2012年5月14日月曜日

キッチン好きですか?その2

朝日の入る「菊水の家」のキッチン。居間、客間、台所、食堂、ファミリーコーナーを極力仕切らず連続させて計画することが求められました。その中心となったのが30cm床を持ち上げたキッチンスペースです。コンパクトながら4人掛けのテーブルを調理台に連続させた構成は「西野の家」に似ていますが、間取りとの関係がユニークなところが特徴です。

キッチンの廻りをぐるりと歩ける動線でコンパクトながらストレスがないように工夫しています。

調理台の前に立つと左前方に居間、中央の階段(上階と下階の様子)、右側のファミリーコーナーが一度に見回せる。動線的には全て回遊動線となり行き止まりを極力設けないのが奥さまの好み。階段横には、インターホン、暖房、給湯、換気、電力積算計のリモコン子機が全て集中し現在の家の様子が一目で分かる。

人造大理石の天板と白樺積層合板のスペシャルバージョンに当たるペーパーウッドで作られた調理台とテーブル。白樺の薄板の間に再生紙を挟み、色を出している。体にあたる部分は丸面にシャープな意匠性を追求するところは角面に木口を使い分けている。

引き出しの部分は斜面として素材の断面の美しさを生かすように工夫した。


二階の突き当たりに作られた「南あいの里の家」のキッチン。主婦の居場所を明確に決めてその中に必要な機能を効率よく配置するのが大きな特徴。「菊水の家」が台所と食堂の境が曖昧な考え方であるのに対してこちらは台所と食堂は空間的には一体ながら動線上は領域分けされている。左上部は屋根から吊り下げられたロフトと洗濯干しスペース。左側の床はスノコとなっていて二階にいながら下階の様子が分かる仕掛け。また下階から見ると明るい二階の光が降り注ぐ。


建物の全体と家の前を見通せる位置に台所がある。

L型とI型を合体したような構成の対面式キッチンは食卓カウンターも兼ねる。食堂側から背中が見えないこと。内部に家事コーナー(右奥)を設けて居間と食堂に家庭事務の痕跡が出ないように工夫することが求められた。吹き抜けのために調理台を照らす照明は二本のワイヤーから吊り下げるタイプ。調理台は高さ80cm、レンジ台は75cmとして使い手の体格と鍋の振りやすさに配慮している。

精度良く納められた、白樺積層合板。の出隅部分。

さて~いかがでしたでしょう?(笑)キッチンってすごく大切ですよね~。単体の機能のみならず間取りといかに効果的に絡んでいるか?ここも実は非常に(もっとか?)重要なところ。また最近は内照式照明のリクエストがほとんどなので照明計画との絡みも気が抜けません...
まあ~私にとっては各家庭の主婦のみなさまが毎日楽しく台所に立てることが一番嬉しいのですが。(笑)

今夜はO.ピーターソンなんていかがでしょう?






2012年5月12日土曜日

キッチン好きですか?その1

毎度ながら設計の密度を要求されるところにキッチンがあります。特にここ最近、北海道の間取りはL+D+Kが多いこともあって大切なインテリアのポイントとしてさまざまな機能やデザインが求められます。「春光の家」のキッチンは「コの字」型レイアウト。長身の奥さまに合わせて調理台は高さ90cmのステンレス製天板となっています。メインシンクの他に食堂側から使えるパーティーシンクを持ち専用の浄水器も装備しています。

メインシンクの上に吊戸棚をもつスタイルは対面型では珍しくなりましたが、収納力は格段に上がります。加熱機器がガス火口×2、BBQグリル×1、IH×1という構成なので、間口が1.2mのレンジフードをチョイスしました。床はタイル、火口前の壁もタイルです。


しかしなんといっても「春光の家」のキッチンが特別なのは、台所専用の天窓を持っていることでしょう。これにより調理場に外光が降り注ぎ、換気や冷却も簡単にスピーディーに行えます。自分だけの青空が見えるのもとても気持ちのよいものです。

