2025年6月28日土曜日

北郷の家 2025.06.28

 

北郷の家の外壁がほぼ貼り終わりました。この後は1階のテラス工事に移りたいので、足場を早く解体したい。そこで外部から優先的に作業を進めて頂きました。

外装のUPがこの感じ・・鋸目の粗挽きをそのまま使うことで、防水等の対候性を確保しています。板と板の間を埋める押縁は取り外しが容易なビス止めとして外装の痛みに対する修理のし易さを重視しています。目指すのはこのまま半世紀(50年)使える外装です。

外部のセルフードが取り付きました。

結露水が外壁を伝って壁が傷まないように、通称:よだれ掛けと呼ばれる水切りが下部についているものを使います。ちょっとしたことですが・・よくセルフードから垂れた結露水が壁を汚している家を見かけますが、そうなるか否かはこの小さな製品選びにあります。

こちらは小屋根の上に取り付けた雪止め。小屋根は家に正面性を与えると同時に、二階の部屋に暑い日差しが入り過ぎぬように調整してくれる役割を果たします。その一方で、積雪期に雪が落ちるままにしておくと事故の元にもなります。そこで南側の日射熱と相性の良い黒い板金で融雪させつつ雪は下に落とさないように工夫します。

大屋根の水は下に設けた小屋根のトタンの上に落ちないように低い堤防を立てておきます。小屋根の上に雨だれが落ちるとタンタンとけっこうな音が響いてうるさいです。直に降る雨は仕方ないにしても大屋根の雨水がトタンを叩かぬように工夫をしておきます。高断熱高気密化された室内は非常に静かになりますから音に対する配慮がより重要になります。

こちらは階段の加工見本のサンプル。きれいに太鼓面が取られていてとても美しい仕上がりでした。
今日は猪井亜美さんでバッハなんていかがでしょう

2025年6月24日火曜日

桂岡の家 2025.06.24

桂岡の家はバラ屋敷。本当に美しく咲いていてびっくりでした。こんな街並みのある風景っていいなあと思います。

 

玄関先のつるバラ。ピンクが本当にきれいでした。

味わいを増した外壁の杉板と実によく合うバラたち

全体を映しても、ぐっと寄っても美しいのがバラの花。住まいって庭が充実するととっても豊かな感じがします。

普段から忙しい住まい手のことを思って・・少しでも手間のかからない外構を考えることが多いのですが・・住まい手が外構好きの場合はぜんぜん話が違ってきます。その効果たるや絶大。設計者にとってこんなに美しく住みこなしてくれて嬉しいことこの上なしです。

コスパとタイパが重視される今だからこそ、こうした庭はハッとさせられるのだと思います。どんなに手間のかからない外構や庭を作っても、普段から住まい手の手が入った庭にはかなわないと思います。AI時代だからこそアナログの凄さが際立つのかなと・・

それにしても美しく豊かな庭でした。

今日はHSCCでボビーなんていかが


桂岡の家Ⅱ 2025.06.24

 

築4年目を迎えた「桂岡の家Ⅱ」外壁の道南杉が味わいを増してきました。

よく「メンテナンスのいらない外壁材はありませんか?」なんてクライアントさんに尋ねられますが・・正直、一生傷まない外装なんてありません/笑。

但し、その経年変化を傷みではなく味わいに置き変えることは可能です。

その変化をポジィティブに理解できる建て主にとってはこうした変化は全然残念なことではありません。

実際に桂岡の家Ⅱの外壁を見て、経年劣化で傷んでいると感じる人もいるかもしれませんがとんでもありません。むしろ強度は増してより丈夫になっています。


木外装は通気層を介して正しく使われることでゆっくりと乾燥が進み、とても丈夫な外装に変化して行きます。その自然な風合いは周囲の緑と実に相性がよく、北海道の住まいを表現する上でこれ以上はないと思っています。

もちろんガルバリュウムの外装も職人さんの手技が感じられて大好きなのですが・・どうしても鉄板自体の色が褪せてくると旬を過ぎた感じがしてしまいます。

もちろん好みの問題ではあるんですけどね/笑

今日は原田知世さんなんていかが 海の見える桂岡の家Ⅱに似合います

南幌まちなかの家Ⅳ 2025.06.24

 

