2018年4月29日日曜日

北欧 換気視察の旅 その2

 
いよいよ始まったシステムエア社、スキンスカッテベーリ工場視察。案内役はマグナスさん。ダメもとで・・・「写真は?」と聞くと意外にも「全てOK!隠すものなんてない」とニヤリ。
 
おいおい・・グローバル企業の工場内を全て撮影していいの??まじ?
 
つーことは・・・御社の
 
最新型の全熱交換気の製造ラインやロータリー型熱交換素子の内部やドレン、凍結防止ヒーターや内部結露防止の数々の工夫、フィルターの種類や素材、それらのアジアの生産拠点までぜーんぶ分っちゃうけど・・・もし私が○○電気の回し者だったら??(笑)
 
確かに熱交換換気自体の原理は新しいものじゃない。けど生産現場はその企業が数々の失敗を元に蓄積してきたノウハウの宝庫。それを惜しげもなく「いいよ!」の一言・・
 
のっけから・・クラクラ来ました。(笑)
 
こちらは本体を製造するためのコイル。溶融亜鉛めっき鋼板。使用想定環境によって亜鉛ジンクの皮膜厚みが異なるものを使用します。
 
工場に取り付けられた顕熱型ユニット。配管は全て巨大なスパイラルコイル管。当然ながら外気導入管はしっかりと防露されている。工場内は室温16℃で管理されている。
 
本国の工場らしく徹底的に自動化され人が少ない。
 
サプライ(給気)の方向と量を自由に調整し分散するグリルデフューザー(吹き出し口)。
機能もさることながらデザインもカワイイ。
 
システムエア社の定番商品である3種のユニットを指差し、説明をするマグナス氏。
同社の製品の多くが、たとえ古いものでも内部のモーターを最新のECモーターに交換することが可能とのこと。うーん日本とはぜんぜん製品の設計思想が違う。
 
ニルセンさんが案内してくれたのは大型のユニットの生産現場。新型のGENIOSを作っている。
 
こちらは現在建設中のテクニカルセンター(実験研究棟)
 
えっ本当に中見ていいの?(笑)
 
こちらがその内部。工事中だけれど既に空調が稼動していて内部は快適。完成後にはじめて設備を動かす日本とは逆。案内はジョニーさん。
 
こちらは巨大な無響室。もちろん世界最大。扉を閉めると完全に近い無反響環境が得られる。室内に空気を満たしたまま、音すなわち空気の波の影響を受けない実験環境で熱交換後のサプライ空気の伝播や拡散をスモークとレーザーで観測することができる。
 
当然ながら、室内の空気温と熱交換後のサプライ空気の温度は微妙に異なる。これをいかに穏やかに混ぜ有害な気流感を抑えるか、要は比重の異なる空気の混合という難しい仕事を担うディフューザー(吹き出し口)のデザインを決めるために欠かせない施設なのだ。
 
この他にも反響がほぼ抑えられるので機械そのものの騒音の大きさを正確に把握することが出来る。
 
この他にも恒温実験室。要は世界中の気候をリアルに再現する施設で、機械や配管内部の湿度&温度変動を観測しホコリや汚れがどんな風に蓄積するのか、カビやウイルスの繁殖環境も再現可能とのことのようだ。
 
世界中で製品が使われる企業にとっては、むしろ当然のことなのだろう。
 
 
こちらは新型の全熱交換型ユニットのGENIOS。内部では巨大なロータリ型素子が回転している。でも凄く静か。デフロスターの熱源は電気ではなく温水。左奥の上に赤い膨張タンクが見える。平たく言えばこの機械の中に温水パネルヒーターが内蔵されていて、必要時は通水して内部を加温する。 
 
 
こちらは新しいオフイス。
 
 

様々な方向を向いたディフューザー(吹き出し口)配管施工の品質が高くインテリアみたい。基本的に隠すという意識自体が薄い感じ。
 
 
こちらは食堂。
 
天井はこんな感じで意匠的な配管が整然と並ぶ。
 
こちらはシステムエアの法務担当取締役のミカ氏。ヨーロッパや北米各国の工業規格に精通している。ヨーロッパ内でも各国の規格はかなり異なるから、製品を安定的に販売するためには共通規格化のために大元となる各国のローカルレギュレーションの研究が欠かせない。また、断熱気密空間を前提とした空調と言うビジネスの世界において万が一の事故やその訴訟に備える姿勢は当然ながら自己防衛の観点からも欠かせないのだろう。
 
「たとえばドイツの○○規格の大もとは○○で、北米の△△規格とほとんど一緒・・・・・」
 
うわ~っすげ~・・・っていう感じ。
世界中の膨大で複雑な工業規格の世界が一気に簡単になる。
 
 
「でっ!わざわざスウェーデンまで来た目的は?なにか私に手伝えることはあるかな?」とミカ氏。
 
本国で用いる空調配管の施工方法やその清掃に関する規則や手引きはありますか?
 