左からハイカロリーバーナー×2、BBQグリル×1、IHクッカー×1、電気とガスの調理熱源を持っています。
                                
「宮ノ丘の家」のキッチンは二階の居間の中で最も眺望のよい場所につくられています。キッチンから見る朝の風景は格別ですし、山が近いせいでたくさんの野生動物を窓から見ることもできます。早起きをしたら朝が楽しくなるキッチンです。                               

朝日が入る明るい場所につくられたキッチン。食堂側には食器収納スペースを設け、その上の手元隠しはマガジンラックとなる。デザインの特徴はナチュラルな木の風合いとステンレスの組み合わせ。白樺積層合板とステンレス製天板の簡素な風合いがこの家の奥さまの好み。加熱機器はIHクッカーとオーブン機能付き電子レンジのオール電化バージョン、食洗機付。床も白樺のフローリングでコーディネート。二階のキッチンながらゴミ出しや冷却調理がスムーズにできるように外部テラスにリンクさせた動線としている。もちろん天気のよいときは二階のテラスで山を眺めながら家族で食事ができる。


手元隠しの裏側は奥行きの浅い収納として活躍。左側に見える側板を跳ね上げると天板を延長し作業スペースを簡単に拡大できる。

背面側のラインの足元は全て大容量の引き出し型ストッカーとなる。ご覧のように木以外の部分は基本的に全てステンレス。




「西野の家」のキッチンはアイランド型に小さな食卓を組み合わせたスタイル。構造用合板や顕された梁といった少々ハードなインテリアに繊細さを加えて全体の印象を穏やかにするために白色でシンプルに仕上げている。床はカバのフローリング。壁は構造用の針葉樹合板。窓際にはゴロリが可能な畳コーナーの設え。


食卓テーブルの天板はモザイクタイル貼り。調理台の上は素材の色を生き生きと美味しそうに見せるためにハロゲンライトとしている。

左側に家事コーナーを持ち右奥には食品庫の扉が見える。冷蔵庫はその左側に90°傾けて納まるスタイル。こうすると、対面キッチンでも、冷蔵庫の扉を開けて中身が居間側から見えにくい。


足元をあえて作り込まないで主婦の好みで市販のワゴンや収納で自由にアレンジできるようにオープンなつくりとしている。

こんな風にそれぞれの家の台所はずいぶん個性的。以前は北側で居間から見えづらいところに計画されることが多かった台所。最近はその家の印象を決定付けるインテリアの主役となっています。スタイルもガッツリ作りこみ派から自由度優先派までいろいろ、さてあなたはどんなスタイルがお好みですか?(笑)

この前のブログでJ-POPの事を書いたけど、perfumeなんかは今最新のJ-POPといえるでしょう。特にダンスの振り付けはほとんど天才といいたくなるMIKIKOさま。可愛くてPOPなのに誰の真似でもないクオリティーの高さに拍手です。

そんなわけで今日はパフィュームでも!




2012年5月7日月曜日

研究されたJ-POP

今日は、「発寒の家」の打ち合わせをして、その後は「西野の家」のクライアントに完成した椅子を届けに行きました。

 帰りしな車のオーディオから流れた曲を聴きながら、ふと懐かしい気分になりました。
そのCDは長男が作ったもので最近の流行を集めたものですが、K-POPの一曲に90年代のJ-POPの匂いを見つけたからです。

KARA:GOGOSummer! 2011年6月29日発売
http://www.youtube.com/watch?v=lWD2iTowIlo

 90年代の中半は日本のテクノが隆盛を極めた時期でもありましたっけ。まだインターネットは普及していなくて、日本の音楽プロデューサー達は、ヨーロッパのクラブやアメリカのダンスカルチャーから得たエッセンスを消化しつつJ-POPの改良に余念がないっていう感じでしたね~。

既に、歌えるだけでは十分ではなく、ダンスとラップに皿を回すDJが加わる編成がグループの新たなスタイルとして定着しだしたのもこの頃でした。特に女性グループの場合は歌+ダンスの要素ははずせませんでしたね~。おなじみのこの曲は現在にまで続く人気アニメワンピースの主題歌として当時大ヒットしましたっけ。(笑)

