自己紹介

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札幌市, 北海道, Japan
はじめまして。 北海道、札幌市で設計事務所をしています。 暮らしに最も近いものづくり「建築設計」 地域色豊かで環境的、使いやすくて長持。 そんな暮らしのデザインが大好きです。 社会の悩みを建築デザインのテーマにすると面白い! そんなことを考えながら今日もスケッチしています。建築(暮らし)のお話しあれやこれ... どうぞお楽しみ下さい。

2010年11月29日月曜日

南あいの里の家 内覧会のご案内


ブログを通して現場の様子をお届けしてまいりました長期優良住宅、平成22年度北方型住宅ECOプラスの普及のため、「南あいの里の家」の内覧会を行います。ぜひ当日はお誘い合わせの上ご来場いただければ幸いです。パッシブ換気をはじめ「北海道発のECO住宅の今」をぜひご覧下さい。  
チーム南あいの里  プロジェクトマネージャー   山本亜耕

「南あいの里の家」とは?

1988年より北海道が普及を行ってきた地域仕様が「北方型住宅」。この仕様をベースとして、断熱性の大幅な強化や地域材の使用等を盛り込んだのが、ハイエンド仕様ともいうべき「北方型住宅ECOプラス」です。見事、国の定める平成22年度の長期優良住宅に選ばれ、全国的にその性能はもとより設計思想の先進性が注目されています。南あいの里の家ではこうしたハイエンド仕様を満たしながら、今後の北海道においてふさわしいとされる壁300mm断熱仕様(グラスウール換算)に挑戦しています。一般的なECOプラス仕様が壁200mmなのに対してさらに断熱性能を上げました。それらに加え道産白樺を原料とする積層合板による美しい意匠や構造材にも道産材を使用、また暖房用のペレットも道産にこだわっています。計画的には、綿密な温熱計画の導入による建物全体の省燃費設計や市販品ながら三層ガラスでチューンUPされた開口部、坪単価を50万円台/坪に抑え込む高度なコストデザイン等々見所も盛りだくさんです。
■データー
①:Q値   1.0W/㎡/k(自然換気0.5回/hとする。0.3回の時はQ:0.9W)
②:C値   0.1cm2/㎡(断熱気密工事終了時)
③:必用暖房容量  3.3kw(*:但し外気温-13℃、室温22℃の場合) 
④:断熱  壁:30cm相当、屋根:40cm相当(グラスウール24kg/m3換算)
⑤:換気      パッシブ換気
⑥:暖房      主暖房:ペレットストーブ、予備暖房:電気式パネルヒーター
⑦:給湯      電気温水器
⑧:断熱サッシ  PVC枠+トリプルアルゴン又はペアクリプトンガラス
⑨:断熱材    フェノバボード(フェノールフォーム)90mm+GW24kg/m3複合断熱
⑩:耐震性    通常設計より25%UP

*:建築主さまのご好意により北方型住宅の普及のために会場をお借りしています。内覧会終了後はお引渡しが決まっておりますのでご見学の際には、ご配慮をいただきますようお願い申し上げます。また会場は住宅街ですので駐車場はございません。JRをお使いになるか、車でのご来場の際は、近隣の迷惑にならぬようお願い申し上げます。
  

日時:2010年12月4日、5日(土、日)
    10:00~16:00 

場所:札幌市北区南あいの里4丁目


「チーム南あいの里」 紹介

■プロジェクトマネージメント(設計、監理)  山本亜耕建築設計事務所
■生   産(ゼネラルコンストラクター)   ㈱丸稲武田建設
■断 熱 材                   積水化学北海道 ㈱
■建築環境計画                 (有)タギ建築環境コンサルタント
■道産構造用製材               物林㈱
■断熱開口部の設計、施工         ㈱エンヴェロッブ
■ペレットストーブ及び道産ペレット     ㈱イワクラ
■道産白樺による積層ベニア        滝澤ベニア㈱