本日も快晴の中、現場が進む「南幌まちなかの家Ⅳ」です。外は本日も30℃超え・・日向に居ると暑くてたまりません。

その一方で室内に入るとぐっと涼しく感じます。まだ肝心の壁付加断熱18.5cm厚は施工していませんが、屋根断熱の34cm厚は既に完成していますから2階に上がっても天井からの焼け込み(輻射熱)は感じません。むしろ窓から入る風が通り抜けて気持ちがいいと感じます。

長らく北国の家は冬の暖かさを第一に考えられてきましたが、ここ数年はそうした考えを少なくとも札幌周辺では改める必要がありそうです。

窓から入る風が気持ちよく通り抜ける二階のLDK。外気を入れているのですが外は30℃以上あっても室内は28℃程度で涼しく感じます。

骨組みの内に筋交の位置と固定方法を図面と照合しました。所定の筋交プレートを用いながら必要本数のコーチスクリューが使われているか確認してゆきます。

柱頭と柱脚部分を次々に見てゆきます。

こちらの柱頭部分もOKです。

木組みの露出部分については道産材の唐松を使用しますが、壁に隠れる一般部分にはJASの規格を満たしたスプルースの集成材を用います。その表示によれば・・柱に加工されたのは国内ですが、原木はなんとドイツから入っています。

ドイツのような所得の高い先進国でも森林経営をしっかり頑張れば世界と取引ができる。北海道のカラマツやエゾ松も将来、世界中で人気になればいいなと思いながら使っています。価格の事だけを考えれば地元の木材よりも輸入材の方が安いのですが、北方型住宅のルールに従うとともに、地域の生産者さんの協力の元地域材を極力使うようにしています。

青空の元どんどん現場が進みます。



「ねえ、これから何して遊ぶ?」、「とりあえず中央公園行かない?」、「いいよお~」そんな声が聞こえてきそうな下校時刻・・・幸せな街の一コマです。

今日は田園なんていかがでしょう


2025年6月21日土曜日

北郷の家 2025.06.20 建て主さま訪問

本日は道北より建て主さまが現場にお越しになりました。現在の作業は正面の板貼り。
宇野棟梁自ら作業していただいています。

「来るたびに出来上がるのを見るって嬉しいものですね」とご主人。
「本当に見飽きませんよね」と奥さま。

現場にいつも温かなお言葉、心より感謝申し上げます。

「二階も明るいけど、言われてみれば庇の効果でそんなに暑くないんですね」と奥さま。「吹抜けが楽しみだね」とご主人・・・

想えば・・将来的な帰札を目途に家を改修したい旨、知人を通して建て主をご紹介いただいたのが早8年程前、昨年「ブログでいつもご活躍を拝見しています」とメールを頂戴して今に至ります。

この世は本当に不思議なご縁だなあといつも感じます。それと同時によく8年間、忘れずにいて頂いたことにも感謝!設計者冥利に尽きます。

縦貼りした貫板の間に押縁を打つ宇野棟梁。外の気温は午前中で30℃。既に6月にもかかわらず熱中症対策用の空調服が登場です。

印象は縦の陰影が加わって外壁に独特の立体感が生まれます。先日、ご紹介したブログのように貼った当初こそ薄い印象ですが、1年で落ち着いた外壁の印象になります。
二階の窓は横方向に二つ連結して5mの連続窓としてデザインしました。

1m突き出した庇のおかげで二階の部屋にジリジリする直射日光を入れないように工夫しています。
いつもお気遣いいただきましてありがとうございます。今回も美味しくいただきました。

本日はBirdなんていかが


2025年6月18日水曜日

Meet up Furniture Asahikawa

本日はイベントのお知らせです! 

みなさんぜひ6月末は家具の聖地旭川に集合!大雪連峰の麓に広がる美しい景観の中で最高の家具たちに触れて頂ければ幸いです。当事務所の床ガラリや椅子を製作いただいている匠工芸さんももちろん参加します。


公式HP https://meetup.furniture/


北郷の家 2025.06.18 外壁の変化

性能向上改修「北郷の家」では外壁を貼り始めました。この外壁、羽柄材の貫(道南地域以外は基本は松材)を仕上げることなく木質保護材にドブ漬けし押縁で縦張りするものですが、安価であることを第一に考えています。


 基本的に地域資源の有効活用の観点から未乾燥材の活用、表面はのこ引きのまま仕上げない・・・木肌の白い松材(エゾマツ、トドマツ)を保護材に漬けると最初は薄緑ががったグレーのなんとも冴えない感じ/笑・・始めた当初はお客さんも「本当にこれで仕上がりですか??」なんて不安がられましたけど、松は木肌が白い分、翌年には大変身して周囲にしっかり馴染みます。今では北総研さんが防火構造の認定ルートまで開拓してくれたので準防火地域内でも大活躍です。