FOLDER5:Beleve       2000年11月29日発売 レーベル:avex 
http://www.youtube.com/watch?v=9XKSu-11sZM&feature=related

興味深いのは1990年代にJ-POPシーンを席巻した沖縄出身の歌い手たちでした。
特にMAXと安室奈美江はテクノチューンの曲が多くて人気でしたよね~。

MAX:TORA TORA TORA 1996年2月21日発売 レーベル:avex 
http://www.youtube.com/watch?v=P3p1ul05jHo

さてみなさん3曲聴いてみていかがでしたでしょう?(笑)
J-POPがいかに後の音楽シーンに絶大な影響を与えたか、当時のJ-POPが貪欲に新しい音楽やカルチャーを吸収し大きく躍進したように、今やメイドインジャパンはあらゆる角度から研究、分析されスタイルとしてカバーされる存在になりました。

ひたすら追いかけていた時代もたいへんでしたけど、追いかけられる事にも慣れて...
また知らないうちに追いかける立場に戻っている...みたいな..(笑)

PS:ところで96年のとんがっていた頃のMAXも大好きですが...
   最近のMAXもいいなあ~と思います。


   NHK:晴れ時々ファームHP
   http://www.nhk.or.jp/harefarm/odekake/120429.html




2012年5月6日日曜日

原発0の日始まる

2012年5月6日は日本中の原発が全て停止した日になりました。私の暮らす札幌市西区は朝のうちは風が強く、昨日に続いて天候が崩れるかに思われましたが今現在は青空が広がり、すがすがしくも穏やかな連休最終日になりました。

 今国内はたくさんの問題に直面し、恒常化するデフレの中で閉塞感が広がっています。国民の期待を受けて誕生した民主党政権も度重なる総理大臣の交代劇や各大臣の更迭ばかりが目に付く中で、思ったほど成果を上げられず、改革に夢をたくした有権者を失望させているように見えてしまいます。先日の内閣支持率が3割を下回る中で今後さらに厳しい政権運営に取り組まざるを得ないでしょう。

 一方で地方には、積極的な意味で国に頼らなくてもよい道を模索する動きも見られます。政権交代が当初期待したほどは世直しに直結しないことがだんだん明らかになる中で、身近なところで、「できることはしようよ!」という、市民の前向きな意思表示のように私は感じます。近年の若者を行過ぎたゆとり教育の側面から批判する声が根強い反面、畑作りや庭仕事、将来の移住をにらんだ田舎暮らしや都会から離れた田舎のサテライトオフイス(本社機能を中央に残しそれ以外を地方に配置する従来の支社方式ではなく、本社の機能そのものを都会と田舎で共有するのがサテライトオフイス。本社でできることは基本的に何でも地方でできる。)のように、趣味を入り口として仕事や暮らしも抵抗なく地方に移すことに若い経営者たちが積極的なことはもっと評価すべきだと思います。もちろんその背景にはインターネット環境の整備が欠かせませんが、そうすることで都会で働いていたサラリーマンのストレスが減り、地方は過疎の不安を拭えるのであれば、従来のような補助金頼みや原発を含めた公共施設の誘致とは別の道がうっすらと見えてくるような気がします。受け入れる自治体としても、これまで公共工事や施設誘致に使っていた労力を通信環境の整備や空家の改修と不動産市場の整備に回し街をあげて新たなコンセプトで受け入れを推進してはどうでしょうか?