主暖房は、ペレットストーブです。

2010年11月23日火曜日

菊水の家 気密測定 第一回目


本日は菊水の家の気密測定の第一回目です。私の事務所の場合は気密測定はビニールが貼られ、設備及び電気の配線が終了した時点と完了時の二回行います。測定者はお馴染みDr.タギ氏本日も愛用の測定器を組み立て計測開始です。

結果はというと、初回ではまずまずの0.2cm2/m2、漏気部分は、木製サッシの取り付けビス部分、シーリングの結果、前記の数値が安定して出るようになりました。今後、室内下地のボードを貼り込み、最終性能値0.1cm2/m2を目指します。

写真は、チーム菊水の「生産」担当のF所長、自らビニールのジョイントをテープ止めしコーキングを行い、試験に臨みました。所長の細やかな性格のおかげで建物の性能は大きく変わります。何事もそうですが、大切なのは人ですよね、私の場合は現場の指導者に恵まれることが多いです。建築家だけでは家はつくれません。大工さんをはじめ各工種の意識を高め、目標を示し、励まして団結させる所長なくしてよい家は生まれないのです。建築家の行なう監理は、基本的にサンプリング抜き取り方式が原則、設計図と現場が同等の内容かどうかを確認することが仕事です。それに対し現場監督の管理は品質管理、すなわち全数を確認し設計図に示された内容をクリアできるか否かを確認します。要は建築家の監理とは、建て主の意思が現場に伝わっているか?(設計図通りか否か?)を重視し現場所長の管理は製品として落ち度が無いかどうかを重視するものです。建て主の思い通りならばそれでよいとは限らず、ただ使用上安全で支障がなければよいとも限りません。自由度と高い品質を両立させるそれぞれの監理と管理が手を組んでよい建築が生まれることをぜひご理解いただければ幸いです。

2010年11月22日月曜日

菊水の家 気密チェック

菊水の家は、いよいよ気密測定の工程に入ります。本日は最終確認です。建築、設備、電気、各役割分担の中で見落としはないか、可能な限り見て行きます。

天井下地を貫通する、電線周りの処理、一見できているように見えても、圧力を与えると各部の様子が分かります。

壁を貫通するスリーブ周り、スリーブとビニールの間は良いようですが、スリーブ自体にGWしか詰め込んでいません。設備屋さんにテーピングのお願いです。同様に排水管、予備のカラ配管、木製サッシの連結部分、玄関ドアの敷居の下、一見見えにくい貫通部分、等々を確認してゆきます。

現場は、隠蔽される電気の配線及び設備の配管が完了した状態。要は見えるうちに試験をして不十分ならば直してから壁を貼ります。

緊張が高まってきましたね~。(笑) ガンバレーチーム菊水。

2010年11月19日金曜日

大学生のみなさんへ

本日、南あいの里の現場に地元の工業大学の学生さんが見学に観えました。
建築学科の学生さんが約30名。北方型住宅のこと、北海道の建材や技術の素晴らしさ。
なによりそんな環境で建築を学べることの幸せについて、お話させていただきました。
「チーム南あいの里」の一員として、未来を担う若い皆さんに現場のものづくりに触れていただけるのは望外の喜びです。ぜひ北海道の建築をみなさんの力で元気にしてくださいね。

引率のT先生、本日はごくろうさまです。この場をお借りして御礼申し上げます。

         チーム南あいの里 プロジェクトマネージャー  山本亜耕

2010年11月18日木曜日

菊水の家 気密工事+α

現在、菊水の家では気密測定に向けて準備が進行中です。写真はチーム菊水の電気工事担当のK専務。壁付けブラケットの高さや離れ、供給側の電線の貫通位置等々を細かく決めてゆきます。

3階では、スキップフロアが進行中。菊水の家ではリビングとダイニングキッチンを段差で分けて配置して一体空間ながら用途分節も同時に行います。

2階からバルコニーへ出る扉には少々仕掛けがあります。本邦初公開です。一見見た目は普通のテラスドアですが実は....

