2020年8月31日月曜日

宮の森の家Ⅱ 食卓製作工事

今日は「宮の森の家Ⅱ」の食卓を作りに現場に来ました。

っと言っても天板はいつもお世話になっている「店舗什器製作所」さんで既に加工済み。事前に現場に届いていたので、これに脚を取り付け塗装をします。 

店舗什器製作所HP http://tenpo-kagu.jp/

私・・設計事務所なのですが当然ながら簡単な大工工事も好きでございまして・・ちょっとしたものならお作りする場合もございます。

今回もクリナップさんのキッチンセットに合わせて、極力手軽にシンプルにとご依頼されました。

上の写真は作業前の風景、家具の組み立ては美装の終わった室内で行うことが多いので当然床や壁を傷つけないように養生が欠かせません。ですのでこんな風に工具も毛布の上に・・

必要なものを全てセットし電動ドライバーの予備電池を充電器へ・・さて準備完了! 
まずは、足の裏に床を傷つけぬようにフェルトを貼ります。これはとても大切!このフェルトの有無で床の傷みが全然違います。

特に体重を掛ける椅子やテーブルの脚には必須です。 
こんな感じで脚1本当たり4本のビスで固定します。力任せにいきなりビスを打つのではなくて丁寧にドリルで下穴を開けてから、ビスを8分目まで打ち込み、脚のガタが出ないように本締めします。 
こんな感じで、後々+ドライバーでも、10mmスパナでも脚を取り外せるようにビスを選びます。+ビスだけだと上手にやらないと+溝をナマシ易いので最近はこのタイプのビスを使っています。

下穴を開けてからビス打ちしたので傾くことなくきれいに打てました。 
テーブルは重たいので裏を持って動かします。そこでこんな風に軽く汚れ止めの塗装をします。こうしたひと手間で天板の裏に手垢が付きにくくなります。 
今度はオービタルサンダー(電動研磨機)に紙やすりを付けて、木目方向に丁寧に天板を研ぎます。強く押し付けないで一定の速度で木目に沿って塗装前の表面を滑らかにします。 
WAXはスウェーデン製のBONA。木部の仕上げWAXは今まで色々と使ってきましたが、乾きが早く赤味の強い樺の木目が映えるBONAは最高です。

全面に薄く塗って拭き取り、乾いてから再度サンドペーパーで研ぎ二回目のWAX塗布そして拭き取りしました。WAXは重ね塗りをすると深みが増して最高の仕上がりに、後は住まい手さんにお任せです。

余談ですが、窓枠や建具枠、階段や手摺・・基本的に室内の木造作部分は全てこのBONAで仕上げています。以前は家具屋さん、建具屋さん、建築一般とそれぞれの工種に塗料の選択は任せていましたが、お客さんが自分で補修する際に複数の塗料が必要な事、正しい選択ができるかどうか分からないことから、今では基本的に全てBONAに統一しています。 

こんな感じで出来上がりました。キッチンセットの強めの赤味とピッタリ。普段からキッチンを製作していただくクリナップ直需事業部さんや今回のテーブルを加工していただいた店舗什器製作所さんにしっかり木色の好みを伝えておくことは大切です。 
木目もしっかりWAXで浮き出てきれい。角が痛くないようにテーブルの4辺は全て優しい太鼓面が取られています。 
拡大写真がこんな感じです。

今日は最近はまっているアバロンジャズバンドで!


2020年8月28日金曜日

南円山の家 A型トラス完了!

A型トラスが掛かった「南円山の家」です。空は快晴・・でも今年は本当にヒドイ暑さです。夜まで中々気温が下がりません。そんな中、飛栄建設の宇野棟梁を中心に見事にトラスを組み立てていただきました。

この場をお借りして御礼申し上げます。みなさんごくろうさま!
ところで、北海道って日本の中で最初に西洋化された地域。そんな痕跡は私たちの身の周りのあちこちに見られます。

上の写真はアルテピアッツア美唄。元は木造の小学校でした。 
室内から見上げた小屋組みがまさに洋小屋(トラス)。教室の真ん中に柱を立てることなく、両側の壁に力を流せるトラスは当時盛んに使われました。

