2018年1月16日火曜日

発寒の家Ⅱ 外張り断熱工事

外壁に断熱サッシを取り付け、枠廻りの気密処理が完了すると、いよいよ外張り断熱の工程に入ります。使用する断熱材はフェノールフォーム。一般にはネオマフォームの商品名で知られる高性能なボード状断熱材です。北海道で広く使われるようになったのは2002年頃から。一般的なグラスウールの倍の断熱性能があるので、壁の厚みを抑えて性能を出さねばならぬ場合に重宝されています。2002年当時は50mm厚が最高でしたが、現在では100mmをよく使います。もちろんこの「発寒の家Ⅱ」も300mm断熱(GW換算で)として設計しましたから、壁内にはグラスウールを105mm、そして柱の外にはこのフェノールフォーム100mmを張って同等の性能を狙います。 
 
この外張り断熱工法は、北海道で一般的な充填断熱工法とは異なり、昭和50年代から続くもう一つの断熱工法の潮流です。古くは故長谷川寿夫先生を中心とした北方圏住宅研究会や外張り工法を推進する工務店のグループ、一社)北海道建築技術協会も専門の研究会を設けてその研究が進められました。
一社)北海道建築技術協会 外断熱建築研究会 http://hobea.or.jp/sotodan/
 
当時と最も異なるのは、外張り断熱材の性能向上ばかりではなく、上の写真に見えるビニールによる気密&防湿層の連続性。またそれを容易にする柱外の耐力面材(構造用合板等)の普及です。高い気密性を出すことが容易になることで外張り断熱自体の完成度は非常に高くなりましたし、室内側から1:構造ライン、2:気密&防湿ライン、3:断熱ライン、4:通気仕上ライン、この4つを平行に一筆書きすることで様々な建物の断面形状に簡単に対応することも出来ます。設計者にとって建物の部位により気密シートの位置や基本となる断熱構造がいちいち変わらないのも非常に楽で安心感があります。「発寒の家Ⅱ」でも気密&防湿ラインは屋根も壁も耐力面材の外。明解です。

外張り断熱を推進する工務店グループ「ソトダン21」の会員であるアクト工房さんのディテールはよく考えられたもの。あえて窓の外枠と断熱材の間に10mmの隙間を開けそこをウレタンの充填スペースとしています。

こちらは隙間にウレタンを充填したところ。最終的に丁寧にカットして納めて行きます。

専用のブチルテープにより断熱材の継ぎ目をテーピングしています。

こちらは仮止め用の釘。長さは120mmとかなり長い。最終的には専用の長さ165mmにも及ぶ断熱パネルビスを用いて固定します。
 
今日はNatalie Imbrugliaなんていかが