2019年4月24日水曜日

桂岡の家 解体工事

 
 
建物周囲に足場が掛かり、解体工事に着手した「桂岡の家」。
 
「祖父が建てた築50年の家を暖かく断熱改修して大切に住み継ぎたい」住まい手のSさん夫妻にそんなご相談をいただいたのが1年前。はじめて現地にお伺いしたのが4/22で偶然にもそのちょうど1年後の4/22に着工と相成りました。なんだかとても不思議な感じです。
 
まずは新築にはない解体工事から。お茶を買って現場へ・・・そこで10年ぶりにお会いしたのがS棟梁とK棟梁。想えば10年前に同じ小樽の見晴町で「銭函の家」を担当していただいたお二人でした。
 
2009年の「銭函の家」こそ今に続く300mm断熱の第一号なのですからお二人はまさに私にとって恩人そのもの。S社長のキャスティングも中々粋ですね。(笑)
 
前置きが長くなりましたが、「桂岡の家」をご担当いただくのは㈱丸三ホクシン建設さん。冒頭でもお話しした通り、出会いは早10年前、当時の「銭函の家」の元請、㈱橋本川島コーポレーションさんの大工工事でお会いしたのが最初。続いて北海道R住宅による性能向上リフォームで「西岡の家」をご担当いただき、この時に教わった外張り断熱に関わる様々なノウハウは今も大切に使わせていただいています。
 
丸三ホクシン建設HP https://www.hokushin-k.jp/
 
 

 
こちらは50年前のグラスウール。厚みは50mmで密度は10kg/m3程度。当時は中々高価でアパートのような安普請には断熱なしが当たり前の時代。繊維は荒く不注意に触ると手がチクチクして痛い。比較的汚れていないのは断熱材として効いていなかった証拠。
 
北海道には様々な時代の断熱建物がありますがそれを解体し検証することは貴重な体験。まさにタイムカプセルを空けるのと同じ。当時の人の関心がどこにあったのか?それが正しいものだったのか否か?50年ぶりに謎が今解けるのですから・・・
 

中でも特に大切なのは水が回っているところを確認すること。この水が雨水なのか?壁内結露なのか?それを明らかにしてから相応しい対策を講じます。

北側壁面のモルタルは痛みが少なく充分再利用が可能。第一解体するのももったいない。なので地場産の改修ノウハウを用いて、このまま固定を強め耐力壁(筋交い)として再利用したいと思います。
 
住宅の性能向上リフォームマニュアル http://www.hro.or.jp/list/building/koho/pdf/gijutu/taishindannetu.pdf

外廻りの装飾は今では中々手に入らないラワン材の幅広&長物。鼻隠しの銅板はぜんぜん傷んでいない。むしろ緑青(ろくしょう)が味わいさえ感じさせます。

小樽市の中でも山側で比較的海から遠い桂岡地区でもやはり海沿いの鉄は弱い。こうなるとさすがに直すことは困難です。
 
今日は春めいた暖かな日・・貴重な挑戦の機会をいただいた住まい手のSさんご夫妻に大好きなStuffを贈ります。