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札幌市, 北海道, Japan
はじめまして。 北海道、札幌市で設計事務所をしています。 暮らしに最も近いものづくり「建築設計」 地域色豊かで環境的、使いやすくて長持。 そんな暮らしのデザインが大好きです。 社会の悩みを建築デザインのテーマにすると面白い! そんなことを考えながら今日もスケッチしています。建築(暮らし)のお話しあれやこれ... どうぞお楽しみ下さい。

2015年9月29日火曜日

平和の家 脱型工事

型枠を取り外した「平和の家」。基礎断熱の埋め戻し部分にはシロアリ避けの防蟻モルタルをベースまで塗り下げてあります。一般にシロアリの対策の必要性は低いと言われている北海道ですが今後の事を考えて極力、取り入れて行こうと考えています。
 
最近は一日の中で必ず雨が降るのでコンクリートの養生には悪くありません。一方、含水率は高まります。しかし完成が冬なのですぐに床下暖房を使うことになりますから湿ったコンクリートはどんどん乾燥します。90年代、基礎断熱が始まった頃は床下に熱源が無かったために(基礎断熱の初期は床断熱用の断熱被覆管を使ってお湯や暖房用温水を送っていたが、よくよく考えれば室内となった床下の管をもう一度断熱する必要などないと気付くまで少々時間を要した。)基礎断熱の床は特に1階が冷たく、「暖まるまでに1年程度掛かる。」とよく言われていました。 話は変わりますが、初夏の竣工現場の基礎断熱で床下がコンクリートの水分が原因でカビが発生し問題になったのは1995年くらい。最初は原因不明でしたが、程なく解決のヒントが見つかります。同じく5月に竣工した基礎断熱の現場でも床下に断熱配管を用いていない家はその後の被害が少なく、律儀に断熱配管を用いた家はカビの被害が拡大したのです。当初は安い通常配管を使った家が改善し、高価な断熱配管を使った家は改善が見られないことが不思議でした。しかし理由は意外にも簡単でした。

 
基礎断熱の仕様はEPSの160mm。ホールダウンとアンカーボルトもコンクリートのトロが飛んでいないかどうか確認しておきます。
 
断熱性のない通常配管は中にお湯が通ると管自体を暖め、結果的にその周囲の空間も暖めます。1階の各部屋に温水暖房機を付ける北海道の家ではこの暖房機にお湯を送る管は全て床下に配管しますからその管を断熱しなければ無意識の内に床下も暖めることになっていたのでした。一方、律儀に断熱配管を使うと熱は菅の外には洩れませんから、結果として床下は暖まらず冷たいままです。当然、湿ったコンクリートも乾燥しないのでカビの害が長引くことになったのでした。不思議なものでこうした経緯でカビる事もなく乾燥して暖かな床下空間ができるようになるとその後、積極的に使われ始めます。まあ当たり前といえば当たり前ですけど。(笑)

こちらは基礎の天端。基礎パッキンを用いて土台下を気密するので基礎には平滑性が求められます。今回はセルフレベラーモルタル。流動性の高いモルタルで水面のように均一になります。ここら辺は300mm断熱に取り組む各工務店の個性が出るところでもあります。
 
こんな風に熱や湿気の問題を解決し進化してきたのが北海道の基礎断熱です。今ではパッシブ換気の予熱空間やトランクルーム等々、従来の配管スペースばかりでなく、家にとって断熱された床下空間はなくてはならないものになりました。基礎断熱と床下暖房を効果的に組み合わせると従来の高価な床暖房は必要性が薄れます。その快適性や低温火傷に対する安全性、高いコストパフォーマンス、なにより費用対効果の高さは、床暖房という考え方を一時代前の色褪せたものに変えてしまいます。
 
今日はFoxesなんていかが

2015年9月26日土曜日

平和の家 基礎コンクリート打設2回目

昨日は、コンクリート打設のニ回目。アンカーボルトやホールダウン金物、土台の継ぎ手や断熱材のジョイント等々、慎重にチェックした後コンクリートを流し込みます。

3人一組でコンクリートは施工します。コンクリートを流し込む人、そのコンクリートをバイブレーターで型枠にしっかり詰める人、最後はコンクリート表面を均す人。三者の息を合わせて要領よく作業を進めます。

こんな風に鏝を使ってコンクリートの表面を均して行きます。後、コンクリート工事は1回、10月に入るといよいよ建て方です。

2015年9月24日木曜日

東光の家のコストデザイン

 
昨日は旭川近郊で美しく実りの季節を迎えた田園風景を横目に一日一杯お金のお話しでした。こんな事を書くと誤解されそうですけど、実は建築ってコストの設計(デザイン)が早い時期から欠かせません。見積もりっていうのは、言い換えれば「予算の設計図」で設計者の描く図面(建て主の要望)を具体的にどんな方法で作り、その結果いくら予算が掛かりそうなのかが詳細に書かれたものです。私はクライアントの代理人としてその予算計画書(見積もり)が妥当なものかを検証するとともに、性能や満足度を極力下げずに価格のみ下げるという技能を発揮せねばなりません。

 
建築の価格というのは研究すればするほど奥深いもので、同じものでも工務店によっては3倍も違うことがあります。その理由も実に様々で、経験のない工事の場合は積算担当者が工事を具体的にイメージできず結果として多すぎる数量を計上してしまう場合。建材店との力関係から他に安い商流の存在に気付きながらもほぼ仕入れの全数が一つの建材店に集中してしまう場合。普段扱わない材料の場合は建材店自体に仕入れ実績がなく、全くの新規取引(口座開設)となることを避けるために取引実績のある会社を複数経由させざるを得ない場合。立場上、安くできると言えない場合。はたまた工事を請け負う各工種に未経験の仕事を頼む場合。地域によって異なる商習慣や商常識の違い・・・etc たとえば札幌では同じ工事が¥○○が相場でも、旭川は違うとか、帯広はまたもっと違う、そんな絡まった価格の糸を根気強く丁寧にほぐしてゆきます。最終的には工務店の仕入れを見直して同じものが従来よりずっと安く仕入れられるようにお手伝いします。その上に設計変更を重ね合わせて費用対効果を最大化します。