外壁を貼り終えた当初はこんな感じなのですが・・少々冴えない/失礼

しかーし1年後にはこんな感じに落ち着いてします。

縦格子の部分も貼り終えた当初はこんな感じですが


翌年はこんな感じでばっちり落ち着きます。

この写真は築後11年経過した現在のものですがすっかり周囲に馴染んでしまいます。

本日は弓木ちゃんとMINAさんで行きましょう


2025年6月16日月曜日

恵庭の家Ⅱ 2025.06.16

ここ最近「 恵庭の家Ⅱ」の計画に集中しています。敷地から見える豊かな緑をいかに取り込むのか?日々の暮らしを四季の移ろいと共に様々に想像してみる・・・

クライアントさんからいただいたゾーニング&動線の希望をざっくりとまずは絵にしてそこに一般的なプロポーションを貼り付けてみる。果たしてそこから何が見えてくるのだろう?真に言わんとしていることは何なのか?・・・クライアントさんの世界観に耳を澄ましてみます。

クライアントさんの中には何となく図面を描いて要望を伝えようとする人もいます。その一方でその要望をストレートに実現することは中々難しい場合がほとんどです。

理由はいくつかありますが主なものは二つです。一つ目は図面を描く前に理解し順守すべき視点。二つ目は妥当な実現可能性の視点。

この二つを今風に言えば最初がコンプライアンス(法令遵守)、二つ目がフィジビリティ(Feasibility/実現可能性)です。一般の人がよく気にする部屋の日当たりや丈夫さや暖かさは主に前者、予算や施工法・・等は主に後者に分類されますので、思い当たる人も多いと思います。

端的に言えば”法令”と”コスト”をいったん置いて、描かれた絵をたたき台に・・その真意を読み、必要な事柄を足したり引いたりしながら様々な検討を重ねて行きます。


ここ数日取り組んでいるのは・・原案の空間配列や動線を読み取り、同様の暮らしが面積を変更しても可能となるかどうかの検討です。

例えば原案では大きな一棟の建物だったものを第一案以降は二棟に分離しました。次に動線や空間の順序を極力守ったまま、空間を合理化してみました。

明日以降はこのゾーニングを元に数種類のスケール(寸法)を当てはめて間取り(二次元化)してみたいと思います。それと同時に空間検討(三次元化)も進め、両者の間を行ったり来たりしながら、この住まいの楽しさが一体どこに隠れているのかを明らかにして行きたいと思います。
今日はナイルロジャースなんていかが


2025年6月15日日曜日

最近は・・設計に打ち込みながら畑作り

 

毎年この季節は、設計に打ち込みながら・・野菜を育てています。畑も当事務所では立派な仕事。住まいという暮らしの産業に携わる者として、土との関わりを設計に生かしています。

現場がどんどん進む今日この頃ですが、植えた野菜たちも着実に育ち、けして歩みを止めません。毎日少しづつ変わってゆきますね。

私にとっても・・いつしか設計の質を保つための大切な時間というのか、解決に煮詰まったときに、意外な方向からアイディアが降ってくるきっかけというのか・・

今では会社の業務に”家庭菜園”と入れておいて本当に良かったと思っています/笑。

ところで・・家づくりの際、玄関近くに物置があった方がいいとか、最近では下駄箱だけじゃなくてシュークロークを設けてコート類もまとめて仕舞えた方がいい・・なんてかなり漠然とネット検索する人は増えたと思います。

その一方で・・なぜ玄関と物置の連携が必要なの?とかシュークロークまで?なんてことは意外と疎か/笑・・

例えば・・家庭菜園という経験値があれば、必要となる農機具や堆肥、支柱やネットがないと、そもそも成立しないということが簡単にイメージできるようになります。作業で汚れたズボンや上着は家に上がる前に玄関の一部(シュークローク)で着替えたいし、場合によっては、洗濯場所と動線をつなげてあげるとすごく都合がよかったりする/笑。

家の設えを考える際は、自身の思い込みだけじゃあなくて必ず、他の人の実践(引き出し)を下敷きにしたリアルから発想する。一見、もっともらしく聞こえてもやったことがない人の描く間取りは浅い・・すぐに使えないことが明らかになります。