レバーを水平にすれば、内開きになり.....

レバーを上まで回すと、扉の上部が室内側に倒れて、簡単にロックされたまま換気ができる状態になります。ドイツでは一般的なドレーキップというスタイルの窓で、慣れるには少々時間が掛かりますがなかなか優れた開閉のスタイルです。まあ欠点は少々コストが掛かるところですが..(笑)

お馴染み気密施工です。菊水ではガスケット+テープです。

サッシも内側からシールします。反対に外部側はオープンジョイントです。

樹脂製窓と異なり木製窓は廻りに1cmの隙間をぐるりと設けてそこにシールを打ちます。

一見美しく塗り分けてあるように見えますが、まったく別のエコシラ合板を継いでいます。

裏から見ると...座金とボルトでお互いを引っ張り合って継いでいます。こうすることで長物を特注することなく、安価な規格品を用いて長物材を作ります。㈱日新インテックさんはチーム菊水の内部建具担当ですが、こんな技を使ってさりげなく、現場の要求に応えてくれます。

実はかなりメカニカルです。


南あいの里の家  内装工事(階段)

本日は待ちに待った階段が掛かりました。まだ手摺がつきますが、部屋に及ぼす光の影響が伝わるでしょうか?実際の壁は白色ですからこの陰影がさらにはっきりします。北側の窓からの光で階段の段板を壁に映しこもう。きっと放射状の美しい影ができるはず.....等々頭の中で考えていた事柄を確認しながら細部に目を光らせます。ちなみに2階からロフトへは、片持ちのささら階段。壁側にもササラを付けると影が美しく伸びないので壁の中に段板を呑み込ませて留めています。印象はご覧のとおり、段板が壁から生えたように見えます。

一方1階と2階の間にある踊り場から2階に上がる階段は下支えの3列ササラ階段。写真では分かりませんが、この階段は壁から離れています。純粋に下支えのササラ3枚で階段を支持しています。

1階から踊り場までが箱階段、段板と段板の間からむこうが見えない安定感のあるタイプです。ご覧のように南あいの里の家では、3種類の階段スタイルを使い分けています。段階的に上に掛かる階段ほど、シンプルに軽く透明にすること。要は上に行くに連れて階段のボリュウム感が薄れるように考えてあります。これは吹き抜けの上部からの圧迫感を押えるためと、上がる人に高さを意識させて注意を喚起させるためです。日本人は足元の見えない、一見怖くない階段を好みますが、このように高さから来る情報をまったく取り去ってしまうと逆に注意をしない癖がついてしまいます。これは本末転倒で、住人を安易に油断させる設計はあまり好きではありません。安全な階段とは怖くない階段ではなく、回り段を設けない、段板の奥行きが24cm以上ある。蹴上げ(一段の高さ)は極力18cm以下にする。そして注意喚起を忘れない。空間を阻害しない。光を遮らない。等々の観点からいつも非常に時間をかけて設計します。お馴染みU棟梁はその図面を見ながら更に時間をかけて作ってくれるのです。

階段手摺の打ち合わせ中。握りには木をつけて握りやすく安全に。細い部材ながら強靭に強く等々確認してゆきます。

2010年11月15日月曜日

南あいの里の家 自然温度差⊿tn

本日は、小雪がちらつきとても寒い一日でした。みなさんはいかがお過ごしですか、現在、南あいの里では、床のフローリングが貼られ、室内のボードもほぼ終了しつつある状態です。本日は大工さん5名、休日もそこそこに全力で頑張っています。この季節になると昨年の銭函の家でもそうでしたが、建物の自然温度差(⊿tn)を実感することができるようになります。前回のブログでも触れたように、断熱工事的には完了している南あいの里の家では、家自体が暖房に頼らずに作り出す温度(自然温度差⊿tn)が、北海道の一般的な建物とは大きく異なります。みなさん一緒に覗いてみませんか?

