2022年4月21日木曜日

追分の家 基礎工事その2

 

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4月14日から21日までの工程をダイジェストで解説します。北国の家の基礎にはすごく手間がかかることがよく分かると思います。

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こちらはセルフレベラーセメントという粘土の低い左官材料で水平を出す際に用います。土台の下がデコボコだと家が垂直になりませんし、隙間からは冷気が入り易くなります。そこでこのような特殊な材料を用いて丁寧に基礎の天端を水平に仕上げます。

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コンクリートが固まり型枠がはずされると左官屋さんの出番です。基礎の外側には柔らかい断熱材が貼ってありますからそれが傷んでしまわぬように丁寧にモルタルの下塗りを行います。
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強度を出し割れを最小限にするために写真のようなメッシュを伏せ込んで基礎の表面を丈夫に下塗りして行きます。こんな風に強い下地を早いうちに作ることで完成直前の仕上げ塗りがぐんと良くなります。
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家の基礎が4面共きれいに下塗りが終わりました。

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さて本日は昨日とどこが変わったでしょう?上の写真と比べて下さい。今日の大切な工程は暗渠管の敷設です。追分地区の地盤の特色は固い粘性土。水はけのあまり良くないところに対して対策工事を行います。建物のみならず敷地内の水位を下げ地盤を乾燥させることで、庭木や畑の出来もぐんと良くなります。また床下への浸水も建物を傷めますから今の内に行うのが最も安価で簡単です。
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暗渠管は樹脂製で細かな穴の開いた構造ここに水を集めて排水します。白い布は細かな土粒で穴が塞がらないようにするフィルターの役割です。

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こちらは家の排水管。WCやお風呂に洗面、調理等々これだけの排水が必要になります。垂直に立ちあがっているのは点検口。排水が詰まった際に利用します。

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昨日までの設備配管が埋め戻されてスカート断熱の工程に到達した4月21日。北海道にとって「断熱」は完成後の光熱費節約のみならず、今回の現場で言えば基礎コンクリート量の概ね3割を安全に削減する。廃土量やその運搬も同様に削減する。都市部に比べてどうしても割高になり易い地方の建築物価を抑える、工程に余裕を与える・・・そうした役割を担っています。写真のEPSは地元で生産されており最大厚500mmまで製作可能です。これらを用いてこうしたスカート断熱や基礎断熱、透湿系塗材を用いた無通気工法の外張り断熱や外断熱、悪性地盤に対する土壌置換工法等々幅広く使われています。生産者のみなさん、現場のみなさん、いつもありがとうございます。おかげで快調に工程を消化できます。今日もどうぞご安全に!

今日はB.Bキングなんていかがでしょ!

2022年4月13日水曜日

Ie(家)ZOOMチャンネル

 今日は最近何かと話題の家系youtubeチャンネルを紹介します。

意外に思うかもしれませんが・・北海道って住宅に特化した様々なメディアがあることで有名な地域。「住宅雑誌リプラン」さんや「北海道発OnlyOneの家づくりさん」などはお馴染みですよね~。実はこれ以外にも建築業界の私たちが読む新聞も数社あります。

今日紹介するのはそんな新聞社の一つ「北海道住宅新聞社」の白井編集長さんのチャンネル。

既に家系youtuberもたくさん居るけど・・よくよく見ると、単なる販促目的だったり、実は北海道のことはぜんぜん分かっていなかったりと・・有名な人でもかなりバラツキありが実情。そんな時はぜひ参考にどうぞ、30年以上地元北海道の住まいづくりを取材してきた現場からの発信は意外な事実を教えてくれる。地元に家を考えているのに大阪や東京の話しを聞いても今一つピンと来ない。そんな建て主さんたちには特にお薦めします。