さらに身近なところでは、札幌時計台、小樽の石倉倉庫なんかも木造トラスです。

そんな理由でちいさな「南円山の家」にもちょっと洋風な北海道らしさを加えたいと考えました。

こちらはトラスの水平材と斜材の接合部分です。専用の金物を特注すると・・かなり費用対効果がよろしくないので、ホールダウン金物(柱の引き抜き防止金物)とアンカーを組み合わせて代用しました。

一般の現場でもよく使う金物ですから丈夫で安価。もちろん引っ張り強度は試験済みです。その金物を飛栄建設さんのところで黒く塗装して使っています。

足場の上は40℃以上・・大工さんたちには本当に頭が下がります。

こんな風にトラスと一緒に黒く塗った金物が空間にリズムを刻みます。

地元の赤いカラマツ材で作ったトラスに黒い金物が似合います。

今日はアバロン ジャズ バンドなんていかが


2020年8月25日火曜日

南円山の家 A型トラス




ちいさな三角屋根、「南円山の家」の建て方が始まり本日は小屋組みのトラス工事に到達しました。

わずか二間半間口の「南円山の家」。二階は無柱空間とするために小屋組みはシンプルなA型トラスとしてデザインしました。

北海道にはアメリカ経由で洋風建築がもたらされましたが、トラスを用いた小屋組みもその一つです。巨大なものだと小樽などに多い軟石の倉庫の小屋組み。

懐かしい所では木造小学校の体育館の屋根なんかに使われました。

二間半の可愛らしいトラスなので大工さん三人で見る見る組み立てて行きます。仕上げは既成品の建築金物で水平材と斜材を締め上げてトラスを緊張させます。

こんな感じで見る見るキングポスト付のA型トラスで屋根が掛かって行きます。私も水平材が落ちないように少しだけ下からお手伝いさせていただきました。

実はこのトラス、プレカットです。私が図面を描き、構造計算をお願いし、身近に手に入る簡単な構造金物でトラスを組み立てられるように考えました。加工は三津橋産業さんです。

構造計算のお世話になったのは北海道大学名誉教授の平井先生。木構造の大家で北海道建築技術協会の大先輩です。色々と細かな制限の中でご相談に乗っていただきました。この場をお借りして一言御礼申し上げます。

今日はダフトパンク・・オケver.で




2020年8月12日水曜日

南円山の家 基礎工事

基礎の立ち上がり部分の型枠を組み立て中の「南円山の家」です。

敷地は一杯一杯なので、材料を敷地の奥に運ぶのも計画的に行わないと中々上手く行きません。この後はお盆明けから建て方開始ですがその際も計画的に段取り良く進めたいと思います。 
「南円山の家」の基礎断熱はいつものEPSではなく5割程度、高性能なXPS。通常はEPSで160mmの断熱厚さですが、今回は240mm相当の性能をXPS120mmで実現します。

こんな感じで100mmのXPSに20mmを工場で増し張りしています。

基礎の周りにぐるりと足場が建つとほぼほぼ敷地一杯になります。お盆明けには飛栄建設さんと作戦会議の予定。引き続き頑張ります。

暑いですよね~JAZZでも聞いて図面を描こうと思います。


2020年8月9日日曜日

今日は休日


今日は畑のトマトが真っ赤に実ったので朝から収穫をしました。
写真は毎年植えている中玉トマト。

今年は追肥を工夫したのでとても甘くおいしいトマトができました。(笑)そのまま食べてよし、煮てトマトソースを作るも良しなのですが・・・今日はオーブンでドライトマトを作ろうと思います。
こんな風に天板にクッキングペーパーを敷いて、横二つ切りにしたトマトを弱火でじっくり二時間くらい。

途中の半生状態のものも甘くて美味しいのでオリーブ油漬けに。残りは冷凍して長期保存用にしようかな。
さて・・完成まで先も長いし・・今日はせっかくのお休みなので・・お先に楽しませていただきます。(笑)

今日はイタリアっぽい曲がいいですよね~(笑)




2020年8月8日土曜日

宮の森の家Ⅱ 内装工事

「宮の森の家Ⅱ」は内装がほぼ完了しました。曇りガラスを通して光が拡散する感じはとてもきれいです。

屋根の木組みと合わせて家がきれいに見える場所です。

クリナップ直需事業部さんによりキッチンが取り付けられました。今回のキッチンのポイントは客席側には柔らかな表情のエコシラ合板、作業スペース側は白のメラミン化粧板と貼り分けたところ。 