 北海道の推進する「北方型住宅ECO」、と札幌市の始めた「札幌版次世代住宅基準」、従来からある国の「次世代省エネ基準/99年基準」。実はこれらはとても面白い関係にあります。一番古いのは意外や「北方型住宅」の基準で1988年にスタートし順次改定を重ね2008年に現在と同じQ値である1.3W/㎡k(Q値:熱損失係数。一般的に数値が低いほど熱が逃げず省エネ性が高くなる。)の性能値となりました。国の「次世代省エネ基準」は1999年に始まり現在まで内容の改定はほとんど行われていません。最近はむしろ国の関心はソーラー発電や燃料電池、ヒートポンプを採用した省燃費性の高い附帯設備に移っています。最後は今年度から始まった「札幌版次世代住宅基準」。あえてこの特徴をズバッと!言うと...(笑) 

 札幌市のスタンスは国と道の取り組みに「一定の評価はしても今後も十分とは考えていない。」ということではないかと思います。実際に札幌版では国の基準を最下位の「ミニマムレベル」これ以下のものは原則として作るべきではない。という位置づけがされていますし、道の基準をそのひとつ上の「ベーシックレベル」文脈の前後を読んだ印象では、消極的な意味での基本的な水準とし。その上にはじめて「スタンダードレベル」札幌市の目指す基本はむしろここからですよ。といった順番になっています。ビジュアル化すると...

ミニマム(国)<ベーシック(道)<スタンダード(札)<ハイ(札)<トップランナー(札)
Q値:1.6(国)<1.3(道)<1.0(札)<0.7(札)<0.5(札)

 ここから先は、あくまで私の印象ですが(笑)、国と道に一応の気は使っているものの、これから札幌に建てる家は少なくとも「スタンダードレベル」以上を目指しましょう!という意思表示に感じますね~。簡単に「スタンダードレベル」と言ってもQ値は1.0以下ですから、要は壁:30cm、屋根40cm程度のグラスウールが必要になります。(*:機械換気を過大に評価しないことを前提にする計算が現在の主流。従来の熱交換換気のメーカーが自己申告した性能値をそのまま使用すると、極端な話、従来とほとんど変わらない建物仕様でQ値1.0が達成できてしまう。北方型住宅でも2010年からはこの矛盾に配慮しQ値の算定の際には熱交換換気の採用が禁止された。)

 こんなところにも以前は国や県に右倣えだった地方都市のスタンスが大きく変わりつつある現実を感じるのです。統計を見る限りにおいては、1988年以降北海道における暮らし部門のCO2は増え続けています。1999年には国による基準が導入されましたが残念ながら排出量は減少していません。しがらみのない素直な頭で考えれば、果たして効果があったのか?なかったのか?は明らかだと思います。では誰ならその事実に対して手が打てるのか?そんな意味では自分の暮らす街が下した決断にエールを贈りたいと思います。

 3.11の大震災以前は、主に高齢化や事故防止の側面から設計者の多くがオール電化住宅をなんの疑問もなく取り入れてきました。かつて主流だった一世帯30A(アンペア)契約は今ではほぼ倍の容量になり、別契約で暖房用電力も追加導入するケースが当たり前になっています。建物の省エネ化で削減されるエネルギーより遥かに多くの電力需要を各家庭に割り振ることで家庭部門の電力使用量は建物の省エネ化とは一見関係なく増大せざるを得ない印象を与え、冒頭の安全性への意識も手伝って電化住宅は増えてきたのです。ちなみに札幌市の基準によればQ値が0.7で「ハイレベル」だそうでこれは2010年の「菊水の家」と同じ水準です。そこで建て主さんの了解を得て年間の電力使用量を見てみると冬季が約1000kw/月程度、夏季が約500kw/月程度。価格は冬場が1.4万円程度、夏場は0.8万円程度、年間を平均すると月の電気料金の合計が1万円以内に納まります。

 実際には建物の省エネ性の向上には附帯設備の高性能化よりも建築本体の断熱を主体とした省エネ化のほうが遥かに大きな効果を実感できます。話は変わりますが最近巷で流行の余熱調理なども鍋の断熱を上手に利用した調理法です。熱を不用意に逃がさなければ、一度得た熱を最後まで効果的に使って調理ができます。沸騰させるのは最初の5分だけで後は放っておけば調理は終了。主婦にとっては出来上がりの時刻さえ逆算できれば、手間もガス代も掛からない手軽さ。震災以前はぜんぜん見えなかった環境時代にぴったりの知恵がうっすら透けて見えるような気分になりませんか?(笑)
 ちなみに余熱調理用の高価な鍋をわざわざ買わなくても余熱調理は可能。今お使いの鍋を厚手のタオルでくるんで魚箱のような発泡スチロールの箱に入れて30分。カレーやハヤシ、シチューなんかの煮込み料理は素晴らしく美味しくできます。ぜひ一度お試しを!

