本日から、什器の搬入が始まりました。壁に埋め込み据え付けるような大型家具を什器と称します。もちろん家具の一種ですが、こちらは作りのよさもさることながら据付、取り付けのテクニックも非常に大切なのです。今回のリビングセットもTV台とステレオプレーヤー、スピーカー、書棚、人形、自ら作る絵に、家族の写真も飾れるような、家の賑わいの中心みたいに作りたいなあ~と考えました。これだけたくさんのものを収納しまとめてディスプレイするわけですから、什器自信があまり自己主張するようなものはよくないのではないか?床のなら材のフロアと一体化して空間に十分な収納力を与えながら威圧感を軽減することを考えました。
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「あと2mm削ろう!下の脚をかんなで詰めてね~」弊社の家具をお願いすることが多い(有)店舗什器製作所のU専務の号令のもと繊細なフィッティング作業が続きます。私と同い年ながら必ず現場に来て取り付けを指揮します。けして部下任せにはしません。昔かたぎですがとても大切なことです。現場に通うこと。絵だけ描いて終わった気にならないこと。設計者にとっても大切なことです。
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工場長自らかんなで2mmを落とします。
原因は梁が水平ではなかったこと。レーザー水平器で高さを測ると両端で6mmも誤差があります。素直に家具を取り付けると、片方は天井にぴったり。しかしもう片方は6mm隙間が空いてしまいます。ほんとうは建物が悪いのに、納まりのテクニックを用いて熟練の什器屋さんは何事もなかったように納めてしまいます。さも自然に平和に納(おさ)まること。私たちの社会もそうですがその影には無数の小さなドラマがあることをブログをお読みの方にぜひ分かっていただきたいと思います。
一方そのころ、工房都市 旭川では、イスの製作が行なわれていました。㈱匠工芸の工場では弊社のオリジナルモデルであるダイニングチエアの部品切り出しが完了。これから組み立てに入ります。今回は、材料はナラ、座面には編みこんだ布テープを使う予定です。
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切り出された部品たち。白っぽいナラ材をオイルで拭きあげて仕上げます。
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金型で曲げられた腰板と一体の肘掛です。