 
例えば、コンクリートの単位価格が札幌より2000円も高く、おまけに凍結深度が20cmも深い旭川では、スカート断熱を用いて札幌と同価格になるまでコンクリート量と凍結深度を軽減します。同じように4回のコンクリートの打設が必要だった基礎の生産工程を2回の打設で終わるように基礎の設計自体を見直します。必要ならば他現場の担当者の意見も取り入れ、異なる視点から品質と価格を徹底的に研ぎ澄まして行きます。

 
そうして複数の現場協同で生み出した工法や価格調整法といった宝物は図面や資料といった形で保存して、次回の現場に備えてすぐさま実戦投入できるようにしておきます。こうした地道な作業を繰り返して1000万円以上あった価格差を埋めることも時に可能となります。



時にはクライアントさんの協力も凄く大切です。たとえばある建材が今回限りの特値の場合。売り手は納入先に価格を実績として残すことを嫌います。その価格はあくまで今回限りであり、次回から「またそれで」。とはいかないからです。そんな場合はクライアントさんとの直取引という形で特値価格をすっぽり見積もりから引いてしまいます。要は、建物完成後、銀行から融資が降りたらその時に現金でご決済下さい。という約束を売り手、買い手の間でしっかり結んでもらう代りに特値の建材を使えるようにするのです。 今までの300mm断熱の家はすべてこうした地道な工夫のもとに最適価格を原石から削り出すようにしてクライアントさんが買える価格まで調整しました。 

まあ~ここまで読んだ人は「山本さんの仕事ってかなり暗いっすね!」と感じたことと思いますがまあ~設計って絵だけじゃないってことで一つよろしくお願いいたします。(笑)
ちなみにお話しがあんまり脂っこかったんで、美しい美瑛の風景写真で中和ってことでお許しください。

今日はベビーメタルでギミチョコ!なんていかが?
https://www.youtube.com/watch?v=WIKqgE4BwAY


2015年9月22日火曜日

平和の家 基礎工事

基礎工事の始まった「平和の家」。まずはベースコンクリートを打設するための型枠が取り付いた状態。瑕疵保険会社の現場検査は既に完了しています。話は変わりますが最近、熱心に環境建築を志向する本州の作り手のみなさんともお話しする機会が増えてきました。その中で感じたのは基礎の作り方が随分違うという事です。北海道の場合は、コンクリートを1:ベース、2:立ち上がり(垂直部分)、3:スラブ(水平部分)の概ね3回に分けて施工しますが、本州の場合は1回~2回で終了するのが標準とのこと。こうしたコンクリートの扱いは効率がよくて北海道より進んでいる感じです。私も前から思っていたんですけど、北海道も基礎のコンクリートの打ち込み回数はもっと効率化するべきだと思っています。

こちらは基礎断熱に用いるEPS断熱材です。厚みは16cm、この厚みになるともちろん人力で曲げる事もちぎる事もできません。断熱材にたわまない充分な強度があるのでコンクリートの型枠は断熱材のない片側にしか必要なくなります。一方、北海道の基礎の特徴であるベースと立ち上がりを分けて打つ方法の弱点をこの時期にしっかりフォローしておくことが必要です。要は土中で打ち継ぎ部分から浸水せぬように基礎の周囲の水はけの確保や打ち継ぎ部分の防水対策等を打ち合わせてから垂直部分のコンクリートを流し込む事が肝心です。北海道では最近珍しくない基礎断熱工法ですが、床下を室内として意識することが大切です。室内なのですから、防水や換気、暖房や照明といった通常の部屋と同じことが求められます。当事務所では床下をパッシブ換気の予熱空間やトランクルームとして積極的に位置づけて使いますから前述のような設備も無駄にはなりません。基礎断熱は床下が湿けるとかカビが生えやすいという人が対症療法的な対策工事のコストを気にしますが、そもそも床下が家にとって欠かせない役割を担う空間ならそこに掛かるコストは仕方なく払わざるを得ない消極的(対策費的な?)なものではないはずです。むしろ必用な事柄だから払うという前向きなものに変わります。要は設計者が基礎断熱を選択した際、同時に手に入る「床下」という新たな空間に積極的な必然性や必要性を用意できるか?といった設計スキルやイマジネーションの豊かさが基礎断熱を生かしもするし殺しもするのです。「床下をなんに使うのか?」このアイディアに乏しいことが対策重視の原因である事に気付かないと、ずっと「対策」目線の堂々巡りから卒業できません。 床下を有効に使うことでもっともっと良いことがあるよね!というアイディアを大切にしたいものです。

2015年9月5日土曜日

平和の家 地鎮祭




 


本日は「平和の家」の地鎮祭。昨晩の豪雨が嘘のように晴れ上がり、式の後は近所のご挨拶も全員一緒に回りました。もうすぐ着工です。また建築を精一杯楽しみたいと思います。思えば300mm断熱もこのプロジェクトで18棟目。ずいぶん市民のみなさまに認知されてきたのは嬉しい限りです。担当するのは昨年「澄川の家」でおなじみの飛栄建設さん。

現場監督と棟梁が兄弟という「チーム平和」で12月の完成を目指します。

今日はショパン。山崎裕さんのピアノでいかが。
https://www.youtube.com/watch?v=fPuxaiRIwFg