ベーシックなデザインながら白の壁の中に柔らかな木肌が色を添える内装となります。
大きな吹き抜けを家の中央に持つところは「西野まちなかの家」に似ています。

こちらは吹き抜けに面した畳コーナーです。

今日はボサノバでも聞きながら仕事しましょう(笑)




2020年8月4日火曜日

常盤の家 竣工お引渡し


8/1(土)は「常盤の家」のお引渡しと取説でした。

想えば・・「南幌まちなかの家」を気に入っていただいてご契約いただいた若き住まい手さん。必ず小さな息子さんと3人でお打ち合わせにお越しになって、たくさんお話しをしました。

最近は若い建て主さんの住宅を任せていただくことが増えました。みなさんある意味凄く建築のことを理解していてセンスの良い人が増えたなあと感じます。

外壁の板張りも圧倒的に30代~40代の建て主さんに人気。意外にも違いの判るはずの50代以上がサイディングだったりいわゆるツルツルピカピカのきれいな仕上げを好む傾向があります。経年でシルバーグレーに変化する木の外壁をカッコイイ、美しいと言う感性の豊かさは、、地域に生きる建築家としてとても嬉しく感じています。

「常盤の家」の外壁もどんな色合いを見せてくれるのかとても楽しみです。

簡素である意味そっけなくさえ感じる外観に対して、室内は北海道の美しい建材をたくさん使いました。

顕わしの柱や梁、垂木や合板は道産のカラマツ材を 使ったもの。赤味の強い暖かな木肌が柔らかな電球色の照明に映えるように考えました。

写真は階段の折り返し地点に当たる踊り場を跳ね出して親子の読書コーナーを作ったところ。ちょっぴり床の高さを変えることで、小さな家の中に面白い居場所を作ろうと思いました。 
室内から見ると外は丸見えなのに、外から見ると家の中が見え難い縦格子も今回は少し広めの間隔で使いました。

大きな窓は見学会の時こそ大好評ですが、引っ越しが終わり生活が始まると十中八九はレースのカーテンで閉ざされて外の景色も光も楽しめない、内向的で詰まらないものに堕ちてしまいます。

理由をよくよく聞けば・・通りを歩く人と目線が合うのが気になる、室内を覗かれる気がして落ち着かない等々・・がほとんど、そんな理由で街中や建て込んだ市街地では縦格子を使うことが増えました。

窓辺の薪ストーブ、ソファとダイニングセットの入ったLDKです。壁の羽目板は美しい正目のモミの木、床は新築臭の苦手な建て主のために工場塗装の白樺材フロアとしました。

ソファはもう10年来のお付き合いのbloccoさん(旧:沼田椅子製作所)、ダイニングテーブルと椅子は旭川家具の老舗、匠工芸さんです。

日本を代表する木といえば何と言っても杉ですが、杉のほとんど生えない北海道ならではの、松材と広葉樹のインテリアをいつも意識しています。

カラマツの尺梁(梁の高さが1尺:30cm以上あるもの)を半間(約90cm)ごとに登り梁として掛け、ハシゴ状に根太を落とし込んで合板を貼りその外側にグラスウール(以降:GW)で35cm断熱をしました。

居間は二階ですが屋根に太陽が当たっても中々暑くなり難く、南北に通風用の窓があるので夏でも風を通したり、夜間はナイトパージ(夜間外気冷房)も使えます。

こちらは、最近話題のテレワークスペースにも使える家庭事務コーナー。🍙型のユニークな椅子はウッドペッカー/匠工芸。椅子の前半に座ると仕事用として、疲れて背にもたれると安楽椅子になる優れもの。座面と背は茶のレザー、耐久性が高くて一台あると本当にテレワークが楽しくなります。

窓はドレーキップ(内開き内倒し窓)高い防犯性をキープしながら写真のように窓開けしたまま外出できます。 
こちらはお母さんの動線に絡めた電子レンジ置き場と食品庫。足元にルンバも入ります。(笑)、大らかな一室空間のLDKはお馴染みの北海道スタイルですが、冷蔵庫や食品庫、電子レンジ等々・・・のようなちょっと隠したいところを上手に作ることがコツです。