追分の家基礎工事

縦枠がほぼ完了した「追分の家」。明日は二回目のコンクリート打設です。凍結深度というローカルルールがあるおかげで比較的床下空間が取り易い。止水や計画換気に結露防止&適切な住まい方等々・・色々やるべきことは多かったけど・・容易に出入り可能&使える床下という新たな室内空間が手に入ったことは基礎断熱の開発者や改善に取り組んできた人たちに感謝したい。GL以深に安全な室内を自由に作れるってけっこうハードル高い。現場のみなさま:今日も一日ご安全に!
玄関土間部分にも床下空間を設ける。当然ながら人通口も設けて床下に熱源を設置する。床下暖房は竣工初年のコンクリートの乾燥を促しカビを抑え、もし何かあっても容易に修理点検に人が入れるようにしておく。人通口のない基礎の家を後から改修することは非常に困難という経験に基づいて計画する。
今後は基礎外周部に暗渠管の設置、設備配管、スカート断熱を行う。ちなみにもしスカート断熱を行わない場合・・これよりさらに-400mm基礎が下がる。本来の追分地区の凍結深度はGL-1000mm(札幌は-600mm)・・基礎断熱という安全にコストを圧縮できる技術なしでは特に地方現場の基礎工事は厳しい。
これだけの空間が丸々室内として手に入る・・家の坪数は減ったけど・・収納は逆に増えた。


北海道は暖房好き??

 


「全国のみなさんすいませ~ん」・・って気持ちになるこのグラフ。「おいおい暖房エネが全国平均の3倍+?ってないわ~」とか「足引っ張ってんじゃねーぞ」、「断熱気密で省エネ?ってどの口がだよ~」、「真冬に薄着でアイス食ってるからだぞ」その他・・

まあ北海道以外の地域から見ると・・ボロカスに言われる訳です・・確かにヒートショック(家の寒さ)死こそ克服しましたが、暖房はもちろんお金も掛かる訳で・・まだまだ風当たりも強い今日この頃。

こっから先は余談ですけど・・実は、更なる断熱強化を行えば、太陽光発電に頼ることなく現状の暖房エネの概ね半分程度にはできます。📊(グラフ)で言うと概ね18~20GJ/世帯・年くらい。300mm断熱の家を10年間建ててきてその大体の感触がつかめました。それでも約20GJ/年・世帯くらいは掛かるので・・まだまだ全国平均の暖房エネと比べて約2倍・・これをさらに半分にするのは中々厳しいので・・地域に合った再生可能エネ(南部はPV、その他の地域はPV+薪やバイオマス等々)で化石エネ依存体質を変えて行きたいと思います。

結果として2009年から始めた住まいの超断熱化(300mm断熱プロジェクト)は正解でした。今後、さらに高性能な太陽光発電や蓄電池、その他の環境設備が色々が発売されるでしょう。しかし建物自体に大きな手を入れることなくそれらを全て後から導入可能な住まいにしておいて本当に良かったし、その機会を頂いた多くの建て主のみなさまに心より感謝したいと思います。

今後は北国特有の低い太陽光を受け止める壁面型太陽光発電とか地域の間伐材を薪燃料とする新たなストーブの環境的評価方法、それらを発信して移住者を増やす等々・・北海道の家づくりが新たな時代に入ります。むちゃ大変そうだけどがんばろ!

今日はグリンデイなんていかが



日本人は暖房嫌い??

 

上のグラフを見て10年前なら・・「日本の省エネ技術は世界一」とか「欧米のように暖房(化石資源)に頼らない日本の暮らしこそ真に環境的」、「暖(冷)房をなるべく使わない(嫌う)意識を育てることがよい教育&よい躾(*環境的な意味で)」・・極端なものだと「断熱なんて省エネには無関係」、「日本には断熱より通風換気が相応しい証だ」、「断熱など一手段に過ぎない」、「健康のためならいくらエネルギー(主に化石エネ)を使ってもよいのか?」こんな意見をよく聞いた。その一方でH・ショックに関しては暖房より断熱不足と結びつけて語られることが多かったように記憶している・・あれから10年が経ち最近ではそもそも「従来の断熱等級4(2022年現時:最高等級)では得られる室温が一桁に過ぎない・・」とか、「仮にその上位等級であれど、暖房(日本でいう全室暖房)前提ならば従来(採暖)と同等又はさらに省エネを望むなら非常に高い断熱水準が必要」といった具合に理解の深まりと広まりを感じる・・やっぱ時間って掛かりますよね。

ところで・・北海道や北東北にお住まいの方は「いったい何のお話し??」と思うだろう。実はマクロな視点で見れば暖房しない日本の家は世界から見て極端に寒い。反面それを不思議に思う人が少なく、世界中が暖房の省エネ化に悩む中、意図せずもの凄い省エネを達成しているというお話し。もちろん良い話しばかりではなく・・先進国の中では飛びぬけてヒートショック(家の寒さ)死が多いという事実が分かっている。

