内となってしまわぬように、また素敵な風景が広がる北側を充分堪能するために300mm断熱の外皮性能やトリプルガラスのサッシを使っています。

階段の上がり口から左を向くと正面に薪ストーブ。

建物周囲を雑木林が囲む敷地。様々な風景を切り取って食堂に取り込む南側のコーナーウインドウ。

台所から食堂を見る。

階段を上って居間を見返したところ。
 
今日はピアノがいいです。もちろんお気に入りのヴァレンティーナで。(笑)




北広島の家 満員御礼!

先日の10月15,16と二日間に渡り、「北広島の家」の見学会に来ていただいたみなさま、厳しい工期の中、事故なく美しく現場を仕上げてくれたチーム北広島のみんな、そして地域のものづくりを発信したいという私たちの思いを受け止め、快く見学をお許しいただきました建て主さまに、この場をお借りいたしまして心より御礼申し上げます。当日は札幌をはじめ、旭川や後志管内からもたくさんのみなさんに足をお運びいただきました。中でも嬉しかったのは「今回で3回目です!」とおっしゃる見学会の常連さんがいらしたり、工務店、建設関係者、なんとたくさんの若き設計者のみなさんが見学に来てくれたことです。ご同業の訪問はいつだって緊張するし、裏の裏まで見られちゃいそうでちょっと恐くもありますが(笑)・・・・・ 難解な超断熱住宅のノウハウをプロ、素人を問わず隠すことなく社会に公開(還元)することで、次の世代を担うつくり手たちがもっとワクワクする住いを若い内からたくさん作れるようになるといいなあ~と思います。私もよき先輩方になんでも教えていただいたし、そうやって代々伝承されるからこそ断熱住宅は北海道の特産品なんだと思います。
 
早い秋の夕暮れ。窓に明かりが灯り始めると炎が恋しくなる季節です。
 
郊外の住いでニーズの高いカーポートですが玄関アプローチや物置、夏場の駐輪場を兼ね、車を道路側に出すと北海道名物、BBQスペースに早変わりします。車庫の中で通りの人目を気にしながら煙まみれでやる古典的なBBQもまたおつなものですが(笑)・・・「夏場の屋外ジンギスカンは文化だ!」と考えている私は可能な限りこうした半屋外の空間がつくりたくなります。もうこれからは寒くなりますが、建て主さんには来年ぜひ玄関前の焼肉を楽しんでほしいと思います。

こちらはバックヤードに相当する主婦コーナー。台所から連続していて手洗いやPC、FAX、有線電話も使え、買い置きもたくさんストックできます。一体となった大きなLDK空間は北海道の家の特色ですがそのためにはこうした裏方の空間をしっかり作ります。

こちらは見返し。キッチンは既製品のステン天板を流用し、木目が美しい白樺の積層合板の扉としました。製作はもちろんクリナップ北海道支店、直需事業部の石川さん。最近はクライアントさんの奥様から逆指名も増えました。もちろん今回も美しい仕上がりです。
スワン型の混合栓や木目合わせされた白樺積層合板の扉。

扉を開くと繊維を互い違いにサンドイッチした美しい断面が見える
 

こちらは食卓テーブル越しの風景。食卓テーブルは旭川家具の老舗、匠工芸。
担当は二代目の桑原 強さん。 
こちらは台所から南の窓を見たところ。 

テーブルは片方を壁に固定した一本脚。掃除が楽だし足もぶつけなくて楽ちん・・(笑)

断熱建物特有の残響を和らげる有孔ボードの折り上げ天井。フローリングは北海道産の真カバ材。生産者は瀧澤ベニア株式会社。各部の造作に使うエコシラ合板(白樺積層合板)と共にすっかりお馴染みになりました。
 
今日はクラプトンが聞きたくなりました。

2016年10月14日金曜日

円山西町の家 見学会のご案内


かねてより、「チーム円山西町」一丸となって取り組んでまいりました「円山西町の家」がおかげさまで竣工を迎えることとなりました。この度、建て主さまのご厚意により見学会を行いますのでご希望の方はお知らせ下さい。またたいへん恐縮ですが見学会は事前にお申し込みをいただいた方に限らせていただきますので予めご了承下さい。

■見学をご希望の方は1:住所、2:氏名、3:ご連絡先(携帯可)4:ご来場日時を記入いただき下記のアドレスまでお送り下さい。確認の後、地図を返信させていただきます。
連絡先 teste-ako.ao@dream.com(誤送信防止のためteste-以降のアドレスをお使い下さい。)
(*:いただいた個人情報はご本人様確認以外には使用いたしません。)
 