「イエス!あるよ・・・データー丸ごとあげるから・・・メモリ足りる?(笑)」
 
うーんミカさんありがとう。  学ぶ環境って大切ですよね~(笑) 今日はここまで。
 
今日はJazzTronikなんていかが
 
 

2018年4月23日月曜日

南幌まちなかの家 板金工事

そろそろ外壁の板貼りが始まる頃合、大屋根はシート防水ですが、小庇や見切り、水切りなんかは板金工事で納めてゆきます。写真はレンジフードの排気と庇が競るので庇の上を抜いた部分です。ここに上下開放型のセルフードを取り付けて軒天が湿気でいかれないようにします。 

上部から見ると同時給排のために管が二本見えます。
 
 
こちらはデッキを敷く梁の天端。必ず板金の笠木を被せておきます。

こちらは唐松材をウッドトリートメントで仕上げたもの。グリーン材を用いて安価に行きます。

小屋根の端部、薄い野地板を板金で包んで破風を省略します。

横から見るとこんな感じ。
 
今日はWorld Orderなんていかが

北欧 換気視察の旅

とある日、一社)北海道建築技術協会、環境・設備・エネルギー研究会にて・・・現状の「換気」に対する素朴な問題提起からそもそもの話しは始まった。

「北海道って1973年の第一次石油危機を契機に断熱の取り組みが地域に広がって、まずは全室暖房が可能になって、断熱気密の質が向上してくると、計画換気の大切さが認識されて北欧(主にスウエーデン)や北米(主にカナダ)から様々な機械換気を輸入してここまで来たよね?だから古いものだと30年以上前の一種、三種換気なんかも残っていて実動してる。ところでそれが今どんなことになってるか知ってる?」

「えーと・・・BIS講習の換気を担当している三浦先生が過去のアフターも含めて現在国内の第一人者だと思いますけど、最大の問題は汚れだそうです。中でも深刻なのは、換気器本体やグリル類はなんとか取り外して洗浄&清掃できたとしても天井や壁内に隠蔽されている配管の中までは素材やサイズの問題があって清掃は難しいんだそうです。」

「うーんだよね~。ところで、素朴な疑問だけど本国はどーしてるんだろ?、計画換気といえばダクト型が主な国では建物用途を問わず配管やその保守点検、住い手(使い手)への注意喚起等々に対する意識がずっと高いはずだし、その施工を職業とする人のためにはマニュアル。設計仕様として伝えるためには仕様書。安全や生命財産保護の観点からはそれらを縛る法令が存在するはずだよ。もちろん換気器の生産者ならそれらを全て調べた上で機器の生産を行わなきゃいけないはずだよね?」

「一応日本も、2003年に建築基準法第28条の2、要はシックハウス法が出来て国内の計画換気は全て機械換気に統一、必須化されたんだけど、これは新建材からの揮発物質の排出が目的だったから、そもそも住いの断熱気密化に対応したものじゃなかった。だから換気量が優先されたよね。そんな風に考えると”断熱気密目線”の計画換気って意外にもスッポリ抜け落ちている分野だよね?」

「たまたま北海道が古かっただけで実はまだまだローカルなお話し、でも今後は過去の過ちを繰り返さぬように、正しい配管や保守点検も含めたマニュアル化を急がないと・・・維持保全計画がそもそも不可能な「長期優良??住宅」なんかが増えて行く!つーことだよね?」

「です・・ね~」

「ところでスウェーデンにコネクションある人いる?」

「いまーす!(笑)」

まあ~要約するとそんなやり取りを経て、会員である小川氏のアテンドで旅程が計画された。

視察企業は世界屈指の機械換気メーカーであるシステムエア社。そこに北海道建築技術協会の名前でコンタクトを取った。

下記は、会談と工場視察を含め本国から届いた招待状。

署名はスウェーデンのスキンスカッテベーリ工場、技術統括取締役のマッツ氏。
こちらは見学のスケジュールが記されたもの。対応いただく各部門ごとの担当者の名前が記され、私たちのリクエストに答えて、特別に法務担当取締役のミカ氏との質疑も盛り込まれた。一日の終わりにはゲストハウスへの宿泊や副社長のホーカンレンネッソン氏との会食までがセッティングされている。
 
かくして、巨大工場の視察はスタートしました。
 
出荷を待つストックヤード。ここから全世界に向けて製品が送られる。ウーンでかい!そして驚いたのは工場内がどこも暖かいこと・・・!先進国の労働環境がどんなものかを痛感する。
 
今回はここまで・・・
 
今日はMondo Grossoなんていかが