もうすぐ完成が見えてきた「西野の家Ⅱ」今日は一緒に各部のディテール(細部)の確認にお付き合い下さい。
写真はおなじみダウンドラフトカット+内照式照明+ブラインドボックス(笑)。南側に大きな開口部を持つ「西野の家Ⅱ」。防火窓のためにトリプルガラスの窓の性能はどうしても若干スポイルされてしまいます。そこでこんな工夫をしてみました。
照明板の向こうに隠された蛍光灯の熱が夜間ガラスの表面に発生するダウンドラフトを抑え同時にブラインドボックスにもなります。表面は素敵な布クロスを見つけたのでそれで包もうと考えています。
壁にドン付けしないで25mm隙間を空けることで、照明板がガラス面から浮き上がり立体的な表情になります。
こちらは難しい階段踊場のオーバーヘッド。室内が僅か28.7坪しかない「西野の家」では各室の面積ばかりか容積も最大限使う工夫が求められました。当然階段の上にも二階の床が部分的に覆いかぶさるような状態も生じます。そこで大切なのがその床の下を安全にくぐれるか否か?僅か数センチ低いだけで窮屈に感じたり、丁度よかったり。毎度ながらなかなかスケール感が難しい部分です。実はこの部分当初は5cm低く設計してしまいU棟梁にお直しをお願いした部分なのです。露出する梁や端柄材はオイルで赤みが際立つ唐松を使用しています。
梁の右側の天井と左側の天井で高さが違えてあるのが分かると思います。左側の高い天井の下に階段の踊場があります。
真北に位置し周囲を高い建物に囲まれている子供室はそのままではほとんど日射が得られません。そこでほぼ二階建ての吹き抜けにして屋根の上に塔屋を突き出し南側の明るい光を呼び込みます。
基本的に南側と西側の一部にしか開口部が取れない「西野の家Ⅱ」では家の奥まで明るくする工夫が必用でした。間仕切壁の上部を50cm下げて開放し欄間のようにすることで南の光を北側まで通し天井が奥まで連続するように見せることでより広く感じるように考えました。詳しくは企業秘密ですが、様々な方法を用いて空間を実際よりも大きく見せることは建築家にとって欠かせない能力のように思います。
天井の高さを部分的に変える事も効果的な方法です。上部の穴はパッシブ換気の排気口と機械換気の排気口。内外温度差と煙突効果を主な換気動力とするパッシブ換気は電気を必要としませんが、安定した煙突効果を得るためには一定以上排気口の高さが必用となります。(パッシブ換気を設けると実際は機械換気を省略できますが、シックハウスの観点から法的な取り付けが義務付けられています。要は北海道で開発されたパッシブ換気は効果は十分であっても法的にはローカルルール。したがって全国統一の建築基準法の定めによればパッシブ換気を設けても機械換気を省略することはできません。)
手前に見える四角いものはペレットストーブ。近年主力のラベリのRシリーズです。
おなじみ開口部の端部の納まり。コーナーに面木を回し、仕上がったときに柔らかい印象を与えることと、角に物をぶつけたときに壁が簡単に欠けて傷まないように家中の全てのコーナーにこのような下地の一手間を加えます。
床と壁の取り合いは室内を伸び伸びとスタイリッシュに見せる大切なポイントですよね~。(笑)建築家の中にはこの部分に巾木を全く付けない人もいますが特に要望のない場合、私は3cmの高さのものを壁のボードから3mm出して控えめに取り付けます。一般的には高さ6~7.5cmで9mm程度の厚さのものをボードの上に貼りますが、どうも壁が窮屈に見えてあまりしっくりと感じません。かといって掃除機を壁に押し付けるために壁が汚れるのも困りもの...そこで最低限の困らない寸法で巾木を付けています。今回は床と巾木の間に目透かしを入れて床が壁に”スッ”と吸い込まれるように見せようと考えています。
床は巾120mmのアルダー材で昨年の「発寒の家」、「前田の家」とは仕上げオイルの種類を違えてあります。美しい赤みを引き出しながら壁にも一部同じ床材を貼っています。要は床と同じ材料が壁を登ってゆくように見せて室内を囲む4面の壁が同じ白色の印象にならないように考えました。「発寒の家」では壁の一面を白色のタイル貼りとして色は変えずに素材感のみ変えましたが、「西野の家Ⅱ」では木の質感が大好きな建て主さんのためにあたたかく柔らかな木壁のインテリアにしてあります。
今日は久しぶりにRUSHなんていかがでしょう?