■円山西町の家とは?
緑豊かな景観が人気の住宅街、円山西町地区。敷地は特に優れた眺望が印象的です。そこに薪ストーブとまちの景色を楽しむ家を計画しました。風景を取り込みながら狭さを感じさせないコーナー窓が特徴の家です。
■コンセプト
「薪ストーブ+まちを眺める家」

 仕様/性能
■平成27年度地域型住宅グリーン化事業(長期優良住宅)
■北方型住宅ECOプラス
■フラット35S金利A仕様住宅
■UA値:0.22W/㎡K
■燃費:3L/㎡年 (300L/年.灯油換算)
■C値:0.2cm2/㎡(中間検査時)

●風景を取り込む木製トリプルガラスのコーナー窓
●冷温庫付物置
●パッシブ換気 (換気と暖房に自然エネルギーを併用する北海道産技術)
●薪ストーブによる炎の見える室内。
●給湯と暖房(熱源:プロパンガスによる潜熱回収型ボイラー)
●樹脂製断熱サッシ(トリプルガラス)
●圧倒的な断熱性がもたらす寒さのない穏やかな室内(300mm断熱)
●夜を楽しむ内照式照明、LED照明
●日々美しく色変わりする木製外装
●屋根はシート防水による無落雪タイプ
 
施 工
株式会社 丸稲武田建設   現場所長:武田 司 棟梁:内野沢 道行
 
サブコンストラクター
●断熱木製サッシ:ガデリウス株式会社      鎌田宏喜
●断熱樹脂サッシYKK430:YKK AP株式会社
●高性能グラスウール:パラマウント硝子工業㈱ 松田三紘
●製作家具:(有)店舗什器製作所          魚谷直人
●断熱ブラインド:P.Vソーラーハウス協会      鈴木 勝
●白樺積層合板:瀧澤ベニヤ㈱            瀧澤貴弘
●デマンド型排気口:㈱マツナガ                            松永潤一郎
●薪ストーブ:新宮商行札幌支店
 
環境コンサルタント
●(有)タギ建築環境コンサルタンツ  Dr. S.M.タギ
 
プロジェクトマネージャー
●山本亜耕建築設計事務所 山本亜耕  
 
■お願い
おかげさまで、最近の内覧会はたくさんのご来場をいただくようになりました。これもひとえにチーム全員の活躍を楽しみにしていただいているみなさまのおかげと心より感謝いたします。しかしその一方で近隣とのトラブル(違法駐車、ゴミ、タバコの投げ捨て等)も見られるようになりました。残念!(もちろん少数の心ない人の仕業ですが/笑) 私たち地域の作り手に興味をもっていただき、貴重なお時間を割いてまでご来場いただくことは嬉しい限りです。ぜひたくさんの方々に地域の職人さんたちの仕事を見ていただきたいと思いますが、こうした現状も踏まえ、希望者限定の見学会とさせていただくことにご理解をいただければ幸いです。ハードルを上げることはけして本意ではありませんが、たとえ人数は減っても実りある見学会を目指してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。 
                         「チーム円山西町」プロジェクトマネージャー  山本亜耕

2016年10月4日火曜日

北広島の家 見学会のご案内


かねてより、「チーム北広島」一丸となって取り組んでまいりました「北広島の家」がおかげさまを持ちまして竣工を迎えることとなりました。この度、建て主さまのご厚意により見学会を行いますのでご希望の方はお知らせ下さい。またたいへん恐縮ですが見学会は事前にお申し込みをいただいた方に限らせていただきますので予めご了承下さい。

■見学をご希望の方は1:住所、2:氏名、3:ご連絡先(携帯可)を記入いただき下記のアドレスまでお送り下さい。確認の後、地図を返信させていただきます。
連絡先 teste-ako.ao@dream.com(誤送信防止のためteste-以降のアドレスをお使い下さい。)
(*:いただいた個人情報はご本人様確認以外には使用いたしません。)

■北広島の家とは?
30歳の若いご夫婦のために設計しました。
私たち日本人の多くは結婚や出産を機に最初の家を考え始めますよね。そんな30~40代で最初に建てる家をテーマにしました。デザインする上で一番大切にしたのは「毎日使えるよい道具」的感覚。けして背伸びしたよそ行き感ではなく、毎日の家事が最短で終るコンパクトな機能動線。リビング+ダイニングといったメインの居室をいつもスッキリ片付けておくためにキッチンや収納、家事コーナー、UT、物置といった充実したサーバントスペースを設けました。
 
■コンセプト
「30代で初めて建てたい家」

 仕様/性能
■平成27年度地域型住宅グリーン化事業(長期優良住宅)
■北方型住宅ECOプラス
■フラット35S金利A仕様住宅
北広島市住宅用省エネルギーシステム設置補助金対象(ペレットストーブ)
■Ua値:0.22W/㎡K
■燃費:3L/㎡年 (300L/年.灯油換算)
■C値:0.2cm2/㎡

