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2018年11月13日火曜日

銭函の家2009

 
設計から、あっという間の10年。来年で竣工10周年の「銭函の家」。断熱はグラスウール相当で壁:350mm、屋根:480mm。サッシはIWS㈱(当時の飯田WWS㈱)が担当し後にPHIのAグレード認定を受けたプロトタイプが使われている。外装は道南杉、屋根は当時、先輩の小室雅伸さんから教わったばかりのシート防水、ダブルスキンの玄関ドアは荒谷邸からアイディアを拝借、パッシブ換気、外付けブラインド、石狩湾を望む北側のカーテンウォール・・施工を担当いただいた橋本川島コーポレーションさん大工工事を担当してくれた丸三ホクシン建設さん・・そして貴重な挑戦の機会をいただいたクライアントさんには感謝の言葉しかありません。

最上階に取り付けられた日射遮蔽のための外付けブラインド。

こちらは西側の外壁面(庇ナシ)

こちらも同じく西側の外壁面ですが上部には庇があるところ。杉の赤味がまだ少し残っています。

こちらは庇の下。色はさめましたが杉の赤味が残っています。

こんな風に部分的に味わい深く色変わりして行きます。

抜けるような秋空の青と外壁の対比がとても力強く感じました。


キッチンの小窓

敷地からは石狩湾を航行するコンテナ船が見えます。
 

2010年10月8日金曜日

銭函の家 定期点検

本日は銭函の家です。空は秋晴れです。

屋根に50cm、壁に35cm、窓は特製のトリプルガラスを用いた銭函の家では南面の3階は、外付けブラインドなしでは暑くてたいへんです。建て主さん曰く「必需品ですねぇ~。かなり使い方に慣れました。」とのことです。全国で最も寒い北海道において、長年の悩み事であった寒さを取り除くと、今度は日射に対する遮熱デザインが俄然大切になってきます。夏至の太陽高度に合わせた庇だけでは、室内に流入する日射量を抑えることはできません。なぜならば夏至以外の日(それが2月であっても)の日射量でさえ室内をオーバーヒートさせるのに十分な熱量になるからです。仮に室内にブラインドを設けると、そのブラインドが加熱して即席のパネルヒーターと化します。日光は遮っても暑さは防げなくなります。物理の時間に習ったように、熱は伝導、対流、放射のどれかで移動をする性質があります。放射熱を運ぶ長い波長の見えない光、すなわち赤外線をいかに室内の外で遮断しその量をコントロールするか。設計者には熱に対する興味と理解が欠かせません。こうした太陽光の入射制御のノウハウが向上すると、放射冷却現象でからりと晴れたすごく寒い朝から太陽光だけで暖かく過ごせる家ができるでしょう。これからの北海道の家には高断熱とともに可変性の高い日射コントロールの工夫を盛り込んでほしいと思います。そしてなにより家人の使いこなす知恵に期待したいと思います。

10月のお昼ごろの影。太陽高度の低い時期に合わせた横長の窓をもっている。北国の太陽は冬場低い高度をほぼ水平に動く。冬場の室内日射量を増やし夏場を減らすためのデザインがこの横長の窓。微調整を外付けブラインドで行う。

2009年12月26日土曜日

銭函の家 内覧会の様子

みなさま年末のお忙しい中、内覧会にお越しくださいまして誠にありがとうございます。この場をお借りいたしまして御礼申し上げます。時節柄、環境的な関心も高いようで本日もたくさんの「へぇえ~」を頂きました。27日(日)も朝10:00より開催しておりますので、ぜひお越し下さい。













2009年12月14日月曜日

銭函の家 外付けブラインド工事

本日は、外付けブラインドのお話。3階の窓がほぼ真南に面する銭函の家、日光が入って良い反面、入りすぎると困ることもたくさん出てきます。一つが建物のオーバーヒート。建物をしっかり断熱することで、熱が逃げない分不用意に窓から太陽光を入れると冬でも室内が暑くなりすぎてしまいます。ある一定までの断熱レベルならば、庇の長さで夏季と冬期の日光入射をコントロールできますが、それを超えてさらに断熱を厚くすると、もっと積極的に室外で日射のコントロールが必要になってきます。銭函の家は、北海道で初めて外付けブラインドを取り付けた住宅です。室内から簡単な操作でスラット(羽根)の角度を変えられます。便利なのは夜間カーテンの代用としても使えることです。