 話が脱線してしまいましたが、少なくとも私の見てきた範囲では家庭の電力はまだ大きく減らせる余地があると思います。しがらみや各所に対する配慮も大切ですが、しがらみの薄いうちに思い切って決断し、従来とは違う考えや事実があることにもっと目を向けることが今の時代にとって大切ではないでしょうか?

 今年、挑戦する「発寒の家」は札幌基準の最高レベルとなる「トップランナーレベル」をクリアすべく現在進行中のプロジェクトです。年間の必要暖房熱量は灯油に換算すると94L/年となり、最も暖房を必要とするピーク時(外気温-13℃、室温22℃の時)で家全体を暖房する際に必要な熱量(暖房設備の大きさ)は800W以下(一般家庭でよく使うオイルヒーターが概ね1000~1500W)と試算しています。

 電化住宅を作って来たという側面において、私は原発反対論者ではありませんが、今後のエネルギーに対する問題を論じる際にこうした事柄が市民に広く公開される社会であることを心から願っています。いたづらに電力不足の恐怖を煽ることなく、社会実験の一環と考えて原発が止まった今を捉えてはいかがでしょう。その中で見えてくるものの中にこれからの課題と一緒にヒントが隠れているような気がします。

今日は大好きなスガシカオとYUIの歌声なんていかがでしょう?

http://www.youtube.com/watch?v=Mp4zvTgZ5RM&feature=related


2012年5月5日土曜日

㈱匠工芸 その2

ご存知、山本設計モデル。こちらは座面が布テープ仕様。事務所にあるのは紙テープ仕様です。日本人の腰骨に合わせた腰のサポート、全体はコンパクトながら広い座面をもち、お尻が疲れにくい設計。材質は標準がナラ。望めばウォールナットやタモ、ニレと自由自在。

腰をしっかりサポートしつつ、使わないときには机の下に滑り込む絶妙な肘掛の高さ。通常の椅子のほとんどが机の下に椅子を仕舞おうとするとどこかがぶつかる事が多い。

経木(薄くスライスした木板)を用いたフロアスタンド。趣向としては行灯(あんどん)だが、不自然に和風を気取るでもなく、北欧的でもないところにセンスを感じます。

会社の看板モデルのBANシリーズ。標準サイズはテーブル:1900×950×700とゆったりサイズ。天板は巾30cmの板3枚に簡単に分割可能。無垢の木肌を極力大切にするために縁は木の皮を剥いたままのカーブを残し、割れも、契り(バタフライジョイント)を打ち込んで止めるといった加工が施される。高価ではあるが一生ものの迫力。

木口面に打ち込まれた契り

ホゾが抜けないように楔を二本打ち込んで止めるのは匠工芸の特徴的なディテール。楔は色の濃い材種を使って接合部分をデザインとして見せている。

中井啓二郎シリーズ。腰のサポートにこだわった一品。座面も滑らずにピタリと決まる。日本人の体型や座り方をしっかり読み込んだつくりには根強いファンも多い。

こちらはアメデオシリーズのダイニングチェア黒い部分はウオールナット、白い部分はメイプル(カエデ)

こちらのアメデオは全てメープルのタイプ。

こちらもロングセラーのYUMIシリーズ。

代表的なモデルが並ぶ二階のショールーム。

暮らしの中に気軽に椅子のある生活を!近年、人気沸騰のマッシュルームシリーズは可愛さらしさとリーズナブルなプライスが受けて大人気に!座面のエクセーヌ(人工ビロード)は基本の5色の他にもチョイスが可能。材質はホワイトアッシュ(北米産のタモ材) 
う~んかわいい!さすが~中井専務!

