10月22、23と見学会を行うことができた「円山西町の家」。通常より約1ヶ月短い工期にも関わらず最高のパフォーマンスで現場を仕上げてくれた「チーム円山西町」のみんなに心からお礼を言います。ほんとうにありがとう。そしてごくろうさま!(笑) 当日は雨の中、遠方からも多くの見学者のみなさんにお越しいただきました。また第三世代に進化した300mm断熱の現場見学を快諾いただいた建て主さまにはあらためて、この場をお借りして御礼申し上げます。私たち地域に生きる作り手にとって自らの仕事を世に問うチャンスをいただくことは貴重であるばかりかとても嬉しいことです。意外にもこうした実践の場を与えていただく以外に地域のものづくりを維持する術はありません。華々しくプロモーションされた大手住宅会社の製品はまだまだ日本人にとって家づくりの憧れであり続けるかもしれません。しかしその一方で別の方法だってあることを示し続けることがワクワクする地域の未来には欠かせないと感じます。
実は将来的に現在の職場である大手を辞めて自分で設計ができるようになりたい。という若者が一人で歩いて見学に来ました。図面を真剣に読みながら廻りを見回して質問をする彼がなんだか頼もしく見えました。「たいへんだけど応援してるから頑張ってね!」そう伝えると「はい、今日は貴重な時間をありがとうございました!」と言ってぺこり・・・見学会は様々な出会いがあります。
この敷地を与えていただいた時から、紅葉や雪化粧した美しい山々をどんな風に切り取ろうかと思いました。一時は窓を床まで下げようかとも考えましたが下に建つ住宅の居間が見えそうだったり屋根並みは必ずしも美しくなかったりと色々検討する項目が多い計画でした。階段を上がって振り向いた時に眼下にある余計な景色を隠して山々の連なりを見せるために窓の腰高を上げようと決めました。
北斜面が敷地ですから、家づくりの定石通り南側に居間を作って窓を大きく開こうとすると、通りの向かい側の家と視線が交錯します。この辺の土地を買う人の多くは眼下に広がる街並みや景色を楽しむために北側に多くの窓を付けているからです。上の写真は南側の立面ですが、通常の場合とは反対に日当たりの良い南面の窓を小さく絞り周囲からの視線に配慮しています。その一方、冬場の日射取得は減りますが、寒々しい室内となってしまわぬように、また素敵な風景が広がる北側を充分堪能するために300mm断熱の外皮性能やトリプルガラスのサッシを使っています。
階段の上がり口から左を向くと正面に薪ストーブ。
建物周囲を雑木林が囲む敷地。様々な風景を切り取って食堂に取り込む南側のコーナーウインドウ。
台所から食堂を見る。
階段を上って居間を見返したところ。
今日はピアノがいいです。もちろんお気に入りのヴァレンティーナで。(笑)