平成21年度の北方型ECOモデル事業(北海道版長期優良住宅)が昨日セミナーとともに終了しました。会場となった札幌ファクトリーホールにはたくさんの市民が訪れ、事業内容の説明や北方型住宅の説明に熱心に聞き入っていました。弊社設計の銭函の家も無事決定通知を頂き一安心です。ほっ!さてここで北方型住宅について少し説明いたしましょう。北方型住宅とは一言で言えば住宅の地域ブランドです。小泉改革以前、全国の住宅のほとんどは住宅金融公庫の融資と基準により建てられていました。簡単に言うと、融資を受ける代わりに各地域別のきまりを守りなさい。というわけです。寒さの厳しい北海道の住宅も「I地域仕様」として、各部の断熱性や気密性等々細かな技術基準が仕様書に決められておりました。着工前の届けとして義務付けられている確認申請の時にはこの仕様書に施主、設計者、施工者の三社が捺印し、基準を守ることを約束することが受付の条件でした。しかし小泉改革の中で住宅金融公庫は既にその役目を終えたと判断され廃止されます。じつはその本体は住宅金融支援機構として存続しますが、主な役目は直接融資から債権の買い取り業務へと体質を変えるものでした。これを境に民間金融機関は自社の金融商品を主に販売するようになってゆきます。以前は住宅金融公庫の地域販売店として手間の掛かる他社の商品を売らされていたかっこうの民間にとっては、審査や金利に自由度のある自社製品のほうが、はるかに魅力的です。反面、融資の条件からこれまで当然とされてきた性能基準がなくなります。民間ローンの場合は融資に際して本人の経済力や信頼性が重視され、建物の性能は重要視されなくなってしまいました。この傾向は現在も基本的には変わりませんが、担保となる建物が早く壊れることは、施主を始め銀行にとってもけっして好ましいことではありません。そこで現在では瑕疵担保履行法や住宅品確法等により建物の性能を担保しています。しかしこうした全国一律の法は、気候や風土の異なる各地域にきめ細かく対応しているとはいえません。特に冬の長い北海道においてはよりきめの細かい専用の基準が必要です。その基準が「北方型住宅」と理解すると分かりやすいと思います。北海道版の長期優良住宅である「北方型ECO」はこの「北方型住宅」基準をさらに強化した内容です。施主が補助を受ける場合にはこうした全国トップレベルの性能基準を守ることに加え、その普及と啓発に協力することが求められます。新築をお考えの方や性能に不安を感じる方は、「北方型住宅基準でお願いします。」と設計士や工務店に頼んでみてはいかがでしょうか?地元で長年研究され鍛えられた仕様で建設することは建て主にとってきっと大きな安心につながると思います。今年は材料も技術も地場産で!なんていいと思いませんか。(笑)
詳しくは北方型住宅hp http://www.kita-sumai.com/
熱心に聞き入る来場者のみなさん。