2013年10月9日水曜日

屯田の家 製作家具工事

 
現在、東神楽の匠工芸の 工場では、屯田の家に納品するダイニングセットを製作中です。写真は組み立てが終った椅子のフレーム。材種はナラ材で定番のオイルフィニッシュで仕上げます。このオイルは家の各部に使ったものと同じ。そう「屯田の家」では全ての室内の木部のメンテナンスを同じ一つのワックスで行うことができるのです。でもよく考えてみたら絶対そっちの方が簡単で良いですよね~。一般的な家は木床は床専用、枠廻りはまた別のもので...と誠にメンドクサイ!(笑)弊社の特徴のひとつは木部の汚れ落としは、ぬれ雑巾かサンドペーパー、仕上げは共通ワックス。木部は基本無垢材なのでガンガン使って、汚れたり傷ついたら紙やすりOKなんです。


写真は巾90cmのテーブル。材種は椅子と同じナラ。一見して天板の剥ぎ合わせの枚数が3枚と分かる。広幅の板を奮発しましたね~(笑)。近年では巾30cmを超える板材は樹種を問わず少なくなりました。オイル仕上げが楽しみですね~(笑)。

写真は割れ止めの契り(バタフライジョイント)を加工しているところ。広幅の板は希少性が高く、たいへん高価ですが、反面従来は少しの割れでも欠点とみなされて捨てられたり引き割られたりすることが少なくありませんでした。しかし匠工芸ではこうした欠点をその木の景色(個性)と捉えウオールナット等の契りを打ち込んで美しい意匠と堅牢性を備えた製品にしてしまいます。契りの技術は写真の通り、家具職人がひとつひとつ手作業で行う高度なものですが、その技がむしろテーブルを特別のものにしているように私は思います。匠工芸の二代目と話し合って、継げるものは難しくても技で克服すること。ピカピカ光るウレタン塗装を使わないこと。汚れたらいつでもお客の力で簡単に元に戻せること。そんなお約束で作っています。
 
こちらは座面のシート貼り。今回は茶色の布テープを編みこんで。座ったときの反発を楽しめるようにテンションを掛けて貼り込みます。
 
 
 
後もう少しだけお待ちくださいね~(笑)

西野里山の家 建て方その2


本日は、屋根垂木掛け。2×10(ツーバイテン)の大垂木を30cm間隔で渡し掛けて行きます。在来軸組み用の材料ではないこうした輸入材はSPF材と呼ばれ、2×4住宅の床組みや屋根に使われるのが一般的です。しかし木構造の研究が盛んで大らかな北海道では壁は在来軸組み工法、屋根は2×4工法といったルーツの異なる組み合わせが比較的抵抗なく取り入れられてきました。この垂木を外貼り断熱とし美しい連続性を室内に顕しながら特徴的なインテリアとする方法はもうすっかりお馴染みですよね~。(笑)

室内に垂木を顕しにするために品質表示の印刷等は落としたほうがきれいです。そこでこの垂木は両面ブレーナー(自動カンナ)掛けとしてきれいな木肌を一皮剥いています。

間仕切壁の上部は二枚合わせとした大垂木の間に35mmのコマを挟み10.5cmの巾にします。こんな風に在来木造の柱の寸法に異なる寸法体系のツーバイ材を合わせてやると、壁の仕上げが垂木の連なりの中に自然にすっと消えてゆく間仕切りができます。

真ん中に挟むコマ。さすが!棟梁(笑)

いつもお伝えしているように気密性能はとても大切です。写真は先張りシートといって、材料で気密シートを挟み付けながら屋根組みを作っているところ。断熱建物に欠かせない工夫が気密ですが、北海道ではこの断熱を構造と同じ大切さで捉えている事がよく分かる写真です。以前は、「在来木造はその特性上気密には向かない。気密を上げたいなら外国生まれの2×4だ」なんて言われましたが、今聞くと大昔のお話のように聞こえます。私のブログで何度も実測の様子をお伝えしているように今では木造住宅の気密性能はコンクリート造さえ凌ぐほどです。しかしその影には保守的な在来工法を粘り強く改良してきた工務店さんやたくさんの大工さんの努力があることを忘れてはいけません。
 