そんな理由で暮らしの中にセントラルヒーティングが定着し「暖房」と言えば当然のように家ごと暖めることを指す北海道や北東北の人達が不思議に思うのにはこんな理由がある。

確かに北海道生まれの自分でも子供の頃は「使わない部屋の電気と火は消しなさい」と言われた・・ただそれは随分と昔のことで、最近は出入りの時しか使わない玄関や用を足す以外使い道のないトイレが暖かいからといって顔をしかめる人は少ないと思う。

こんな風に北国では今や当たり前のことが全国に目を向けると全然違う。確かにエネルギーは使えど・・せっかく建てた家が原因で亡くなる人の割合は沖縄を除いて全国一低い北海道。そんな地域性を嬉しく感じます。

今日はカムバックを果たしたIVE。KPOPアイドルの養成は国家戦略なのだそう



2022年4月6日水曜日

追分の家 配筋検査&コンクリート打設

 

昨日は瑕疵保険の検査でした。結果は特段問題なし。基礎チームと松澤さん、奥さんの現場チームの活躍で手直しなしですぐにコンクリート打設の工程に進めます。

基礎工事で大切な点は鉄筋の間隔が設計図通りに組み立てられているか?具体的には縦横20cm間隔を守って組み立てられているかを確認します。

こんな風に撮影用のスケールを取り付けて大切なポイントを撮影して行きます。大切なことは記録に残すことと、それを明らかなかたちで保存しておくことです。

出来上がると基礎内部の鉄筋は見えなくなってしまいます。鉄筋コンクリートで作る建物の基礎は、細くても引っ張りに強い「鉄」と石のように圧縮に強いコンクリートをバランスよく組み合わせることで必要な強度を生み出します。その際の事前確認では鉄筋の種別、規格、径、組み立て間隔、緊結、補強について極力撮影して記録を残します。

まだ夜は雪がちらつくこともある今の季節ですが、コンクリート打設時に大切なのは気温です。ミキサー車が到着し打設時の気温が9℃。気温はけして高くはありませんが安全に打設できる環境です。
打設時の風景です。コンクリートを流し込むとすぐに大まかに均して水平にしさらに丁寧に小さな鏝で均して行きます。基礎断熱をすることで床下を室内として使うのでこの工程はとても大切。基礎屋さんは手際よく進めますが、重たいコンクリートに足を取られながら均す作業はたいへんな重労働。みなさん本日もごくろうさまです。

うーんお姉さんたち上手い!カッコイイ!




2022年4月1日金曜日

追分の家 基礎工事

 

昨日は基礎底盤の下に砂利を敷き詰め充分突き固めて水平に均し、水はけのよい地業を作りました。
本日はその砂利地業の外周部分にコンクリートがこぼれ出ないように縦枠を立て、その内部に防湿と断熱を行って行きます。

長期優良住宅である「追分の家」にとっては大切な工程。しっかり写真を撮って監理記録とします。
現場で使用されている防湿シートが設計で指定したものであるかどうかを確認します。防湿シートも様々なものがありますが、厚手で破れにくいものをチョイスしています。


現場は曇りの後、雪になりましたが大したことはなく、防湿ビニールの上に5cmの断熱材をきれいに敷き込みました。


ここでも設計で指定した断熱材が使われているか否かしっかりと確認します。

その後は基礎の配筋作業に進みました。

こちらは水道の止水栓の立ち上がり。北海道は寒いですから水道管は地盤面下1.2m以深の深いところを通ってきます。床下に引き込むためには底盤を貫通せねばなりません。そこでこのように丁寧に断熱材を開口して立ち上げます。

基礎底のコンクリートのかぶり厚さを担保するスペーサー。鉄筋本体まで7cmのコンクリート被りが取れるようになっています。

敷地内の水を集める釜場ですが増水する様子もなくポンプ1台で今のところは足りています。引き続き注視しもし増水の場合は釜場を増設する予定で作業を進めます。

なぜこれほどまでにファンキーなのか??恥ずかしながら今まで知らなかったが・・なんと演奏がEW&Fなのだとか・・そりゃあそうですよね~。FCCも良いけど今日はオリジナルで!