2013年11月13日水曜日

西野里山の家 内装工事

雪が残る「西野里山の家」。山は一夜にしてすっかり冬の装いになりました。

屋根の頂上から琴似方面を望む。最近完成したタワーマンションが見えます。

室内では棟梁が床のフローリング貼を開始しました。今回のフロア材は本来は体育館用のものを住宅用に加工し直したもの。材種はカバ材で板巾は9cm、厚みは1.8cmもあって頑強そのもの。道内で加工したので継ぎ目の部分の精度が高く、棟梁も満足の様子。「やっぱり国産はしっかりしてるわ!しっかし硬いけどね~」とのことでした。

実はこのフローリング材、3mm厚の無垢材のラミナを6層重ねた複合材。全て無垢のものに比べてやはり曲がりや反りはほとんどなし。

目地の精度が高くて棟梁も貼っていて気持ちいいのだそうですが、反面硬いので加工は難しいのだそうです。

今の現場の状態。

電気屋さんが気密シートの内側で配線を始めています。

南西側の高窓からは、ずいぶん傾いた冬の明るい日差しが入ります。
 
今日はロックね~paramoreなんていかが?かっこいいです!
 
 

2013年11月11日月曜日

チーム西野里山 懇親会

先週末は、「チーム西野里山」の懇親会でした。
この集まり、当初は珍しかった30cm断熱のプロジェクト(今でもそれはあんまり変わりませんけど/笑)を協力各社さんに周知することを目的に始まりましたが、回を重ねるごとに建て主さんと現場を結ぶ出会いの場に性格を変えてきています。最近では、地鎮祭や上棟式さえ行わないケースが多く、建て主さんにとってわが家を作る人たちの顔が見えない現実がむしろ当たり前になりつつあります。数千万円にも及ぶ投資をしながらたくさんの作り手たちを知る機会は失われ、自分が地域にどれだけの貢献をしたのか知る術もない。あらためて考えると出会いを失うことは、私たちが普段感じるよりもはるかに残念なことなのかもしれません。私の専門からは離れますが、「建築」というものづくりは地域の「総合成果物」と呼んでもよいと思います。小さな家一軒建てるためにも15以上にも上る専門職の他に神社、お寺、教会、生産者、コンサルタント、問屋、建材店、流通事業者、運送業者、司法書士、土地家屋調査士、土地建物取引主任者、Fプランナー、建築士、銀行、生保会社.....お酒屋さん、お花屋さんに至るまで必用で、なによりそうした人たちが地域に根付いて暮らしてゆけることが欠かせません。要は地域の「ものづくり力」がインフラとして健全に保たれていることではじめて地域の家づくりが意味を持つのです。また建築はリアルそのものですから、ネットでできることは意外に限られてきます。ネットを悪く言うつもりはありませんが、システムの組み方次第では、地元で家を建てたのに、建て主の貴重な投資がほとんど地域に還元されないことも近年では珍しくありません。最新の調査によれば、日本のサラリーマンの平均年収は409万円で、最も高かった時期に比べて約60万円も減っているそうですが、そんな中で地域に落ちるべき貴重な資本がどんどん地域外に流失し、極端な例では国外に登記した本社の預金残高が増える(日本で儲けても税さえ払わない。)ことに知らずに協力しながら、もう片方で地域の疲弊を嘆くという構図にもっと目を向けるべきだと思います。そんな意味でもなるべくチームの多くが、建て主さんにお会いして一言感謝を伝える機会は大切だと感じています。最近ではこうした人的コーディネートのことを「コミュニティーデザイン」と呼ぶのだそうですが、私も地域に生きる作り手の一人としてこうした事柄に引き続き取り組んで行きたいと思います。


今日はM.ブランチなんていかが?
http://www.youtube.com/watch?v=NERmgwWfnoI

2013年11月9日土曜日

西野里山の家 気密測定

11/7(木)に「西野里山の家」の気密測定を行いました。結果はといえば初日は思うように数字が出ず...。

Dr.タギ氏により送風機取り付けの下準備。この丸い穴に送風機を付け室内の空気を抜くことで室内と外部に気圧差を作り出して漏気量を測定します。室内の空気を人工的に抜くと当然ながら室内は外部に対して気圧が低い状態(負圧)となります。外部と内部は平衡しようとしますから、外部の空気(正圧)が建物の隙間という隙間から室内に流入してきます。要は気密がよければ差圧が高く維持できますが、反対に悪ければ差圧は維持できません。誠に簡単な理屈なのですが、建物のような大きな規模となると中々均一に全体を気密することが難しくなります。自らの仕事の出来栄えの確認と万が一見落としがあればこの段階で発見し適切に対処することを目的に、作る建物は全数この気密検査を行っています。

今回は、飯田ウッドワークシステムさんの新開発のサッシを用いますが、中でも片引き戸は戸全体がスライドする構造上、気密を取ることが極端に難しいサッシといえます。二階のリビングから焼肉デッキに気軽に出入りできるように大判の片引き戸を付けましたがこの部分がとても気がかりでした。

さて準備が整いまずは1回目の計測スタート。

壁のビニール(気密層)がパンパンに張り、性能が出ている雰囲気満々なのだが1回目のC値(相当隙間面積)は0.5cm2/㎡と振るわずその日は一旦終了。
                                
当初はやはり片引き戸を疑ったが、結果は全く漏気は無し!「おーっ!すごいぜっ!飯田さん~」
 

結局、怪しいところに当てを付けてまた明日のチャレンジとなりました。

漏気部分を発見の瞬間!

