本日の「福井の家」の現場は朝から雪。福井地区は地域的に雪の多い西区の中でも山側ですから、私の住む発寒地域に比べると積雪は多い。
何とか本格的な積雪の前に足場を解体すべく、大工さんたちが頑張ってくれたおかげで外壁の押縁まで完了。後は窓周りのシーリングや太陽光パネルの設置を待つばかりです。
外壁の押縁がきれいに施工されています。
こちらは24h換気の排気口。上にちらりと見える四角い方がパッシブ換気の排気口。用途的には同じ計画換気の排気口ですが、24hは機械による換気(3種換気)、パッシブ換気は断熱建物の特性を利用した自然換気となります。
ちなみに日本の法律では計画換気は機械動力を用いたものに限るという決まりがあるので、全国どの住宅現場でも1種~3種の内どれかは機械換気がついています。
なので・・わざわざパッシブ換気まで付ける必要はありません。じゃあなぜ??
理由は簡単で機械換気に対して圧倒的に優れた点があるからです。その一つが何といってもその静粛性。最近のモーターはかなり静かになりましたが、300mm断熱の室内で使うとその小さな音が気になる。高い気密性と超断熱化によって外の音は入ってこない。反面、室内の音は気になるようになります。
仮住まいのころは、エアコンが回っていてもお風呂やWCの換気扇が動きっぱなしでも全然音なんて気にならなかった人が、なぜか300mm断熱の家に越した途端、その静けさに驚く・・
モーターの駆動音がしないパッシブ換気は室内に、住まい手がこれまで経験したことのない静けさを簡単に実現可能というわけなんです。
もう一つの長所が壊れないこと・・どんな機械換気でもいつかは必ず壊れる。永遠に動くモーターや機械はありません。それに対してパッシブ換気は高断熱建物特有の優れた煙突効果がその動力。要は穴が詰まらない限り換気が止まることはありません。
でもね・・せっかくエネルギー(お金)を使って温めた室内の空気をそのまま外にどんどん捨てるなんて勿体ない。そんな風に考える人も多いと思う。要は北国の暖かな室内を満たす空気っていうのはお金が溶けてるのと同じことなんだから。
そこで室内側には湿度に応じて開閉するグリルを取り付けて、不在時(室内空気が乾燥時)は換気量を絞り(省エネ)、反対に在宅時(室内空気の湿度上昇)は換気量を増加させるデマンド制御を組み合わせてある。これにより通常の一種換気と省エネ性は変わらない。
その一方でパッシブ換気の設計には難しさもある。平地のように冬の風向きが一定の地域であればその方向(風下側)に排気口を設けるだけでよい。しかし「福井の家」の敷地は北と西から山が迫る傾斜地。つまりは谷あいに位置している。
その結果、冬場の風向きはかなり複雑で、けして一定ではない。場合によっては排気口から冷気の逆流も想定せざるを得ない。そこで仮に逆流してもストーブの上に冷気が落ちるようにパッシブ換気の排気口の位置を工夫してある。
小屋根の上の雪も原則落ちないように樹脂製の雪止めを取り付ける。
庇の下の水平連続窓の様子
こちらは、屋根に積もった積雪。本格的な降雪期に入ると屋根の上の積雪は軽く1mを超える福井地区。屋根の積雪荷重は概ね15~20tにも及びます。
冬場は正面に見える西側の山から降ろす風が多いが敷地周辺はかなり風向きが変わる難しいロケーション。
冬ですよね~