3階左半分がブラインドを下ろしたところ、右側が巻き上げた状態。


近くで見ると、まんま室内用のブラインドの拡大強化版です。

スラットは自由に角度調整が可能です。


ほぼ全閉状態。


上方向に角度固定することも可能です。


2009年12月12日土曜日

銭函の家 スケルトン+インフィル

スケルトン(骨格)、インフィル(設備や内装)、この言葉を聞いて、「ナールほど!」にやりとしたあなたは、かなりの設計上級者又は住宅好きとお見受けします。(笑)つい最近まで日本の家作りは時間軸をほとんど意識してきませんでした。長く使うことなど前提にして作っていないばかりか、設計の意味すら分からぬままに毎年たくさんの家が建てられます。その結果、建てる前によく考える(設計する)という習慣が根付かないばかりか非常に希薄にすら感じます。今日は、大切な「時間」に関するお話です。

みなさん、スケルトン(骨格)とインフィル(内装や設備)どっちが長持ちすると思います?住宅寿命が20年くらいだと気にならないこの問いも、50年、100年となると俄然重みを増してきませんか?そう日本の 住宅で今困っていることは、寿命の来た設備(インフィル)の交換なんです。たとえば、ボイラーや配管を交換したいと思っても、床を全部めくるとか機械室を壊さないと設備を入れ替え不能とか。燃焼を行なう設備は10年が一応の使用限度。最近では石油から電気やペレットへ熱源の種類そのものを変えてしまう場合も多いですから、消耗品にあたるこれらの部品を簡単に交換できる工夫が住宅を長く使う上で大切なのです。銭函の家では、屋外の離れに機械室を設けています。大切な配管やボイラー等はこの離れに集中的に配置して、室内を一切触ることなく交換や整備が出来ます。


地下のヘッダーから各所へ行く配管。

各室に配管や配線はしていても、大元のエンジンやバッテリーは外付けといったイメージです。


排水も一端、集中的に床下に集めます。


将来的な引き込み(現在想定しているのは太陽光発電)に対応する予備の空配管。

2009年12月10日木曜日

銭函の家 温熱測定

本日は、銭函の家に温度と湿度の記録装置を取り付けました。工事中から一冬のデーター採りのためです。担当はもちろん建築物理担当のDr.T氏、今や弊社の設計には欠かせない温熱分野の環境コンサルタントです。外部、地下、1階~3階の各所における温度と湿度の移り変わりを記録することは地場の技術を検証し発展させる上でとても大切です。ドイツやスウェーデンの工法で0エネルギー住宅ができる事は今や世界的に広く知られています。しかし銭箱の家のテーマは同様の住宅を地元の技術標準で作ることにあります。ご要望とあれば、世界最高水準を地元の設計者や技術者、部品サプライヤーが、北海道の材料でいつでも供給できること。そりゃ~いいやと思いませんか。

記録機本体:一見 簡単そうに見えますが、本体はかなり高価。コードの先にはセンサーが付いていますが、1年で寿命が来るために毎年交換が必要とのこと。
日光の影響を極力避けて設置します。


2階に設置したところ。


階段室を用いて空気の流れを十分拡散させるために、壁にはお馴染み縦格子を用います。


もちろん外部にも設置しています。

2009年12月3日木曜日

銭函の家 内装工事その二

銭函の家の内装工事も仕上げ工程に向けて順調です。我らが現場のS棟梁は、親子鷹。そう、お父さんともども毎日現場で頑張っていただいています。先月竣功した西岡の家のS棟梁も同じ親子鷹、おまけにイニシャルも同じです。今年はSさんにとてもおせわになる年です。でもなんだかいいと思いませんか~(笑)、私も将来息子と仕事がしてみたいものです。そのためにも「建築家がそばにいてくれてよかった」と言われるように日々精進したいと思います。さて本日の監理のテーマは「見切りの確認」いつものように一緒にお付き合い下さい。(笑)