奥に見える梁は梁成寸法が約40cm。二本の長い通し柱でくわえ込んで支持します。余談ですが材料を素のまま見せるところは血色の良い赤みの唐松材。壁や天井で覆ってしまうところは白色のとど松材。プレカットの図面を書く人と加工担当のオペレーターはさぞや面倒くさいことでしょう。(笑)しかし表面を飾り立てるデザインも悪くありませんが、柱と梁が組みあがったときにその骨組みに想いが込められているとしたら、それもまた別の良きデザインだと思うのです。骨組みを全て隠してしまうのではなく美しく見せることを忘れない。最近はそんなアプローチが増えてきました。


玄関の上に跳ね出す梁成40cmの梁
 
一層、上の梁も同じように、柱ががっちりとくわえ込む柱勝ちの納まりです。

隅柱は材寸を上げて10.5cm×18cm。ごつい20knのホールダウン(引き抜け防止)金物が取り付きます。もちろん土台廻りも気密レール付きの先張りシートです。

 
金物は極力全数、指定のもの以上であることを確認します。
 
今日はV.リシッツアでOP25-NO.12。なんというテクニック!しかしショパンってどうしてこんなにロマンチックなんでしょう?
 
 

2013年10月8日火曜日

西野里山の家 建て方

 
本日は現場にクレーンを据えて2階の床、柱、梁を建て込みます。従来は柱も梁も大工が抱えられる大きさを基準に長さを決め、人力で持ち上げながら建て込んでいましたが、工場加工(プレカット)の発達により、3間(約5.4m)以上の長さの材料が自由に加工できるようになると、人力では逆に難しくなってきました。梁の成(せい:垂直方向の寸法)が従来は30cm程度が最大だったものが39cm、近年では45cmともなるととても両端を二人の大工で持ち上げながら梁を掛けること自体、危険な重量になります。特に私の場合は、一般的な6尺(1.82m)間隔の柱や梁の配置を半分の間隔で行うために、木材の石高(こくだか:材料の体積の意、材木は伝統的に石/コク、近年は立米/リュウベを単位とする)が倍増します。当然余計に手間がかかり現場の大工さんの苦労は増えるのですが、いかに丈夫に作るか?や床を歩いたときにがっしり感じる剛性感、何より大工さんたちが実感として「この家は丈夫だ簡単に壊れるわけがない」と自ら納得するような仕事を見せねばなりません。設計者はいつだって大工さんに試されていてその評価は図面を通して現場に伝わります。「なるほど組み上げて見て訳が分かった(笑)」と言ってもらえるように精一杯、知恵を絞ることでしか信頼は生まれないのです。これから設計者を目指す人はぜひ、構造図を書いた後プレカット屋さん任せにせず自分で軸組みまで書いてほしいものです。
 
右手前に見えるのが6mを超える通し柱。(継ぎ目のない長柱の意、反対に短い柱を管柱/クダバシラと呼ぶ)一般的に梁勝ち(梁を優先させて、各階ごとに短い柱を立ててゆく方法)と柱勝ち(建物の四隅の柱を繋ぎ目のない長柱として梁は柱の腹に叩き込む方法)では後者の方が建て込みがより難しくなります。もちろん前者も最終的には柱を金物で繋ぎ、壁に筋交い代わりの合板を打ちつけることで柱の揺れが止まりしっかりとしますが、設計者としては合板や金物に頼らず組み上げた状態でビシッと動かなくなるものが好みです。


一見、梁の上から柱が生えているように見えますが、実は通し柱で、梁は柱の腹に叩き込まれています。

明日は間柱といよいよ大垂木を架け勾配屋根を作ります。

「西野里山の家」の特徴的な階段室の踊り場は空中に跳ね出していて下に支えの柱がありません。階段の踊場を中二階として建て主さんの趣味である読書が楽しめるようにいろいろと考えて空中に浮かんだ感じの設えとしました。

 
踊場の床を支持する梁が左側に跳ね出している。
 
今日はTスクエアでPRIMEなんていかが?
 

