2014年7月25日金曜日

澄川の家 基礎断熱工事

「澄川の家」の現場では基礎断熱工事が始まりました。右側に見える白い板がEPSと呼ばれるボード状断熱材です。断熱性能を示す熱伝導率λは0.033W/mK。断熱性能は最新の高性能グラスウールと変わりませんが、剛性の高さや土中での耐久性、生産の早さ、断熱から地盤改良まで使える汎用性、5cm刻みに最大50cm厚まで製作可能等の理由で最近よく使います。もちろん費用対効果も高く、当事務所の現場では大活躍しています。基礎断熱の利点は床下という、天井が低いだけで1階の面積と大差ない大空間が室内として様々に使えるようになることでしょう。従来の床下換気口を持つ床断熱は単なる床下という曖昧な空間が使う当てもないままに残るだけでしたが、基礎断熱にする事で、本来各階に設置する暖房器具を床下にまとめる事ができたり近年は冷房器具も設置が可能になっています。この他にも、寒冷な外気を床下で一端温めてから室内に供給したり、水道凍結の心配がなくなったり、照明を設置すればけっこうな物置空間としても使えます。一方で注意が必要な点は防蟻対策やコンクリートの湿気によるカビ、夏型結露、止水防水対策等です。まだ新しい基礎の作り方ですが、こうした対策のもとに採用すると家全体にとってメリットが大きいのも基礎断熱の特徴です。

基礎断熱に用いるEPSは厚さ160mm。この程度断熱すると冬場、基礎の周囲の雪はぜんぜん溶けない。零度以下で粉雪の状態の雪が基礎周りを覆うと、天然の附加断熱となって外気の寒さで床下が冷えることはない。反対に中途半端に基礎断熱すると家の中の熱が基礎の外周部の雪を溶かし基礎と雪の間に隙間が出来る。そこを冷気が吹き抜けることで空冷よろしく基礎はどんどん外周部から冷やされる。

写真では断熱材の左側に接して型枠を使っているが、100mm以上のEPSなら強度的に本来型枠は必要ない。基礎にも外壁と同じグラスウール300mm相当の性能を求める場合は基礎の室内側に120mmのEPSを用いる。こうなると基礎の外周部はオール型枠なしとできる。一方で脱型時にジャンカや充填不良を目視できなくなるために、室内側は多少手間がかかってもボンドによる接着を行う作り手もいる。
 
今日はV.リシッツアなんていかが