この温度計は現場の仮設トイレ内のものです。室温は3.6℃、湿度54%です。
実際は風や雪の影響で屋外はさらに寒いのですが、一応基準の屋外温度とします。
一方、大工さんが働く室内は、下記の状況です。 


17.5℃で湿度70%です。もちろんヒーター類は使用していません。あえて言うならば大工さんの体温と、工具の動力用コンプレッサーからの発熱程度でしょうか。昨年の銭函の現場でためしに温度計を工事中の屋外と屋内に置いてみようということになり気付いた次第ですが、意外や断熱の恩恵を実感できます。

ちなみに、昨年の銭函の家の現場でも http://ako-re.blogspot.com/2009/12/blog-post_03.html


2010年11月14日日曜日

ASJイベントを終えて

11/13.14、モエレ沼公園ガラスのピラミッドで行われたASJ南スタジオのイベントが無事終了いたしました。二日で120名を越える方々のご来場をいただき、心より感謝させていただくとともに少しだけ建築家に興味を持っていただいた事に嬉しさを感じました。私も会場でたくさんの方々とお話ができてとても勉強になりました。また機会を見つけてイベントに参加させていただきますので、建築家に興味をもたれた方はぜひお越し下さい。みなさまが家作りを楽しめますように心より願っています。        

 山本亜耕

2010年11月12日金曜日

菊水の家 最終的なQ値

みなさま、寒くなってきましたね~。インフルエンザが流行の兆しとか、風邪など引いていませんか?私といえば、菊水と南あいの里の現場が最後の追い込みに入り、幸せな忙しさのなかで毎日を過ごしています。
北海道が1988年より推奨してきた北方型住宅仕様を遵守しそのルールの中で最高性能を目指す南あいの里に対して、そのルールを下敷きにしながらも独自の仕様も加味して高みを狙う菊水。両者は似ているようでいて実は設計のコンセプトが異なります。
南あいの里では、今年度の北方型ECO+のルールに則り、Q値計算上禁止された機械換気ではなくパッシブ換気(自然換気)を前提にQ値の算定を行っています。安易に熱交換換気の性能に頼って断熱を軽視することを防ぐための措置ですが、反対にしっかり断熱をした建物に熱交換換気装置をつけたならば、今の北海道の標準技術でQ値がどのくらいになるのかも大いに興味があるところだと思いませんか?菊水の家はそうした問いに答えるために1種熱交換換気システムを装備しています。さらに、空気熱源のヒートポンプを用いた暖房、給湯を用いることで低燃費を狙い、オール電化の泣き所である電力生産時の一次エネルギーの削減にも取り組んでいます。設備的にはたいへん今風であえて言うならば、太陽光がないくらいでしょうか?(笑い)
しかし今までブログをお読みの方は既にお分かりだと思いますが、こうした設備は優先順位としては二番目であることをぜひ上の表から感じてほしいものです。この表は現在建設中の菊水の家の最終的な断熱仕様をもとにQ値の算出をした資料の一部です。もちろん作成者はDr.タギ氏、実に分かりやすくまとめていただいています。それによればQ値は0.7W/㎡k、家全体で必用とされる暖房設備の大きさは2kw少々。みなさんが毎朝お使いのドライヤーは1本約1kwですから、2本分で家全体の暖房がまかなえることになります。従って室内に置く発熱体はたいへん小さくできます。
断熱に軸足を置いて室内の快適性をデザインすることは、けして暖房設備を否定するものではありません。一般にライフサイクルの短い機械暖房設備に掛かる負担を抑え、適切な大きさにすることでコストを抑えさらに燃費も改善します。換気設備も同様に複数のメリットが考えられます。私たちが取り組む省エネやCO2の削減には今後たいへんな努力が必要ですが、全て革新的な技術開発に任せるのではなく、自らの意識を変えることでずいぶんと楽になることをぜひ知っていただけたら幸いです。寒さを理由に始まった北海道の断熱が実はたくさんの長所と価値を備えた賢い暮らしの知恵として地域に根付き、育つことを願っています。1軒また1軒と設計し建てることでこのテーマにたくさんの仲間たちとのコラボレーションを通して挑戦し続けたいと思います。


