2012年3月10日無事、「春光の家」のお引渡しが完了しました。
思えば2010年の10月から始まった「春光の家」の計画、1年5ヶ月の間にはさまざまな出来事がありました。学生から修行時代を過した旭川の仕事。初心にかえって精一杯努めようと思いましたが、実現までには素晴らしいクライアントさんをはじめ、たくさんの方々の知見や心からの協力が最大の原動力になりました。
熱環境的には圧倒的に不利となる大規模な平屋でありながら建物の断熱や省エネルギーの計算を一手に引き受け、気密をはじめとする性能検証に尽力してくれたDr.タギ氏。
一年で最も困難な季節にありながら、工夫に工夫を重ねて現場を切り盛りした㈱橋本川島コーポレーションのN所長、計画から着工までをサポートしてくれたT課長、積算課のMさん。外装の膨大な杉板貼りや手の込んだ意匠を受け持ち、最高の気密性能まで実現してくれたK棟梁とM職長。旭川大工の優れた技量を楽しみにしながら毎週現場に通うのがとても待ち遠しかったです。
家中に光を溢れさせ、透明度の高い空間が自由に連続することを可能にしてくれた㈱エンヴェロッブのYさん。高い性能要求値に見事に答え最高のトリプルガラスのスクリーンで中庭を囲んでくれました。ほとんど全てガラス貼りにもかかわらず性能は一昔前の10cmのグラスウールと同じというスペシャルトリプルガラスには恐れ入りました。すっかりおなじみになった遮熱ブラインドも大活躍です。
室内の造作家具の全てを担当した㈱匠工芸の二代目Kさんには、さまざまな難題を解決していただきました。クライアントが心から愛する地域ブランド「旭川家具」。中でも匠工芸のものは和の精神を現代的な美学で表現するデザインが多くのファンを生んでいます。割れをはじめとする木の欠点をむしろ積極的に技で美に変える姿勢は、簡素でありながらも、上質な作り手の良心を伝えています。今回も全ての家具には「匠」の焼印が入れられ同社の市販品を凌ぐ仕上げが施されています。
屋根を担当した㈱プロテックのYさんと0勾配屋根を教えてくれた先輩建築家の小室さんなしではこの建物を特徴付ける塔屋の連続するアイディアは成立しませんでした。複雑な形状にマッチする信頼性の高い防水とそれが今までの北国が抱える屋根の問題点を大胆に解決してくれました。
室内の汚染空気を回収しその熱でヒートポンプを稼動し暖房と給湯のお湯を造るという寒冷地向けのHPユニットを提案してくれたガデリウス㈱のKさん。今後のデーター取りが楽しみです。
ガスと電気二つの調理の熱源を持ち、コの字型の洒落た製作キッチンを担当してくれたクリナップ㈱直需事業部のIさん。毎回ながら見事な出来栄えでした。通常の家の3倍の照明回路や間接照明を丁寧に仕上げていただいた㈱亀谷電設のK専務。初めての室内空気回収型のヒートポンプに取り組んでいただいた㈱アサダ設備工業のI部長。「チーム旭川」の全員にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。また貴重な経験とチーム全員に素晴らしい仕事を与えていただきました建て主さま、ほんとうにありがとうございます。いただいた貴重な経験をもとにますます精進したいと存じます。
リビングから中庭の眺め
キッチンから食堂を見る。
ブラックチェリーの突板を用いた洗面化粧台の4点セット
洗面所の上部には専用の天窓が設けられている。
■データー(「春光の家」)
①:Q値 0.9W/㎡/k(機械換気0.3回/h)
②:C値 0.2cm2/㎡(建物完成時)
③:必用暖房容量 6.5kw(*:但し外気温-13℃、室温22℃の場合)
*但し暖房対象面積:248㎡/75坪
④:断熱 フェノールフォーム90mm外貼+GW24kg/m3
壁:35cm、屋根:40cm相当(グラスウール24kg/m3換算)
⑤:換気 1種熱交換換気HP
⑥:暖房 土間下:低温水パイピンング、補助:電気式パネルヒーター
⑦:給湯 電気温水器(但しお風呂のみ)
今日の気分は映画のエンドロールですね~(笑い)
ご一緒にインデイーでもいかがでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=-bTpp8PQSog&feature=related