一室空間だからってなんでも見えていいっていう訳じゃあありません。

上の写真から電子レンジと食品庫がどこにあるのかお判りでしょうか?ちなみに対面型キッチンのタイル壁(黒のスポットが二つついた壁)の裏には調理前に手の洗える多目的シンクがあります。 
こんな風に、LDK全体は大らかな一室空間であっても、隠すべきところはしっかり隠すことがすごく大切です。

ちなみにインターホンやボイラーのリモコン、24h換気のスイッチ、照明のスイッチ等もこんな風に見え難い、お母さん専用の動線に隠れるように配置しておきます。

こちらは玄関ドアを入ってすぐの土間玄関の様子。冬が長く靴もコート類も、雪の少ない地域に比べて軽く倍はある北海道。

毎日の出入りやお客さんを迎える玄関はスッキリ感と大容量の玄関収納を両立させねばなりません。ちなみに左に黒っぽく見える壁の裏側が天井までの大きな靴箱、正面奥の窓の前に掛けられたコート類がちらりと見える間取りとしました。

写真の右奥に見える入り口は冷温庫(物置)に続くもの。他の部屋へ続く動線を予感させることで狭く見える感じを除いています。 
こちらが振り返った玄関側の土間。左奥の背の高い扉が玄関ドア。白く塗った構造用合板が汚れを気にせず大らかな内装になるように考えました。子供の三輪車やお母さんの自転車も多少ハンドルが壁に当たってもぜんぜん気になりません。 
こちらはプライベートゾーンである脱衣所と絡めたオープンなトイレ。

すぐ隣が主寝室なので一人でおトイレを覚え始めた小さなお子さんがいてもお母さんは安心。もう寝室から離れた、おトイレまでお子さんに付き合わなくて済みます。(笑)個室ではないので、イタズラ盛りのインロック(ママ出られなーい/泣・・)も安心。

もう一つは高齢化対応、住まいは長く住むもの、40で建ててもローンが終わるころは75才・・・高齢化リフォームで必ず聞く高いニーズがトイレと寝室の近接化とバリアフリー(無段差)化・・・でも考えてみて下さい。

誰だって35年後どーなるかなんて分かりません。確かなのは歳は絶対に取るという事。じゃあ~トイレの一つを子育ての時も歳を取ってからも使い易いものにしておくことは大切だと思います。

ここまで読んで・・「ええ~っ山本さんに家を頼むとおトイレにドア付けてくれないの~??」と心配することなかれ・・ちゃんと従来型のこもれる一人になれるトイレも他の階にご用意しています。(笑)安心して下さい。

要はたかがトイレ・・されどトイレ・・意外にも個室型を使える時期はそんなに長くはないんだよね~という事を言いたかったのです。(笑) 
こちらは1階からの階段。パッシブ換気のためのスリットが見えます。半階上がって最初の読書コーナーにつながる感じです。

「常盤の家」の工事に携わったすべてのみなさんに心よりお礼を申し上げます。四カ月半、本当に献身的に素晴らしい仕事を納めてくれて感謝しています。

おかげさまで小さいながらも機能性に溢れた愛すべき住まいができました。みなさんの鍛えぬいた技と繊細な心配りのおかげで私たちは毎回仕事ができます。地域の素晴らしい素材や技をもっともっと地元の人に知ってもらえるように私もさらに精進したいと思います。

最後になりますが、私をはじめ多くの地域の作り手や生産者のために貴重な挑戦の機会をお与え頂いた建て主さまに心より感謝申し上げます。

大切なご自宅を誰に頼むかはまったくもって住まい手さんの自由です。多くの人がより資本の大きな有名メーカーに頼みたい気持ちも悔しいながらよく分かります。

その一方でチャンスを頂けなければ今までブログでご紹介してきたような物語は到底生まれることなどありませんでした。そんな大切な想い出の一つ一つを大切にして精進してまいります。素敵な時間をありがとうございます。  2020.08.04 山本亜耕

工 務 店:飛栄建設HP http://www.hiei.co.jp/
担当:松田卓也 棟梁:宇野伸二

オーダーキッチン:クリナップ直需事業部HP
担当:石川一人

製作家具:匠工芸HP https://takumikohgei.com/
担当:桑原 強


今日は素敵な建て主さまと現場のみんなのために一曲贈ります。