2014年8月7日木曜日

宮の森の家 GL設定

 
無事着工した「宮の森の家」の敷地です。写真はGLの設定をしているところ。一般的に敷地が水平な平坦地の場合、悩む必要はありませんが、傾斜地の場合はどこの高さを玄関前に設定するかで後々までの家の出入りのし易さが決まってしまいます。従来、日本の家は住い手の健常期を想定した間取りが多く、高齢化や二世帯の使用を前提にした設計を取り入れる意識自体が希薄でした。スクラップ&ビルドを当然のように受け入れて来たライフスタイルや不動産価値を建物に薄く土地に厚く配分する日本独自の価値観も建物寿命を本来の耐久性よりも遥かに短いものにしてきました。要は日本において住宅は二~三十年で建て替えることが当たり前であり、高齢化による身体機能の低下や売却や譲渡により第三者が新たな住まい手になるというケースは想定外とされてきたのです。30年もローンを払って同じ期間、自分しか住まない(住めない?)家を延々と作り続けることなど続くはずもなく、世帯数を住宅ストックが上回ってもなお新築を作り続けなければならないのは、一つには世代を超えて住み継ぐことができる、まともなストックが乏しいことも理由の一つです。たとえば当たり前のようにコンクリートで固定的に作る玄関ポーチをあえて造らない。後に発生するニーズを見越してあえて作り込まないのも意外に賢い選択です。そのためには変更が困難な地盤の高さを計画当初からしっかり読み込んでおくことが欠かせないのです。「宮の森の家」では車寄せよろしく、屋根の下にカーポートと玄関を設け雨や雪に当たらずに車の乗り降りを可能にしようと考えました。車の出入りを想定した高さならば後にスロープに改造しても勾配が急すぎることはありません。