2013年10月7日月曜日

ヨットは楽し!

昨日、生まれて初めてヨットに乗せていただきました。場所は大好きな小樽、しかし陸しか歩いたことがありません。海の街を一度沖から眺めてみたいと想っていました。少年時代に小さなマーメイド号で単独、太平洋横断に成功した堀江謙一の著書、「太平洋一人ぼっち」を読んで以来、白く輝く帆に風を一杯に受けて船体を傾けながら走る姿に憧れていました。当事の私にとって船乗りになって世界を回ることは途方もなくわくわくする夢だったのです。もちろん現在は陸の仕事に就いたことを後悔していませんが、ふとした瞬間に懐かしく昔を想い出すのでした。そんな時、思いもよらずお誘いが掛かり乗船の運びとなったのです。人生って不思議なものですね~。(笑)



レンタルしたヨットはフランス製oseanise32 。6人乗りで堀江謙一が1962年に使った初代マーメイド号の約2倍の大きさです。美しい青色の船体と雰囲気一杯の皮巻きの大きなステアリングホイール(舵輪)。今日の同乗クルーは艇長含め3名。しかしなんて優雅なんでしょう。

海から見るマイカル小樽。

室内はフランス製らしく中々に豪華な印象。

何かと思えば...

水洗トイレに洗面台そして...

座ってくつろげるシャワーまで。恐らく贅沢というよりは、海の上である期間過すことを考えた実用的な装備なのだと思います。遊びも暮らしの一部で人間らしさを保つ大切な時間であるというこのヨットの設計者の想いがよく分かります。

海から眺める小樽水族館です。

祝津灯台とニシン御殿もよく見えます。

遥か沖合いには同じくヨットが見えますね~(笑)

雰囲気抜群の皮巻きの舵輪と、これまたフランス製らしいワインボトルラック。
ヨーロッパってそういうところなのね~(笑)

帰りはよい風が吹いて帆走のチャンス到来!

船体を傾け全力帆走中の様子と舵輪を操る艇長。

帆が風をはらんで船体を前に押し出す感じはとても不思議でした。

沖の船に手を振り

やがてどんどん小さくなり

マストの上の風見と風速計がヒュンヒュン回り...

気が付けば再びマリーナへ

いや~初めての貴重な体験!最高でした。
今日はアメリカズカップなんていかが?この映像は凄い!

2013年10月5日土曜日

西野里山の家 建て方開始

 
土台敷きが完了した「西野里山の家」。さて週明けから一気に柱が建ち始めます。いつも思うのですが、一気に家は建ち上がるのですが、そこからがまたたいへん。特に断熱や窓廻りに通常の現場よりもかなり時間を要します。
 
 
 
周囲に建物が少ないので少々広目の足場が可能です。建て込んだ住宅地では足場もぎりぎり。しかし「西野里山の家」の敷地は南西側しか隣家に面していないので足場もいつもよりはゆったりです。
 
 
 
塗っているのはエコボロン。ホウ酸を用いた防腐防蟻剤です。 基礎断熱を行い床下を室内として外気の予熱などに使う最近の工法では安全性の高い防腐防蟻剤が求められます。
 


こちらはポーチにある柱の柱脚金物。5本の柱を象徴的に使って玄関横のアクセントにしようと考えています。そこでこうした一体型のプレートを製作し柱の位置決めが簡単なように工夫しています。
 
今日はO.ピーターソンなんていかが?