見切り:ものとものとがぶつかるところの処理。理想はそうした工夫なしで、硬いものと柔らかいもの、天井と壁のように面として異なるものがすっきり、さも何事もなかったように納まる(出来上がる)ことが理想です。しかし実際には、暖かい質感を持つ手作業の塗り壁と薄い塗り厚のペンキの天井の取り合いとか、壁の珪藻土と床のフローリングの境界とか、見切る工夫を事前にしっかりしておかないと出来栄えに大きく影響してきます。そこでそうした部分をみっちり監理するのです。階段は下塗り状態、段板は、ワックスで木地仕上げとするので、下地の白ペンキがはみ出る事は当然NGです。

アルミの見切りを床と壁の間に用いてアルミの厚さ分を珪藻土塗り壁の塗り厚さの定規(基準)とします。部屋の隅をホウキで掃いたり、掃除機を掛けたりしてもこの僅かに壁より飛び出したアルミがガードになって壁がポロポロ崩れるのを防ぎます。

壁は塗り厚のある珪藻土です。当然天井まで塗り上げると、厚み分僅かに天井を塗ることになります。そこで天井を壁から僅かに(今回は1.2cm)離して(目透かして)納めます。写真はその下地となる材料の取り合いです。1:天井、2:南壁面、3:西壁面の3面が取り合う入り隅(イリズミ)は難しいところです。出来上がりは壁の珪藻土が天井面の中にすーっと吸い込まれるように見えます。

本日の銭函の眺め。空は鉛色、冬の景色の到来です。


壁のボードを打つS棟梁、お父さんは1階担当です。塗り壁の下地ということで、釘が起きない(後から釘頭が飛び出さないように)ように、ボードビスを用いています。釘は打ち込むもの、ビスとはねじ込むものを言います。


本日の外気温は4℃、昼間も冷えます。


床の材料の断面が見えます。上より15mm厚のニレフローリング、24mm厚の構造用合板、道産カラマツ集成材、左に見える金物は構造的に伝統的な継ぎ手、仕口によるものではなくて金物接合であることを示しています。


壁の厚さは、最終的には43cm、開口部は外壁面より室内側に入って納められます。通常は開口部(サッシュ)が外壁面より外に出るいわゆるサッシュ勝ち納めが北海道では一般的です。しかし耐久性や、外観を彫りの深い印象的なイメージにまとめるためにあえて壁勝ち納めといたしました。


北国の木造の外壁構造の特徴は通気層を徹底するところでしょう。冬場室内で発生する湿気は室内から室外に向かいます。そこで室内から見て最外層部に空気の通り道を設け、万が一壁内に湿気がこもっても、逃げ道を作る工夫が必要になります。問題はどこから外気を壁の表層に入れるかですが、今回はこの壁勝ち収めを利用して上の写真のように窓のすぐ上の黒いベンチレーターから安定して空気を導入しています。材料はイーブスベンツ。本来は陸屋根の通気や小屋裏換気に用いる部材ですがそれを応用してすっきりさせました。

室内は、大工さん3人の体温発熱とコンプレッサー、作業灯の発熱量で現在15℃です。この原稿を書いていて気付いたのですが、300mm以上断熱をすると結果的にこのような気温を維持することが可能だとすると、今まで冬期現場の困りごとであった、低温化での仕上げ作業が圧倒的に楽になります。今の時期、通常の断熱の現場の室内は10℃にもなりません。その中でペンキを塗ったり、塗り壁をしたりは、ほんとうにたいへんです。まず乾かないし、品質も安定しません。湿式工法(工法に水を用いるもの。日本の伝統的なものはこれがほとんど。)は、こうして時期を無視した使い方のおかげで乾式といわれる水を用いずに溶剤を主にしたものに置き換わってゆきました。出来上がりの良い建築をお望みならば、春に着工して秋前に完成が理想ですが、断熱の考え方がもう一つ進むと、冬場でも漆喰や塗り壁が安定したよい品質で出来るようになるかもしれません。


