2025年6月6日金曜日

北海道新聞 「読み解く」6/4朝刊に掲載されました

北海道新聞6/4朝刊 読み解くに特集していただきました。

従来は主に暖房費削減の観点で語られることの多かった北海道の断熱。その一方で現在は国をあげて2050年を 目標に脱炭素化を目指すための有効な手段として全国的に見直されるようになりました。当事務所が2009年より取り組んでいる全棟300mm断熱化はもちろん、先日完成した南幌0カーボンヴィレッジの1棟目、「南幌の家ゼロ」も特集していただきました。


北海道新聞デジタルHP https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1161807/

想えば1998年に独立して設計事務所を始めたのですが当初の10年くらいは正直、取り組むべきテーマが今一つ判然としませんでした。

卒業後の就職が札幌以外だったこともあり、13年振りにUターンして故郷に戻ってはみたものの、目先の暮らしだけで精一杯・・そんな時に出会った建て主さんのお仕事が「銭函の家2009」。そこから全棟300mm断熱化の取り組みを本格的に始めました。

意外だったのは・・寒い家に不満を持っている人の多さ。そしてデザインに対する関心の高さでした。自分の悩みとは裏腹に、とっくに世間は年中住みやすく美しいデザインの家を求めていたのに、自分だけが性能を追求すべきか?はたまたデザインか?の二者択一で悩んでいたことに恥ずかしさを憶えました。

端的に言えば、見つけるべき設計の主題は昔から目の前にあり、健全で経済的に清々しく暮らしたい・・という欲求は人にとって普遍的なものです。たまたま寒い地域だから暖かさやそれを得るための経済性が注目されやすいだけであって、端から暖かい家ならよい?とかデザインを取ると暖かさは捨てざるを得ない?のような的外れな二元対比に意味はなかったのでした。

「桂岡の家Ⅱ2019」

現在では断熱の力を十分使いこなして北側の大きな窓からの風景を大切にしながら冬暖かくて、夏涼しい家を設計しています。冬に関していえば、たとえ南側の窓を絞っても十分な断熱を行えば、一般的な新築の暖房エネルギーを半減することは難しくなく、一日8時間程度の暖房稼働で家中どこでも18℃以下には下がらない家を作ることが可能です。

銭函の家2009
銭函の家の3階から眺めた冬の石狩湾です。

銭函の家2009
昔から、吹き抜けにすると寒くて仕方がないというイメージがよく語られますが、適切に断熱した建物においては全くの嘘です。

今日はIUなんていかがでしょう