無事、足場が解体された「恵庭の家」。完成に向けてK所長以下、全員参加で頑張ります。想えば今年度もあと僅か...ほんとうに早いものです。300mm断熱プロジェクトも気付けば13棟目。新年度は新たに3棟が完成の予定です。来年度も引き続き頑張ります!(笑)
雪山の中からひょっこり頭を出した南側のファサード。この屋根、勾配がついていますが雪が落ちません。地元の北海道で開発された屋根材で不恰好な雪止め金具ナシで無落雪な勾配屋根が作れる優れものです。通常ならば屋根の勾配方向に出入り口は取れませんがこの屋根材のおかげで玄関の位置等々、間取りに自由度が増します。
最新型のエコジョーズボイラー(潜熱回収型ガスボイラー)。このコンパクトな大きさで暖房と給湯を一台で行う優れものです。近年のものは暖房用温水を40℃という低温水(ガス消費量を抑えて)で作れるように改良されました。300mm断熱の建物になると暖房用温水の温度は従来より約20℃も下げられるようになります。そんな訳で2011年以降、私の設計した建物は40℃の暖房温水温度(ぬる目のお風呂くらい)で運転されています。ほんの5~6年前までは給湯用が40~42℃でも暖房用は60℃以上というのが当たり前でした。あらためて断熱の効果はたいしたものだと思います。自分で設計しておいてなんだか遠まわしな言い方で恐縮ですが、机上の計算上は成立しても冬場の厳しい北海道で実際に住い手が快適に感じるか否かは実際の経験値が欠かせません。そんな意味においては住い手のみなさんと一緒に作り上げてきた成果こそ「300mm断熱の住い」という意識が強い今日この頃です。
北海道のプレカット工場は丁寧な加工と高い技術力を持っています。従来は全て内装に隠れてしまう骨組みも材種を地元特産の唐松に変え積極的に顕し(あえて天井を貼らないデザインとすること)とすることで空間ごとに異なる表情が自由に楽しめるようになりました。写真の奥は和室で手前は土間玄関。建具を開け放つと両方の空間が一体になりますが仕切って使う場合はそれぞれの空間に相応しいインテリアになるように工夫がしてあります。もちろん玄関が寒い、土間が冷たいといった室温を適切にデザインできないような場合は論外ですが、それをクリアできるようになりさえすれば家中を室温なんて気にせず隅々まで自由自在につなげて使えるようになります。北海道に住んでいると「当たり前じゃん!」と思う人も多いでしょうが実はこれってまだまだ北海道だけなんです。
こちらは二階の様子。小さな子が階段に落ちないようにピッチを狭めた手摺を付けてあります。
こちらは子供たちの勉強コーナーです。突き当りがトイレですがその上にはパッシブ換気と機械換気の穴が見えます。
こちらは南側の窓の前にテレビを貼り付けるための縦格子。こちらもすっかりお馴染みになりました。
各室には温度調整用の小さなパネルヒーターがあります。必用な暖房熱量としてはなくてもよいのですが、暖かい寒いはほんとうに個人によって差のある感覚ですから最近は各室に付けるようにしています。暖房というよりは除寒器とか微調整用のサブヒーターのような使い方がみなさん多いようです。こんなところも300mm断熱を何軒も作る中で得ることが出来た貴重な経験値です。
内装が終わりオーバーハングがよく分るボルダリング(岩登り)壁。
クロスの角が欠けないようにコーナーを4mmのR
面とし、下枠も太鼓面とした窓廻りの納まり。
こちらは和室の障子の枠回り。枠材は全て北海道産の白樺積層合板。
階段の段板をきれいにくり抜いてスリムな鉄柱を立てたところ。木の柱にすると10cm角の寸法が必要となり、ごつく野暮ったいのです。鉄柱なら直径6cmで十分柱として使え見た目も気になりません。
今日はJAZZなんていかが?やっぱO.ピーターソンのピアノでしょう(笑)