2011年11月17日木曜日

春光の家 建て方

11/14.15.16と雪に見まわれた旭川。雪の中「春光の家」の建て方が概ね終了し建物の姿が現れてきました。印象は低く長く、平屋独特のプロポーションが印象的な外観です。
今日はじめてお会いした棟梁はN所長も太鼓判を押す若きK棟梁。大工さんの平均年齢がどんどん高齢化する中、たいへん貴重な人材です。棟梁を助け最高の現場になるように精一杯頑張りたいと思います。建築はけして設計屋だけではできません。ブログをお読みの方は既にお分かりのように、建築というものづくりは、たくさんの人たちがそれぞれの職能を発揮し、互いに尊重し合いながら少しづつ成果を積み上げることでしか完成しないのです。

極力、エネルギーを用いないで雪かきの手間と労力を低減するために屋外アプローチの上部には全て上屋がかけられています。写真は車庫内から通りを見返したところ。

しっかりと先張りシートが掛けられた梁。「春光の家」の壁構造は「南あいの里」や「菊水」と同様のものですが、室内側の専用配線層にも50mmの断熱材を充填し壁:35cm(GW24kg/m3相当)とします。

居間の奥に立って、スタデイー通り南西側の二階建ての窓の視線がまったく居間に侵入しないことを確認します。模型とCADのおかげでこうした検討は格段に楽になりました。

大きな断面の梁は羽子板ボルトを二丁掛けしてしっかり固定します。頭が小さくカーブがきれいなこの羽子板ボルトは、メルト羽子板。クレテック金物が使えない場合や梁を露出する時に見た目がきれいな金物は重宝します。

古くからの住宅街として既に建て込んでいる春光地区は、ご覧の通り周囲の家の窓が全てこちらを向いています。こうした環境の中でほんの少しでもプライバシーを得ようとすることは、なかなかに大変なことです。問題の解決は建築家ごとにさまざまなアプローチがあって実に面白いものですが、設計というものづくりが特殊なのは、いつも解決すべき事柄を必要とするというところでしょうか?(笑)たとえば機能性であったり、こうしたプライバシーの獲得であったり、素材や色、家族に対する考え方や、各人の距離感といった事柄を解決するために必要なのが設計でありまして、「おまかせ!」といわれると逆に困ってしまうのです。たまに「予算も時間も敷地も好きなだけ使えたらどんな設計をしますか?」と聞かれることがありますが、その場合は設計の必要自体が希薄になってしまいます。困りごとあっての設計!確かにちょっとMな職業かもしれませんよね。(笑)

きょうはM.ブランチ、かっこいいです~。

若くて才能溢れる彼女ですが泣きのギターで有名なC.サンタナとの共演も味わい深いです。