2013年10月2日水曜日

震災をきっかけとして住いと建築を考える

 
今日は北総研のフォーラムに行ってきました。
震災は私たちの社会の有り様に大きな疑問を投げかけましたが、建築もまた同じ。一時の混乱もようやく収まり復興住宅をどのように作るべきか?もっと広く、今後震災大国である日本の建築が取り入れるべき課題はなにか?作り手や住い手、地域行政との関係をより良く繋ぐ方法とは?自らも作り手の一人として考えに向き合うよい機会をいただきました。

技術をいかに生かし使うのか?そうした計画思想や哲学に大きな変革が求められている。そんな涌井先生の提言に、はっとさせられました。私たちはすぐに便利で楽な技術(方法論)を喜びますが、実はそもそもそれを生かして正しく使っているのか?そう謙虚に問い直す瞬間は意外に少ないのでは?

被災地の建築家である佐々木さんの静かな語り口から、逆にその経験の凄まじさが伝わってきました。地域の建築家としていかに生きるべきか?そんな風に問いかけられているように感じました。

2013年9月30日月曜日

「採光と照明のアイディア」

2013年 10月21日 
 
北海道の11月~12月は一年間で最も日を短く感じる季節です。午後3時ともなると、あたりは夕方の風景となり4時を過ぎる頃には暗くなります。ほぼ北海道と似た気候の北欧の国々と比べ一日中夜が続く極夜こそないものの、夜は約14時間にも及び、日の光が恋しくなります。同じ時期に午後5時半を回ってもまだ日没までに余裕のある沖縄と比べると体感的には二時間以上も夜を長く感じます。長い夜は一方で寒さの裏返しでもあり、冬の訪れは暮らしの中で照明と暖房が心と体の癒しとして欠かせなくなる、最も北海道らしい季節でもあります。前回、自然エネルギーを暮らしに生かすために、従来の冬に縛られたものの見方(作り方)から今後は踏み出すことの大切さを、断熱や開口部の工夫を例にお話ししましたがそれらはまさに長い夜と貴重な昼を楽しむことにもつながっています。長い冬の夜を楽しむ照明としてリクエストが多くよく提案するのが、光源を直接見せない間接型の照明計画です。光を壁や天井に反射させ物に輪郭を与えることで、吹き抜けや構造体の存在が認識できるようになると、昼間のように家を広々と感じることができるようになります。特に冬の備えを背景に発達してきた北海道の住いではLDK空間(居間+食堂+台所)を一まとめの空間として南側に設ける場合が多く、そんな家族の大切な空間を長い夜と共に楽しむ提案に潜在的な憧れがあります。さらに降雪期を迎えると、夜の長さは同じでも雪明りで夜を明るく感じるようになります。雪の白さと寒さが産み出す結晶の輝きは、昼夜を問わず光を楽しむ最高の舞台になります。
 
 

屋根を外貼り断熱とし力強い梁を隠すことなく見せることで印象的な街並みの夜景とした。 (2005星置の家)


貴重な太陽光を明るさと熱として生かすために断熱性に優れた大窓は欠かせない。一方夜間はどんなに性能の良い窓も壁にはかなわない。そこで太陽光よろしく照明器具も光と熱を両方使おうと考えた。
 
 
昼間は豊かな日射を取り入れ、夜間は窓辺に発生する下降気流(ダウンドラフト)の緩和を狙った照明計画。冬型の家から一歩踏み出し新たな観点で断熱を増すことで採光をはじめ自然エネルギー利用のポテンシャルも増すが、設計者には従来の設備機器任せとは異なる設計センスが要求される。(2007ニセコの家)
 
 
 
一日中安定した北側の光は最高の自然照明。画家や写真家のなかには良い光を求めて敷地を探す人さえいる。窓の外に陽光で明るく浮かび上がる街並みは生きた風景画として楽しみたい。寒さが気になる北側の大窓も断熱サッシの進化で従来に比べ難しくはない。(2009銭函の家)
 

 
一方、熱取得に優れ、時間により室内の影が刻々と変化し表情豊かな南側の大開口は、明るさと暑さの調整が可能な工夫を加えて楽しみたい。窓の外に間隔や高さを違えて取り付けた縦格子が外部の視線の遮断や積極的な採光を両立させている。  (2012発寒の家)