予定より一足早く、建て方が始まった「宮の森の家Ⅱ」です。朝からヨシケンさんの大工さん4人掛かりで順調に二階の床まで到達しました。
現場を切り盛りするのは皆川棟梁さん、中野所長さんも一緒に立ち会って、協力して建て方を進めます。
設計者の私の大切な仕事は、建て方の初日に汗して働く皆の分のお茶を買って現場に伺うことです。そこでプレカットによる材料加工の様子や必要な材料が必要なだけ届いているか?金物やビスに不足等はないか?等・・組み立て中の様子を棟梁から聞くのです。
こんな風に毎回取材することで、各プレカット工場の加工精度、材料搬入の柔軟性、担当者との風通しの良さ・・はたまた普段自分では気づきにくい設計の癖やどこが作る上で難しいのか?等を現場で検証し、そのフィードバックを生かして図面を改良するのです。
例えば、「ビニールを押さえる根太受け部品も今日納入されていれば、二階の根太掛けが全部終わったよね?まあ床の合板敷きはいずれにせよ来週だからさ・・どうしても今日欲しいわけでもないけどね(笑)・・みたいな会話から、「根太受け:土台と共に現場搬入」と次回の図面に特記するようにしよう!・・となります。
写真は4隅に建つ通し柱です。以前また別の棟梁から「プレカット(NCルーターによる機械加工)で普通の10cm角の柱を加工すると、削り代が大き過ぎて柱が残んないよ!」と指摘されました。調べてみると確かに各工場とも、柱に梁を納めるための削り代は約2cmと決まっていて、二方向加工の場合、元々10cmあった柱でも左右から2cm+2cm取られるために6cmしか実際の柱の太さとしては残りません。
机の前で図面ばかり描いていると10cm角の十分な太さの柱で設計したつもりが・・・実は6cmの柱だったなんて不幸にも気付かないのです。
そんなこともあって写真のように隅柱は105×150の寸法のものを使うようになりました。まさに現場こそ実学の王様!机の上で簡単にできるはずのことが全然そうはいかない。
設計者に取って現場感覚溢れる図面を描けるようになることはたくさんの棟梁たちの貴重な経験を書き止め後に生かすことだと、いつの日からか思うようになりました。
中野所長の適切な養生のおかげで床下もきれい。高さは70cm以上あるので、床下の清掃も容易です。
ヨシケンさんは土台のシート付気密レールは内回し。土台の室内側に向けて施工します。ここら辺は工務店さんによって、土台の外側を回して柱の内側に持ってくる会社もいて各社少しづつ方法が違います。断熱気密の盛んな北海道ならではですね。(笑)
中野所長自ら化粧柱の養生を行っていただきました。強度も高く美しい赤味のカラマツを集成材として生産する技術は北海道の林産試験場のお手柄です。以前は強度こそ高いものの狂いが大きく建築用材としては敬遠されることが多かったカラマツ。
今はしっかり当事務所のトレードマークになりました。暖かな電球色の照明に映える赤味のカラマツは長い冬を過ごす北海道の住まいのインテリアとしてピッタリですよね。
持ってみると全然、他の松材と重さが違います。強度が高い分、硬くて欠けやすいので養生を丁寧にして傷まないようにお願いします。
ヨシケン一級建築士事務所HP https://www.daichinoie.co.jp/
今日は・・ロックンロール!(笑)