2010年11月10日水曜日

南あいの里の家 気密+断熱


現在、チーム南あいの里は気密試験の成功の余波で活気付きながら、内装下地のボード貼りが進行中です。丁寧に丁寧に漏気部分をつぶしていった結果、気密性能は0.1cm2/m2にまで到達しました。このブログをお読みの皆さんの中には私のご同業の方々も多いと存じます。「なにもそこまで気密にこだわる必要はないでしょ?北方型ECO+の基準だって1cm2/m2以下じゃないの、それで高気密住宅としては十分なのだからオーバースペックを喜んだってあまり意味が無いんじゃないの?」もちろんご説ごもっともです。しかし1cm2/m2の気密住宅はどんな条件でも1cm2/m2の性能ではありません。街の周りに空地が多く、冬期の季節風も強く吹き付ける現在の敷地の条件下では気密性能は簡単に低下してしまいます。風の強い地域では、その影響により建物の漏気量は飛躍的に増えますから風の強い地域ほど気密性能に安全側のマージンが必要となるのです。もう一つの理由は、北海道の住宅に必用とされる断熱の水準が300mmであると考えている点です。この世界になると、体温や日射、調理や入浴の際にでる生活排熱さえ室内を暖房する大切な熱源として無視できなくなります。驚くべきことに昨年竣功した銭函の家では、冬の夜に子供の友人が遊びに来ると室温が上がりそれを家族が体感できるほどです。照明をつけても室内の気温が緩やかに上がるのがわかります。室内の気温変化はさらにゆっくりと穏やかになります。普段はほとんど気付かない熱が支配的になる環境においては、前述の漏気量もずっとデリケートに扱う必要が生じるのです。
測定シートを見て、ほ~っと目を細める人はかなりのマニアですね~。外気温が6℃に満たない条件下で室温が約15℃、既に断熱気密的には完成した状態ですから建物の性能を体感することができます。

ASJイベントに参加します。

11月13(土)、14(日)ASJさんのイベントに参加させていただきます。
当日は私の他にも、北海道で活躍中の建築家が多数参加いたしますのでみなさんぜひモエレ沼公園に遊びに来てください。

詳細は http://www.asj-net.com/event/data.php?eventid=94-10

2010年11月9日火曜日

菊水の家 充填断熱工事


外貼り断熱工事が終了し、今度は室内側からGW(グラスウール)を充填してゆきます。このとき大切なのはグラスウールと、防湿ポリフィルムの間に極力空隙を作らないこと。丁寧に丁寧に充填してゆきます。

こうした空隙は、手直しが必要です。充填断熱の監理は少し神経質すぎるくらいにやります。品質第一、こうした部分の積み重ねが普及型の300mm断熱プロジェクトを支えています。

がんばれ!チーム菊水のみんな。 南あいの里は強敵だぜ~っ!

菊水の家の開口部の設計を担当する㈱エンヴェロッブさんがチョイスしたのは既製品と特寸サッシを上手に組み合わせた方法論。こうすることで性能とコストを高い位置でバランスさせられます。