なんと対策が済んだ次の日は一気にC値が0.2も向上しC値0.3cm2/㎡。最終的には0.2を目指します。毎度ながら計ってみないと分からないものですね~。(笑)

今日はマイケルね!マイケル! 元気だったころのマイケルでビートイット!
ギターはS.ルカサーとE..ヴァンヘイレンね~こちらも最高!

2013年11月7日木曜日

恵庭の家 地鎮祭

いよいよ、「恵庭の家」が着工いたします。11/4は地鎮祭でした。今年の二月にご相談をいただいたご夫妻は、出身がお二人共に本州とのこと。大学時代を道内で過ごし、卒業後も帰郷せずに職を求めご結婚されたとのこと。最終的に移住を決意された理由は、やはり北海道への熱い想いのようで、お二人とも都会生まれの都会育ちながら、都会ではない北海道のよさが、私などより遥かに見えているなと感じました。敷地も当然ながら恵庭市の郊外で、本来は市街化調整区域ながら田園型住宅地として開発されたところ。敷地内には以前の住人が植えた庭木も残り、緑豊かな環境です。

なんでも当日は、地鎮祭の引き合いが多く、開始は夕方になってしまいましたが、冬の夕焼けがとてもきれいでした。

みんなで拝礼し、式が始まる頃にはどんどん暗くなりはじめ...

宮司さんが、建物の中央に埋める、「鎮めもの」をくれた頃にはすっかり夜になり。

広い敷地の四つ角をお清めして無事終了いたしました。
再び心も新たに頑張ります。みなさんでよい家づくりにしましょう!(笑)
 
ふと最近想うのですが、いつも不思議な出会いから仕事が始まります。
今日はくるりなんていかがでしよう。
 
 
 
 

2013年11月5日火曜日

リプランさんの取材 2013年11月29日号

先日、地元の住宅雑誌リプランさんに「前田の家」を取材していただきました。2013年11月29日号に掲載予定とのこと。ぜひご覧いただければ幸いです。詳しい内容はお楽しみですが、炎のある暮らしについての特集です。もうすぐ寒い季節が来ますね~、以前は家の中から炎をなくすことを考えていた時期もありましたが、最近は30cm断熱した上であえてペレットストーブなんかをよく使います。作り手としていろいろ悩むんですが、やっぱり冬のよさを引き立てるのって炎のある暮らしなのかな~?なんて最近よく考えます。ふと気付くと薪やペレットのストーブの採用がどんどん増えてきました。(笑)

家庭菜園ももうすぐ最後。また来年のお楽しみ! 見事に味わい深く変色した外壁の松板。なんていうんでしょう...このエイジング感? な感じがけっこう最近はまってます。

なんばんも真っ赤。干しておくと極上の一味唐辛子になります。

向かって右は今回の企画担当のSさん。奥さんとなにやら打ち合わせ中。

 
 
 
結局、奥さんや子供たちまで総出演でなかなかに賑やかな取材となりました。(笑) お忙しい中お時間をいただきました建て主さま、そしてSさんをはじめリプランのスタッフのみなさま、この場をお借りして御礼申し上げます。(写真は黒板に夢中になって落書きする子供たち。「前田の家」は玄関正面が壁一面の黒板になっていて家族全員で黒板を楽しんでいます。これは面白いのでぜひお勧め!家で親も子供も、精一杯落書きできるなんていいと思いません?/笑)
 
今日はQueenなんていかが 「Teo Torriatte」 くう~っ! 美しい~っ!フレディーっ!(笑)
 


2013年11月4日月曜日

西の里山の家 木製サッシ工事

前回も書きましたが「西野里山の家」の特徴の一つに、超高性能国産サッシの採用があります。従来の倍にも及ぶ高い断熱性能は冬のみならず夏の涼しさにもたいへん効果があります。もはや「断熱」という知恵は北国の単なる冬対策ではなく、その地域ごとのアレンジを加えると、場所を問わない建築の要件といってよいと思います。また3.11以降特に暮らしとエネルギーの関わりに関心が高まったことや、最近では地域経済学的な視点から、エネルギーを必要以上に使わないことは単なる家計の節約のみならず、製造業の競争力を高め、小さなまちの発展にさえ欠かせないことが明かになって来ました。考えてみればその通りなのですが、自らの工夫でエネルギーを作り出すことと同じくらい、使わなくて済むことは大切です。ほんの少ししか必要ないのなら、多少不安定な自然エネルギーでも不便は少ないでしょうし、太陽光パネルや、風力発電、燃料電池の容量さえも小さなもので足りるようになります。要は必用な設備の規模を圧縮することは建設時のコストを下げますし、結果として競争力の高いものづくりにつながります。小さなまちだって、エネルギーを自給できるようになれば生き残ることができるようになります。