これまた人気の高いテーブルはご存知瀧澤ベニアの白樺積層合板を使用。まあ同じ工業団地のご近所同士ですから。(笑)

今日はユーミンでもいかが?

2012年5月4日金曜日

㈱匠工芸 その1

 5/2(木)は、GWの休みを利用し妻と三男と旭川のとなり街、東川町へ、まあ休みといってもクライアントさんから注文のあったダイニングチェアの検品と引き取りが目的なので半分は仕事ですが。(笑)
 東川町は町内で生まれた子達に椅子を贈る事で知られる家具のまち。大きな木工団地を抱え暮らしは木との関わりが深い。

 訪れたのは、過去のブログでも紹介した㈱匠工芸。安易に見た目に走らず簡素で飽きの来ないデザインと、最高の使い心地。一旦道具として使い慣れると特に椅子はとても評判がよい。一概に家具屋といっても販売専門や箱物専門があるが、なんといっても同社の特徴は最も製作が困難な椅子にこだわり、小規模な工場ながら自社でデザイナーを抱えているところ。現在、専務を務める中井啓二郎のデザインは使う人に優しくポップでさえある。弊社を訪れたことのある人なら必ず腰を下ろしたことのある椅子の作者であり、少しづつ改良を加えながら今も進化は続いている。一生に一度の家づくり、クライアントとは長時間の打ち合わせになることも珍しくない。でもその多くが新居に同じ椅子を欲しがることは私の密かな自慢のひとつである。

(*注:弊社のオリジナルチェアは匠工芸のカタログモデルではありません。同社のWebカタログには載っていませんので予めご了承下さい。)


 時は1967年(昭和42年)、東京オリンピックから3年後、戦後は過去のものになりつつあり、大都市圏はどこも経済成長の最中にあった。当時の旭川市の人口はまだ30万人に届かず、爆発的に拡大を続ける札幌圏に比べると地味な印象は否めなかった。
 若手職人の登竜門である「技能五輪」。中でも全国大会を勝ちあがり国際大会に駒を進めることは旭川中の若手職人にとって自らの将来を開く絶好の機会といってよい。当時、山際家具製作所に在籍していた桑原義彦もそんな一人だった。


はたして日本各地の強豪を抑え、順当に全国大会を勝ち上がった桑原は見事、国際大会に挑戦を果たす。会場はスペインのマドリッド。そもそも技能五輪の提唱国であるスペイン大会は特別なものだ。そんな本家本元の会場で、なんと家具部門で世界第二位の栄誉に輝く。極東の名も知らぬ街から来た青年がその技において世界に劣らぬことを示した瞬間だった。それはまた旭川が家具の街として世界に認められる切っ掛けともなった。その後、先輩の偉業を目にした後輩たちが次々と挑戦を開始したからだ。今でこそ旭川の職人は大会の常連として世界に認められているがその背景にはこんな歴史がある。

「桑」のイニシャルが焼き込まれた愛用の道具は今も会社の奥に整然と並べられている。

日本のノミは今や世界中の職人に愛される存在になったが、当時この道具をはじめて目にしたスペインの職人たちはどう思ったのだろう?

一部の家具好きの中では㈱匠工芸を旭川家具の中の旭川家具として一目置く雰囲気がある。
 桑原の挑戦から早くも45年の月日が流れ、その間に旭川からたくさんの職人たちが挑戦するも、いまだに彼の記録に並ぶものはいない。

(*注:技能五輪国際大会に日本がはじめて出場を果たしたのは1962年スペインのヒホン大会。8名の選手が参加し、金メダル5個、銀メダル1個、銅メダル0個と大健闘した。資料:北海道職業能力開発協会HPより)

今日はクラプトンなんていかがでしょう?







2012年5月1日火曜日

ここ一週間...

