自己紹介

自分の写真
札幌市, 北海道, Japan
はじめまして。 北海道、札幌市で設計事務所をしています。 暮らしに最も近いものづくり「建築設計」 地域色豊かで環境的、使いやすくて長持。 そんな暮らしのデザインが大好きです。 社会の悩みを建築デザインのテーマにすると面白い! そんなことを考えながら今日もスケッチしています。建築(暮らし)のお話しあれやこれ... どうぞお楽しみ下さい。

2012年8月3日金曜日

「発寒の家」着工に向けて



 いよいよ着工を迎える「発寒の家」。解体が終了し、後は重機の搬出を待つのみとなりました。想えば2011年3月に始まった計画。当初は大規模リフォームの予定でしたが、さまざまな変遷を経て新築建替えに落ち着きました。担当するのは、おなじみの㈱丸稲武田建設さん。武田社長と内野沢棟梁をはじめ「チーム発寒」全員の活躍が今から楽しみです。

■「発寒の家」とは? 計画編...について
 「コンパクトに暮らす都市型の省エネライフ」。一言で言うとこんな感じでしょうか?(笑)敷地は発寒の中でも、道幅が狭く建て込んだ地域に位置しています。敷地を接する隣家の窓は全てこちら側を向き、また用途地域上3階建ても可能なことから上階から覗き込まれることも考慮せねばなりません。唯一離れが取れるのは道路の位置する南側のみですから、東西と北側の三方に対して極力建物を閉じつつ、採光や換気通風、プライバシーの確保や使いやすい生活動線を考えねばなりません。方針がリフォームから新築にシフトする中で、直感的に浮かんだのが南側に大きく口を広げたラッパ状の形態でした。いつもそうなのですが、敷地に立つとなんとなく建物の形状が頭に浮かびます。間取りを考えながら敷地通いを繰り返す中で、変わらない形とどんどん変わってしまう形があって、最終的に生き残ったものを提案することが多いのです。また特に建替えの場合はクライアントさんが今までの暮らしの中で良いと思っていた事を新たな間取りでも極力引き継ぐようにしています。以前の家が南側の中二階の居間が明るく暖かで気持ちが良かったこと。反面、道路からの視線が気になって昼間からレースのカーテンが必用だったことから、新しい家では居間を二階に上げ、南側の壁面を100%ガラス貼りとし明るく開放的にしつつ、居間の前に設えたテラスの格子を工夫して外からの視線が気にならないようにしています。平面的には最近リクエストの多い大きな室内土間を備え、小さな家ながら二箇所の水廻り、主寝室の他に独立性の高い客間。さらに室内からも屋外からも使える物置、吹き抜けのある二階浴室やバスコートを兼用し星空を眺められるテラス、二階に居ながら下階のことが分かるスノコ床、もちろんキッチンは山本デザイン+クリナップ直需事業部特製となっています。(笑)
日当たりのよい南側の居間があった以前の家。

解体が終了し、現場は重機を運び出すばかり。

■発寒の家とは?性能編...について
 今年は、札幌市が定める「札幌版次世代住宅基準」の施行元年となります。国が推奨する次世代省エネ基準(99年基準)は少なくとも北海道においては、当初予想された程のエネルギーの削減に結びつきませんでした。むしろ家庭部門のエネルギー使用量は増加しCO2の排出量も90年を基準にすれば3割も増えてしまっています。そんな中、北欧の先進国並みの水準でつくられたのが「札幌版次世代住宅基準」です。当初私たち「チーム発寒」もトップランナーと呼ばれる札幌版の最高ランク、Q値0.5W/㎡kに挑戦予定でしたが、私の日頃の行いの悪さが影響し補助金の抽選に落選してしまい...(笑)まあ運は運、悔やんでも仕方がないので、補助金なしで二番目のハイレベルQ値0.7W/㎡kを目指すことに落ち着いた次第です。「なんだ~2番目か~」とご心配のあなた!まあそんなに残念がらずに、けして期待は裏切りませんから。(笑)まず「発寒の家」はライバルたちに比べて圧倒的に巨大な開口部を備えています。巾5m×高さ3.5mの開口部は「チーム発寒」の開口部担当である㈱エンヴェロップの指示により北イタリアの山中で生産され、先日道内に上陸しました。Q値を下げるためにライバルたちの多くが*注「壁の面積を最大に開口部の面積を最小に!」といった悩みを抱えざるを得ない中で開放度満点!を追求したいと思っています。また換気に関しては、熱交換換気とパッシブ換気の双方を備え、電源途絶時にも必要な換気が得られるようにしています。また断熱材は、まだ市販されていない新開発の超高性能タイプを投入し施工性や竣工後のデーター収集を予定しています。日射遮蔽はおなじみの外付けブラインド、低出力のペレットストーブやLEDによる照明、オールガスによる給湯、暖房等見所満載です。

*注:札幌市の基準を簡単に言えば、年間を通じた熱収支を黒字に維持することを目標にQ値を扱うというよりは、Q値そのものの低さを重視しているといえる。エネルギーの話をするときにお金の概念を用いると分かりやすいので引用すると、省エネは、「極力必用なエネルギー(貯金)が赤字にならぬように努力すること」となる。それでは貯金を維持するためにはどんな方法が有効だろう?もちろんひとつは「1:無駄使いを減らす。」となるだろう。要はこれがQ値の概念と考えてよい。Q値が低ければ低いほど熱が逃げにくい。すなわち「無駄使いが少ない。」となる。しかし貯金は無駄使いを少なくするだけで維持できるだろうか?どんなに見直しても必要なものは必用で、使った分はどこかで補わなくてはならない。当然ながら次に「2:合理的に補充できる。」という事柄が必要なのだ。しかし使った分の熱をそれ以上のコストをかけて補充したのでは省エネとは言えない。そこで無償のエネルギーである自然エネルギー。太陽熱の利用が欠かせないのだ。必用ならば太陽光を室内に取り入れ、溢れそうなときは即座に調節できる備え。(可変性の高い断熱開口部)が欠かせない。話をまとめると、省エネにとって望ましい設計思想とは、無駄使いを抑えつつ、合理的な収益を確保する。というように一見矛盾する事柄の両立といえるだろう。確かにQ値は省エネを語る上で大切な指標であることには違いないが、下げることにこだわるあまり、開口部を小さく絞りすぎると、豊かな太陽エネルギーが目の前にありながら、化石エネルギーで補うしか選択肢がなくなってしまう。実は、可変性を有する大きな窓にこだわるのはこんな理由からなのだ。特に先進国でありながら、電力の生産方法をまだ市民が自由に選択できない社会においてはなおさらである。

今日はTOTOなんていかがでしょう?