●インナーカーポート+寒さを暮らしに生かす冷温庫付物置
●パッシブ換気 (換気と暖房に自然エネルギーを併用する北海道産技術)
●ペレットストーブによる炎の見える室内。
●給湯と暖房(熱源:プロパンガスによる潜熱回収型ボイラー)
●樹脂製断熱サッシ(トリプルガラス)
●圧倒的な断熱性がもたらす寒さのない穏やかな室内(300mm断熱)
●夜を楽しむ内照式照明、LED照明
●歪みのないガルバリュウム鋼板の外装
●屋根はシート防水による無落雪タイプ
 
施 工
●飛栄建設株式会社   現場所長:松田卓也 棟梁:宇野伸二
設備工事:暖房工事  日新配管工業㈱ 担当 長沼氏
      :水道工事  丸松鶴野設備 担当 鶴野氏
●電気工事:株式会社  真電舎 担当 本間氏
 
サブコンストラクター
●断熱樹脂サッシYKK430、330防火設備:YKK AP株式会社
●20kg超高性能グラスウール:パラマウント硝子工業㈱ 松田三紘
●オーダーキッチン:クリナップ㈱ 直需事業部 石川一人
●製作家具:㈱匠 工 芸     桑原 強
●断熱ブラインド:P.Vソーラーハウス協会 鈴木 勝
●白樺積層合板:瀧澤ベニヤ㈱  瀧澤貴弘
●デマンド型排気口:㈱マツナガ 松永潤一郎
 
環境コンサルタント
●(有)タギ建築環境コンサルタンツ Dr. S.M.タギ
 
プロジェクトマネージャー
●山本亜耕建築設計事務所 山本亜耕  
 
■お願い
おかげさまで、最近の内覧会はたくさんのご来場をいただくようになりました。これもひとえにチーム全員の活躍を楽しみにしていただいているみなさまのおかげと心より感謝いたします。しかしその一方で近隣とのトラブル(違法駐車、ゴミ、タバコの投げ捨て等)も見られるようになりました。残念!(もちろん少数の心ない人の仕業ですが/笑) 私たち地域の作り手に興味をもっていただき、貴重なお時間を割いてまでご来場いただくことは嬉しい限りです。ぜひたくさんの方々に地域の職人さんたちの仕事を見ていただきたいと思いますが、こうした現状も踏まえ、希望者限定の見学会とさせていただくことにご理解をいただければ幸いです。ハードルを上げることはけして本意ではありませんが、たとえ人数は減っても実りある見学会を目指してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。 
                         「チーム北広島」プロジェクトマネージャー  山本亜耕

2016年10月3日月曜日

円山西町の家 ディテールその一

「円山西町の家」の特徴は角部分の視界が開けた窓。コーナーウインドウです。小さな家を広々と見せるためには色々な工夫が必要です。視線を極力遮らないのもその一つ。部屋の角を閉めてしまうと人の眼はそこで空間の大きさを勝手に決めてしまいます。もちろんうんと大きな家ならそれでもかまいませんが、小さな家はなかなかそうは行きません。そこで建物の隅から外に視線が通る窓を考えました。南東と北東に付いていてそれぞれの視線を外に通します。南側の窓はキッチンと食堂そして夏場の日射遮蔽を考えて高さを抑えて横長に作り、北側の窓は眼下に広がる街の景色と素敵な夜景を楽しむ窓として高さを大きく取りました。

こちらが北東のコーナーウインドウ室内の天井部分がガラスの外に伸びる庇の軒天上と連続するように高さを合わせます。視線が目印を追いながら外へと広がります。

手前の空間と奥の空間をつないで広々と見せるためにはドアの上にある下がり壁をあえて取り去ります。要はドアを開けると天井が奥まで連続しているように見せることで空間の区切りを曖昧にしてしまうのです。

こちらは白樺積層合板を用いた階段。U棟梁の腕の見せ所です。

普段はこんな風に拡大して建築の部分を見ることは少ないでしょう。しかしこうした部分の緻密さもとても大切なところです。

階段からニ階の空間を見上げたところ。視線が抜けたり、受け止めたり近くから遠くまで飽きのこないパノラマ(室内の遠近感)を作ります。階段を単に壁で囲んでしまうと二階に上がるワクワク感が減少します。難しくもあり悩ましい部分です。

今日はカーリーなんていかが?相変わらずキュートです。(笑)
https://www.youtube.com/watch?v=H7HmzwI67ec