冬場、北西の小樽市街方向から吹く風によって東側には大きな雪庇(セッピ)が張り出します。その方向は同時に眼下に広がる畑とその向こうに続く石狩湾を望むことから当初より窓を計画していました。特に暖気で寒さが緩んだ頃、屋根の雪庇が垂直に落下して下の屋根を壊したりすることがままありますよね?そこで子屋根は60度を越える勾配として、レンジフードの排気も軒下に全て隠すことにいたしました。


軒下に二つ穴が見えるのがレンジフードの排気と給気口です。気密住宅の場合は室内の気圧変化を最小限に抑えるためにこうした同時給気排気式のものをお勧めします。まだまだ排気専用タイプが多いですが、調理時に壁の給気口から冷気が流入して寒さを感じたりとあまりお勧めできません。


これくらいの高さが一番怖さを感じますね~。雪庇はこの角度で屋根に当たり滑って地面に落下するというわけです。


この建物のもう一つの心臓部、それは北海道で開発された技術であるパッシブ換気(高気密断熱建物専用自然換気)を改良して用いている点です。写真はその排気口。壁から飛び出さず十分に薄いことを確認します。この方法は、外部の気温や気圧の影響を十分取り去った室内(高断熱気密建物の室内)においては、煙突効果の応用で自然換気できるというものです。従って機械による換気は必要なくなります。(全国の建物がそうではないので、法律では機械換気が義務付けられています。)ほんとうにすばらしい発見だと思いませんか?

この排気口を開発した人も北海道の方です。極力機械に頼ることなく、自然の法則を応用して知らずに快適で燃費の良い暮らしがこれからは求められるとおもっています。本日も最後までお付き合いありがとうございました。

2009年11月28日土曜日

銭函の家 内装工事

銭函の家も内装工事に入っています。きっと皆さんの目から見ると単なる工事中の写真だと思いますが、実は石膏ボードを貼り下地が見えなくなる今が監理する上で最も大切な時間帯となります。コンセントやスイッチの位置は良いか?各種の見切り(巾木や目透かし部分、特に出隅コーナー処理を忘れていないか?)、塗装仕上げ部分には塗装用のボード、それ以外の仕上げ部分にはそれ用のボードとしっかり区別されて使用されているか?各種の塗装色やその機能(床などは滑る塗装?滑らない塗装?等)、製作家具の搬入据付等のスケジュールの確認等々、いろいろあって書ききれないので今日は、みなさん一緒に監理にお付き合い下さい。(笑)

組みあがった直通階段(銭函の家は3階建て、法律では3階の非難口、と消防隊の進入口及び直通階段が義務付けられます。)1:階段は軋みがないか?、2:しっかり表面が養生されているか?3:壁からの離れは適切か?、4:勾配に違和感はないか?、5:金物部分のビス頭はパテ処理するかしないか?、6:各部の色の確認、7:手摺を付けてからでは入らないものの確認(大型家具やピアノ等)
写真はユニットバスの底部分です。1:赤い温水管と青い冷水管が下地にしっかり固定されているか?2:電気配線の隠蔽部分の固定はなされているか?線と線をつなぐ部分はジョイントBOXが使われているか?3:UBの固定は頑強か?

銭函の家はクライアントの要望で床と壁の間に巾木がありません。しかし壁は塗り壁を予定しています。単に巾木を取ると、塗り壁が掃除機を使うたびに、細かく砕けた粉になり床を汚します。そこで見切りを最小限の寸法で入れます。




塗装仕上げの壁もあるので、窓のコーナー下地を入れているところです。いわゆる「ピン角」は出来たときは美しくともすぐに欠けてしまいます。6Rの丸面を付けてコーナーを守ります。