2011年11月29日火曜日

北25条の家 断熱工事

「北25条の家」は現在、屋根の断熱工事に入りました。「宮ノ丘の家」は板状断熱材(フェノールフォーム)、既に竣工した「西野の家」は綿状断熱材(グラスウール)、そして今回は木質繊維断熱材です。繊維を使うのだから綿状では?とお思いの方も多いとは存じますが、実物の密度は40kg/m3以上もあり、16kg/m3が主流のグラスウールとは全く別物です。とにかく張りが強く、グラスウールのように押し込むことはほぼ不可能です。ちょうどベッドのマットレスのような腰の強い反発力があるために、かなり正確に切断しないと柱と柱の間に入りません。この材料は2007年に竣工した「ニセコの家」において初めて使ったもので、もとはドイツのホーマテルム社の製品です。当時のものは本国仕様でさらに密度が高く60kg/m3もありましたから、現在「宮ノ丘の家」を担当していただいているI棟梁(当時はニセコの家を担当)は慣れるまでにかなり苦労をしました。その後、ライセンスを取得した㈱木の繊維によって現在では苫小牧で北海道の原料を用いて生産されています。
㈱木の繊維 HPhttp://www.kinoseni.com/

本国仕様なら ホーマテルムHP http://www.homatherm.com/no_cache.html

屋根には24cmの木質繊維断熱材が入り、透湿防水シートであるタイベックの上から通気層を兼ねる屋根垂木が載せられ固定される。
  よく山本さんはいろんな断熱材を使いますが?と聞かれますが私も答えに困ってしまいます。(笑)誤解していただきたくないのは、私は熱の移動を遅らせる意味の「断熱の効果」に注目しているのであって、「断熱材の種類」から物事を決めているのではありません。建築家ですからそれぞれのマテリアル(素材)のよさを引き出すことが大切であって、特定の素材でなければ設計自体ができないわけではないのです。日本ではいまだに、環境建築の話と環境設備の話が混同されやすいのが残念なところですが、同様に断熱の種類を言う前に、その目的をよく考えてみてほしいと思うのです。
道路側立面の様子。外壁に付加される断熱材の下地が1階部分に見えます。

今はなきフレディーに敬意を表して!



宮ノ丘の家 断熱工事

「宮ノ丘の家」ではいよいよ断熱工事が始まりました。高性能なフェノールフォームを外壁に二層外貼りし順に止め付けてゆきます。これで外壁をグラスウール30cm相当の性能に高めることができます。外貼り工法は、一旦慣れてしまえば平均的な大工さんならば誰でも高断熱な住宅を造ることができます。その分設計時の準備や打ち合わせは大切ですが、シンプルな工法を用意しておくことは日本中場所を選ばずECO住宅を建設することが可能になるのです。

従来は熱橋(ネッキョウ:熱の逃げ道の意味)とされていた部分もカバーする工法。断熱工事が完成すると、外部から木下地は見えなくなります。

今日はU2なんていかが?