北方型住宅って?・・残念ながら道内/地元の人にその内容はあまり知られていない。
「スイスイハイム」や「結局は性能」、スゲーデンハウスに比べると存在は地味。
そこであらためて・・
北方型住宅:「北海道の気候風土に根差した質の高い住まい」
実は印象こそ地味だが凄いのは、最近ネットで流行りの「エコハウス」や「断熱気密住宅」、「全館空調」、「エアコン一台で家中~」等々の住まいの大半はほぼ北方型住宅の要素技術に関連しているか、その技術を使っているということだと思う。
北方型住宅は数こそ、多くないものの、その技術開発の過程で得られたノウハウを随時民間にフィードバックしてきたことで、今や道内における一般的な新築木造住宅のスタンダードな工法なのである。
上の写真は1981年の第24回寒地建築技術講習会のテキスト。当時で既に24回目の講習ということは、始まったのは1950~60年代と思われる。1988年にリリースされた「北方型住宅」はそれまでのこうした研究成果の集大成であり、その改良は現在まで続いている。要は道内で 理想の住まいを求める際、まずチェックすべきワードが「北方型住宅」だと憶えておいてほしい。もちろん家づくりの情報収集は各人の自由だし、特に最近の住宅系youtubeは気軽で入り易い。その反面、地域性や前提が曖昧なまま個人の感想を押し付けている場合も少なくない。気を付けないと北国の人がそれとは知らずに南国の家づくりを目指している?そんな笑えない現実も増えている。
そもそも特定の作り手個人が自身の地域ではこうしてます!ということと・・それが道内どこでも適切です!というのは全く別の話し。特に北海道は広い・・意外に感じる人も多いが、住まいとはどの地域を前提にするかで適切な設計や施工、設備の内容なども大きく異なる。
先日も道内のかなり寒い地域にお住まいの人からエアコン暖房が最高!というお問い合わせを頂いた。話しを聞くと、築5年でなんともう建て替えたいのだと言う。えっ?最高なのになぜ??と聞くと・・理由は寒いから。厳寒期の夜中にはエアコンが停止してしまう。とのことであった。そもそも暖房設備の選択肢が豊富な道内でなぜ最も寒さに不利なエアコンをチョイス?と不思議に思いやり取りを続けたところ・・今まで6~7地域の設計者発信の情報を信じてきたことが判明した。
エアコンは平均外気温が0℃以上の地域でならば最高の効率を得られる旨を説明した上で、-10℃を大きく下回るような地域では効率が引き出せないばかりか、ご自身で体験されたように条件次第では停止してしまうものだとお伝えした。
これから家づくりを目指す人はまず「前提」を大切にしてほしい。具体的には「地域性」とそれに適した設計や施工、設備の選択を誤ることなく理解できるよう自らを賢く鍛えてほしい。この情報発信がその一助となれば嬉しい。
北方型住宅 https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/ksd/200828hoppougata2020.html
*北海道建設部住宅局HPより
メールにて:はじめまして〇〇と申します。道内で住宅取得を目指していますが、一般的な価格や仕様の中でお薦めな方法はありますか?ネットも見ているのですが選択肢が多過ぎて正直どれがよいのかぜんぜん選べません。
山本:平均的な価格と仕様を目指すのであればまず上の二枚を作り手に示して下さい。大まかな希望概要が伝わります。もし設計または設計&施工契約に進みたいとお考えなら、「北方型住宅2020の技術解説書」を守って設計&施工していただくようにお願いしましょう。北海道の実情に即した非常に実践的な内容ですので安心です。
こちらがリンクです:https://www.kita-smile.jp/north2020
仮に自社以外の仕様は難しいと言われた場合はその自社仕様が北方型住宅2020の内容を上回るものか否かを必ず確認してから、頼むかどうかを決めて下さい。意外と大手住宅会社の方が内容がよくなかったりしますのでご注意ください。
冒頭でも少し触れましたが・・平均的な価格と仕様の家(けして自分ら贅沢なんて目指してないす/笑)と思っていても、一般の建て主が家づくりに必要な事柄の全てをyoutuberの動画や他のSNSから得るのは難しい。概要をバランスよく知りたい場合にまとめサイトが便利なように、必要な項目がまとめられた技術解説書は最高のまとめサイトという訳なんです。ぜひお使いください。/笑
今日は「夏」のジブリなんていかがでしょう