 4/26は旭川へ、春光の家の外構の打ち合わせに行きました。近頃急に暖かくなり一気に建築のシーズンインとなりましたが、雪が溶けて気になりだすのが建物の周囲。特に冬季間の工事は、落とした釘や木の破片がたくさん出てきます。きれいに拾うことはもちろん、合わせて建物の緑化やポラード(車止め)の計画もこれからです。

 4/27(金)北海道新聞の住宅広告特集に2009年竣工の「銭函の家」が掲載されました。北海道の推進する「北方型住宅」の普及啓発の一環でご推薦をいただいたのですがこの場をお借りして御礼申し上げます。近年はCO2の削減に加え災害や時の流れの中で生き残ることが建築というものづくりに大きく求められるようになりました。
 真に経済的であること、丈夫であること、建設時も建設後も環境的であること、飽きの来ない美しいデザインであること、地域的な経済や生産と深く係わっていること。建築もこうした複数の要件を満たすことが今後さらに求められるでしょう。
 官民問わず日本の構造を端的に現していた「縦割り」...時代はそれをあざ笑うかのように横へ、横へとつながろうとしているように感じます。

 4/28(土)はドイツから来日したパッシブハウスコンサルタントのクーラーアンドレアさんのセミナーでした。演目は「エネルギーパスとパッシブハウス 欧州の最新事情」です。原発廃止を国民の意志として決めた国ドイツ。結果として行き着いた個々の技術もさることながら、そこに至ったドイツ人のメンタリティーに興味がありました。環境先進国の先輩から見た、札幌版次世代省エネ基準に対する感想とか、日本人の多くが機械設備の効率向上に軸足を置いた環境建築をイメージしている点、そんな中で新たな動きが市民権を得つつあること。セミナー後の食事会で貴重な情報交換ができました。クーラーさんありがとうございます。
 4/29(日)は現在取り組んでいる計画、「西野の家Ⅱ」の打ち合わせでした。今回の敷地は準防火地域と住居系地域がひとつの敷地の中で混在する条件。クライアントさんと、現状の認識と今後の計画の方向性について密度の高い打ち合わせができました。素敵な家づくりにしましょうね!(笑)

 4/30(月)は次男と三男を連れて映画を観に出かけました。たまには家族サービスも大切ですから...(笑)、上映まで時間があったので小樽の街を散策し、次男の提案でぶらりと入った蕎麦屋の美味しかったこと!聞けば創業80年以上との事。続く店には理由があるんですよね~(笑)
庶民価格で気取らないのに、つぼはしっかり押さえた店主の人柄が感じられます。知らないうちに大人一人前食べられるようになっていた三男、「おい!もっと大きくなれよ~!」の言葉に「うん!」と素直。次男は次男で、好物のカレー蕎麦を頬張りながら、自宅近所の店も旨いが、こちらも甲乙付けがたしとの事。子供たちの給食がどんどん外注になり、お弁当は共働きの忙しさの中で冷凍食品に変わる中、人が作る味に興味をもち、少しでよいから違いが分かるように育ってほしいと思います。
 自分も昔はそうでしたが、若いときの感性は、周りの大人がなにも言わないと偏ったものになりがちです。プレゼントに既製品のマフラーをもらうのはアリだけど手編みは重たいのでナシとか、コンビニ弁当なら気楽だけど、手作り弁当のおかずは相手の気持ちが入っているから微妙~...なんて最近よく聞きます。なんとなく気持ちは分かりますが、既製品のほとんどは作り手の顔が見えにくいだけで手作りですし、コンビニ弁当も給食のおばさんの手作りも現場の風景は似ています。既製品でも気持ちのこもった贈り方もあれば、手作りなだけでつまらないものも多いのが、私の知るものづくりの世界のリアルです。要は外観もさることながらその向こう側を想像してみること。
食は、そうした豊かさに日常的に触れる素敵な機会なのでは?そんなふうに思いました。

さて、隣町ではクライアントさんが心待ちにする椅子が出来上がった様子。近々、妻と息子と工場に検品に行きます。工場長から、毎回同じ苦労話を聞くことも私の大切な務め。今回もひとつ、叱られに行ってきます。(笑)