硝子を入れた後、周りをシールするための下準備を行うガラス屋さん。

規格品のサッシとは異なり、ガラスは枠を取り付けた後に入れる。気密が十分に出るように飯田ウッドワークシステム㈱では、ガスケットを用いずに直接シーリングを打って、硝子と枠の間の気密を取る。

バックアップ材を入れているところ。

南側の巨大な開口部。

小さな硝子は国産のものだが、大判のものは、ハンガリー製。省エネ意識がEUに対してまだ低い日本では、大判のトリプルガラスは高価。国内での競争力強化と今後アジアでの積極的展開を狙う同社では、この問題に取り組み新たなガラス供給の商流も開拓している。こうしたところは新世代の窓メーカーとして木製サッシメーカーひしめく道内でも際立っている。従業員数10名程度の小さな地域のメーカーながら、世界を見据えた戦略をもち開発する製品はワールドレベル。私も見習いたいと思います。 
南側に開く大開口部。
 
 
大判の硝子は、ハンガリーのジュリッヒ社製。

写真はガラスメーカーのジュリッヒ社のHP


飯田ウッドワークシステム㈱では、サッシの性能認定を国内規格のJISではなく、ドイツのパッシブハウス研究所の認定であるPHIを最初に取得している。ドイツの誇る、省エネ住宅の世界的なブランドである「パッシブハウス」は用いる各マテリアルが同研究所の試験をパスした認定品であることが求められる等、たいへん厳しい仕様で知られるが同社のサッシはその中でも最も高いランクとされるAランク(PHI-A)を取得しており、U値は最新の国産に多い1.3W/㎡kを大きく凌ぐ0.79W/㎡kというもの。こうなると一昔前の10cmのグラスウールとあまり変わらない。この窓を使えば年間に必要な暖房エネルギーの3割以上を日射でまかなうことが難しくなくなるし、窓の面積を増やして北海道らしからぬ、明るく開放的な家にすることもできる。
 

2013年10月26日土曜日

西野里山の家 サッシ搬入

リビングに取り付く大型の引き戸。今回の断熱サッシ担当は飯田ウッドワークシステムさん。久々の登場です。今回は同社が世界戦略用に開発し、ドイツのパッシブハウス研究所の認定をもらったトップグレードのサッシを使います。

こちらは小型の窓ですが、硝子はトリプル硝子、二枚のLOW-E硝子+フロート硝子一枚。ガス層は二つとも16mmのアルゴンガス層。スペーサーは特殊な樹脂製です。国内でこのタイプの硝子を作るとたいへん高価なので、同社ではいろいろと商流を含め工夫をしたそうです。

こちらは外貼り断熱の様子。丁寧に皺を入れずに、無理に押し込まずにグラスウールを入れてゆきます。一見、神経質に聞こえますがグラスウールをはじめ綿状の断熱材は無理に押し込むとすぐに性能が2~3割りも落ち込んでしまいます。

窓の上の庇の様子。補強プレートを入れて薄く跳ね出します。

 

屋根と壁の冷境部分にウレタンを充填して補強します。
 
先日E.W&ファイヤーの特集をやっていて無性に聞きたくなりました。
 

2013年10月23日水曜日

西野里山の家 構造検査前夜

 
日がずいぶん短くなりました。「西野里山の家」の現場では構造金物が全て取り付き明日の民間保険機関の第三者検査を受ける準備が整いました。現場ではM主任が最後まで残って後片付けと最終確認に当たってくれていました。このブログをお読みの方は既にお気付きだと存じますが、現代の住宅の現場は非常に多くの役割を担った人たちで運営されています。今の時代にはめずらしい完全アナログなものづくりの世界ですが、不思議なことにこの方がものがよく分かるのです。リアルな世界ってやっぱり大切です。(笑)
 
今日はパフィュームでも http://www.youtube.com/watch?v=Qa68G3Fjc9s

2013年10月22日火曜日

西野里山の家 断熱下地工事

昨日から本格的に始まった断熱工事。今日は外貼り部分を中心に見てゆきます。まず写真はパイプファンのケーシング部分。予め位置決めをし、ガスケットやテーピングでしっかり気密処理してゆきます。

下屋の屋根の部分。白のタイベックが通気垂木の下に連続しているところを確認。もし通気層に水が入ると屋根の勾配を流れ、再び壁の通気層を流れて地面に排水される仕組みタイベックが一筆書きのようにシンプルに連続していることが大切です。ちなみにタイベックは防水紙とは違いますが、水蒸気を通す反面、水は通しません。

壁の付加断熱の垂木組み。ここに14cmのグラスウールを入れます。

窓下の一段下げられた断熱下地。ここは水切りと絡むために少しだけ下げておく必用があります。

日射遮蔽の庇を支持する鋼板。これで薄く美しく庇を跳ね出すことが可能になる。

機械換気とパッシブ換気の排気口。

外から見ると現在はこんな感じです。