菊水の家は既成の木製サッシを上手に用いて普及型300mm断熱仕様としての高い費用対効果を狙います。写真はスウェーデン製のトリプルガラスのサッシですがガラス同士をつないでいるグレーの部分に注目。以前はこの部分にアルミを用いていましたが、新製品は熱伝導率の低い樹脂に変更されています。これによりガラスの四周面からの熱がずっと逃げづらくなります。ペアのLOW-Eアルゴンのガラスと比べると手で触っても明らかに表面温度が違います。北海道の建築をさらに進化させるためには、このように高い性能を有する開口部を地場で作ることが必要です。そのためにはいつもこのブログで訴えているように、ユーザーの皆さんが正しく断熱の意味を理解して、窓に対する意識の高い建築主になってほしいと思います。みなさんのニーズが素晴らしい地場産品を育てることをけして忘れないでいたただけたら、こんなに嬉しいことはありません。
トリプル断熱サッシ ガデリウスエリートフェンスター HP http://www.gadelius.com/

こちらは北海道製の㈱エンヴェロープのトリプルガラス仕様。菊水の家では規格品をメインに使いますが、特寸が必要なものは、断熱仕様を揃えて旭川の工場で生産しています。設計チームに開口部のスペシャリストを加えることで、建物全体の設計の自由度が飛躍的に向上します。性能とコストを両立させるアイディアの多彩さにはいつも脱帽です。担当者のMr.平井氏は北海道屈指の窓のスペシャリスト。勤め人時代から弊社の無理難題を解決してくれた仲間の一人でもあります。2004年の宮の沢の家や星置の家のカーテンウォールも同氏の仕事です。

直接ガラスを柱に貼り付けシャープに簡単にガラスの大壁面を作っていただいた星置の家2005

ビルのカーテンウオールよろしくガラスのつなぎ目に大きな部材を用いない納まり。
宮の沢の家2004

木造だからと言って柱と柱の間に小さく窓を作る必要はありません。柱の外側に大きなガラスを貼り付け壁面全体をガラスにすることも可能です。 グループホーム夏桜2005                           


2010年11月5日金曜日

エコシラ合板

本日も現場めぐりと、細部の打ち合わせで一日が過ぎてゆきます。決めねばならぬことはたくさんありますが、今の時間帯で大切なことは可能性をぎりぎりまで追求しながら優先順位を誤らないことです。納期や製作限界、価格といったある意味支配的な要因といかにうまく付き合い質の高いデザインにできるか否か?設計者にとっては力量が問われる時期でもあります。今回はドアの枠やルーバー、すのこ板、階段に手摺、上がり框にカウンター等々インテリアのあちこちにエコシラ合板(いままでほとんどパルプ材にしか使われなかった道内産の白樺から作った美しい積層合板。オイルで素人でも簡単に塗装仕上げができて、特にその断面の縞模様が美しい。)を使います。近年ではこうした部分はほとんどがナラやニレの集成材で作るのことが多いのですが、南あいの里ではこの美しい材料をどうやって料理するか?を地場の生産者である滝澤ベニヤさんと建具屋さん、武田建設さんと話し合いながら進めます。
滝澤ベニアHP http://www.takizawaveneer.co.jp/

3本引きの建具の鴨居と引き違いの押入れの鴨居。下に見えるのがタモの無垢板。木口側が欠点(あくまで美的な)とならないために、かなり大胆にデザインできる。

拡大した木口部分。材長方向と木口方向がまったく同じ断面模様となるために、これまで必ず必要だった木口処理(隠し)が本質的に必要ない。

建具の枠ばかりではなく、カウンター断面や扉の引き手部分等々色々と使い道を考えると楽しくてアイディアが尽きない。食材の影響か、北海道というとどうしても素材勝負的な印象が強いけれどこうしたエンジニアリングウッドも繊細で美しいと思いませんか?なによりいままでほとんど廃棄物程度にしか思われなかった白樺の新たな価値を私たちに再認識させてはくれないだろうか?このブログの目的は、建築の素人のみなさんにものづくりの面白さや社会とのつながりに少しだけ関心を向けてもらうことだけれど、その一環として素敵な地場の材料を発見し紹介し実際に現場で使ってみる精神を大切にしたいと思います。ブログをお読みの同業のみなさんは私なんかよりずっと上手にデザインしてほしいし、これからマイホームをお考えの方なら、ぜひこうした地元の材料のファンになって応援してほしいと思います。「予算は厳しいけど、人と同じはやだな~。」このせりふは、ユーザーの皆さんにしか言えない。(笑い)みなさんが難しい要望をすることで、私たち作り手側は工夫する頭を維持できるのだから。ものの分かる良いお客がいる地域の作り手は、ほんとうに幸せなのだと思います。ちなみにエコシラ合板のペーパーウッドは2010年グッドデザイン賞を受賞しています。