そんなよくある例が物置やカーポート。ご存じ北海道は雪のシーズンが長い地域、それに都市部でも基本は相当な車社会。そんなことは昔から周知なのに・・なぜか物置やカーポートは翌年以降の家が多い。

住宅本体はデザインや外装も含めて、あれだけこだわったのに・・翌年家の前に作る、カーポートや物置はホームセンターの安売り既製品?・・・

なんかそのパターン・・バランス悪くない?/笑

もちろん住宅と一緒に設計できれば越したことはないけど・・特に最近は予算のことも大きい。そんな時はショボく見えないとっておきの既製品を存分に使いこなして対応します。

田舎暮らしを徹底的に楽しむ「南幌まちなかの家Ⅳ」もまさにその方向ですから、みなさんにはぜひその違いを見て頂きたいと思っています。

想えば・・昭和、平成の家づくりは主に部屋の数と全体の坪数にこだわっていたように思います。要はまだまだ「大きいことはいいことだ!」時代。

そんな中、庭や家庭菜園という新たな楽しみだったり、家で仕事ができるようになったりの変化は、そうした量にこだわっていた時代の家づくりを大きく変えつつあるように思います。

みなさんもぜひ、家庭菜園を始めてみませんか/笑 
野菜の実る夏のBBQは北海道らしさそのものだと思います。

今日はブルースホーンズビーのカントリーが聞きたくなりました。この響き・・北海道らしいと思いませんか/笑





2025年6月14日土曜日

南6条の家 家具を探して2025.06.13

今日は現在計画中の「南6条の家」の住まい手さんと東神楽町に来ています。当事務所の床ガラリやオリジナルダイニングチェアを手掛けてくれる旭川家具の老舗。匠工芸さんです。

来た理由はライフスタイルに合ったリビングの家具について・・
建て主さんの多くは、図面から実際の暮らしをイメージするのは難しい場合が多いです。第一に図面に慣れていないし、例えば「どうしたいですか?」とか「どっちがよいですか?」と聞かれたところで・・自信をもって判断できる根拠や経験をお持ちの人は少ないからです。

もちろんここで話し合い決めるべきは、単なる印象の良しあしではなくどちらが実際の生活を前提にした場合に必然性が高いか?

度重なるお打ち合わせでも、リビングにはソファではなく大きなテーブルを置いては?という意見と、でもごろりと横になりたいよね?という意見が出てどちらも魅力的。でももうこれ以上は実物の家具を前にして、大きさや高さを確認した上で方向性を決めないと単なる印象論の繰り返し・・・そこで本日の訪問と相成った訳でした。
匠工芸の二代目社長の桑原強さん。奥で打合せを見守るのは現会長の義彦さん。「例えばリビングに多い一般的な家具配置のパターンはありますが、実はこれが正解、あれは不正解なんてないんです・・・」

「昔からある日本人の座の暮らしって、ちゃぶ台と座布団で完結しちゃう。そんな意味では究極のシンプルライフ。その一方であぐらや正座から椅子の生活に変わったのが現代の私たちの暮らしですから・・じゃあどんな家具をその部屋に置くのが自分たちにとっていいのか?という問いが生まれます。

当然・・床にあぐらをかいてちゃぶ台でご飯を食べたりTVを見るのもあり、もちろん食卓にすれば床から70cm上空にお料理は置かれることになる。その場合、椅子の座面の高さは食卓の高さ-30cmが基本。でも最近はその中間の低い食卓と低いダイニングチェアも登場しています。リラックスできると評判なのでぜひショールームで体験してみてください。

社長自ら工場内をご案内。上から各セクションの役割や流れを説明していただきました。匠工芸が特徴的なのは基本的に分業制ではなく担当制を重視しているところ。

例えばAというモデルの椅子を作る仕事を与えられた場合。通常ならば、各分業セクションから必要な部品を調達する。ところが匠工芸の場合は、その部品の加工や組み立てのみならず、場合によっては仕上げまで一人の担当者が行う。

要は一人家具屋さんとしていつでも独立できるような職人教育を重視している。その分、憶えることは多いが家具作りの全体像が学べて仕事は充実するという訳。

整理整頓が行き届いた工場内で自身の担当する家具の図面を抱えて担当者自ら各セクションを回るのが匠工芸の流儀。

今日は弓木ちゃんのギターなんていかが