今回はかなりコアなやつでもいかがでしょう?
ラーセン&フェイトンバンドなんて知ってます??(笑)
今じゃバーゲンや番宣のBGでたまに聞きますよね~。



2012年4月24日火曜日

ゴールデンウイークの前に

 今日は、街まで所用で出かけました。市役所で調べものをして、「札幌版次世代住宅基準」の担当部署を訪問。担当者にごあいさつがてら現在の疑問点等を聞いてきました。

ところで北海道の推進する「北方型住宅ECO」やその後の取り組みとなる「住宅.建築物省CO2先導事業」、国の推進する「長期優良住宅先導事業」(*:北方型ECO、長期優良住宅ともに今年度の採択は未定です。)さまざまな基準が提案され誘導措置として補助金がつく中、どれが良いのか迷いませんか?なんだか呼び名も難しくて今一違いがピンと来ませんよね~?(笑)

ソ..コ..デ....

すごく簡単に説明すると、札幌市の取り組み以外は、全て国の事業がベースになっていることが大きな違いです。たとえば「北方型住宅ECO」は、国で推進する「長期優良住宅」をベースに「北方型住宅」の基準を上乗せしたものです。よく言えば国の定める性能基準に加えて、北海道独自の考え方も満たしているのだから相乗効果で高品質な家でしょう。ということになります。余談ですが、「北方型住宅ECO」の補助額が「長期優良住宅」の倍だったのも、こうした理由からかも知れません。さて今年度の「住宅.建築物省CO2先導事業」は、国の考え方をベースに地方の取り組みも応援しますよ!という考え方から、国が現在考える省CO2の取り組みの具体的な中身を示したものです。半分は地方の考え方を聞いていたこれまでとは異なり、CO2削減に対して今後の住宅が備えるべき性能に関して国はこう思いますよ。といった具体的な内容になっているところが特徴です。


 もうすこし端的にいえば...
太陽光発電をはじめ、高効率な給湯、暖房設備の積極的導入に対してインセンティブ(奨励や補助)を与えますよ。といった、建築本体よりは附帯設備をより重視する内容となっている点に特に注意してください。こうした機器の導入に際しては、建築本体の省エネ性を十分以上に担保しておくことが欠かせないことは既にブログをお読みの方なら常識と存じますが、この事業はそうした建築本体の高断熱化等はほとんど対象にしていません。

 一方、札幌市の取り組みはこうした国の考え方とは一線を画すユニークなものです。まず重視するのは附帯設備ではなく建築本体であるというところ。当然ながらインセンティブも建築を対象にプログラムが考えられています。個人的には国の考え方は機械設備という「アクティブ/能動的」な方法論を重視し、札幌市は断熱性や効率のよい換気方法等「パッシブ/受動的」な方法論を選択している。といったところが対象的で、両者は今後家づくりを考える市民にとっても意見の分かれる選択肢となるのではないでしょうか?(笑)


あなたならどちらの設計思想に共感しますか?
 
やっと雪が解けても木々の芽吹きはいまひとつ。大通り公園では花壇の整備が始まっています。まだ冬の名残が残る空に生き生きとした色彩を与えていました。


 残工事の確認のために「宮ノ丘の家」に行きました。黒く塗られた外壁がピシッと締まった印象です。背後の雑木林が緑に溢れるとさらに絵になると思います。実はこれから外構のデザインも考えねばなりません。どんなお庭にしようかな?家庭菜園もぜひお勧め、屋外の暮らしを精一杯楽しめるところはまさに北海道の魅力そのもの。

建築って不思議なもので荒地にぽつんと建っていてもなんだか冴えません。(笑)
周囲の緑やお花が少しあるだけでとても豊かな風景になるのは実に不思議です。

このアングル、緑が濃くなる頃にはとても楽しみなのですが...


建物が完成しても庭が手付かずだと今一寂しさが漂う「西岡の家」

翌年庭を小ぎれいにするとずいぶん印象が違いますね~(笑)。


並木のまん前に建つ、真夏の「菊水の家」も大好きですが、イチョウ並木の生き生きとした緑と外壁のレンガ色が建物の印象を引き立てます。


今日はサクラ!もちろん独唱で!
早く咲くといいですよね~。