中:24mmの材料を4層重ね合わせ、太鼓面を取ったカウンター断面。

キッチンの扉も斜め木口+ライン引き手で美しい収まり。

2010年11月4日木曜日

南あいの里の家 内装下地工事

南あいの里の家も終盤に差し掛かりました。あと一ケ月を切って現場にも緊張感が高まります。今までが地道な下地作りだとすればこれからの3週間で、表層的な仕上げ工程を行います。ここでいう表層的とはうわべのとか上っ面の、といった薄っぺらな意味とは違います。このブログでも訴えてきたように、目に見える部分も見えない部分も双方が支えあって成り立つのが建築の価値です。表層のみの建物も悲しいですし、性能だけでも味気ないものです。そうはいっても道具としての合理を備えた美しさはなかなかに難しいものですね。まあ仲間たちと頑張ります。(笑)

この工程で下地の最終確認と、スリーブ類や貫通部分の気密化の写真を撮ってゆきます。
写真は、東の妻側に出る管類の配置レイアウトです。三角屋根の頂点をはさんで左右対称にレイアウトしています。上段からパッシブ換気の排気管150Φ×2、中段:24h換気用パイプファン150Φ×2、下段がレンジフード150Φで吸気および排気となります。
ちなみにチーム南あいの里の施工部門担当である、武田社長(丸稲武田建設)は前回の気密測定の結果が今一不服だったようで、昨日独自にDr.タギ氏を呼んで再度気密試験を行ったそうです。
結果はC値:0.1cm2/m2台でこれ以上計測不能。北方型住宅ECO+の基準が1cm2/m2ですから10倍の性能を達成したことになります。コーキングとテープによる地道な作業の連続で、約半年に及ぶ冬季間、室内に発生する湿度を壁に入れない北海道仕様の壁構造が完成します。こんなことを書くと、「いや室内の湿気はむしろ壁の中に逃がしたほうがよい、密閉するのはよくないから。」とお思いの方もいると存じます。確かに気密などというとえらく息苦しい感じは否めませんね~(笑い)。しかしこの大切な気密をしないで断熱だけするとどうなるかはぜひ私の過去のブログをご覧ください。西岡の家解体工事 http://ako-re.blogspot.com/2009/08/blog-post_29.html
むしろ北海道の家で気密化が欠かせないのは、自動車の室内にたとえて考えていただくとよいと思います。オープンカーで走行中にヒーターやクーラーを付けても外気の影響が強すぎてほとんど効果を得られません。反対に窓を閉めておけば本当に小さな目盛りでも俄然、冷暖房の効き目が増すのを体感できるでしょう。暖房や冷房が必要な地域ではその地域に応じた気密と断熱の方法を設計者は見つけねばなりません。

コンセントやスイッチは気密フィルムの内側で配線し原則フィルムを破ることはありません。

温水配管の床貫通部分の気密化の様子です。

レンジフードの貫通部分です。北海道の高気密住宅では排気した分だけ給気も同時に行うタイプをお勧めいたします。特に室内で薪ストーブやペレットストーブを使う場合は、室内の気圧が急激に下がることで事故につながることもありますので十分な注意が必要です。レンジフードを使うとストーブの煙が逆流する。炎が消える、玄関ドアが重たくて開かない。といったことにならないように空気の流れも上手に設計すべきだと思います。

温冷水管の壁貫通部分です。

天窓から、もうすぐ上棟する隣の現場が見えます。そっちも頑張れよ~。