2010年11月4日木曜日

南あいの里の家 内装下地工事

南あいの里の家も終盤に差し掛かりました。あと一ケ月を切って現場にも緊張感が高まります。今までが地道な下地作りだとすればこれからの3週間で、表層的な仕上げ工程を行います。ここでいう表層的とはうわべのとか上っ面の、といった薄っぺらな意味とは違います。このブログでも訴えてきたように、目に見える部分も見えない部分も双方が支えあって成り立つのが建築の価値です。表層のみの建物も悲しいですし、性能だけでも味気ないものです。そうはいっても道具としての合理を備えた美しさはなかなかに難しいものですね。まあ仲間たちと頑張ります。(笑)

この工程で下地の最終確認と、スリーブ類や貫通部分の気密化の写真を撮ってゆきます。
写真は、東の妻側に出る管類の配置レイアウトです。三角屋根の頂点をはさんで左右対称にレイアウトしています。上段からパッシブ換気の排気管150Φ×2、中段:24h換気用パイプファン150Φ×2、下段がレンジフード150Φで吸気および排気となります。
ちなみにチーム南あいの里の施工部門担当である、武田社長(丸稲武田建設)は前回の気密測定の結果が今一不服だったようで、昨日独自にDr.タギ氏を呼んで再度気密試験を行ったそうです。
結果はC値:0.1cm2/m2台でこれ以上計測不能。北方型住宅ECO+の基準が1cm2/m2ですから10倍の性能を達成したことになります。コーキングとテープによる地道な作業の連続で、約半年に及ぶ冬季間、室内に発生する湿度を壁に入れない北海道仕様の壁構造が完成します。こんなことを書くと、「いや室内の湿気はむしろ壁の中に逃がしたほうがよい、密閉するのはよくないから。」とお思いの方もいると存じます。確かに気密などというとえらく息苦しい感じは否めませんね~(笑い)。しかしこの大切な気密をしないで断熱だけするとどうなるかはぜひ私の過去のブログをご覧ください。西岡の家解体工事 http://ako-re.blogspot.com/2009/08/blog-post_29.html
むしろ北海道の家で気密化が欠かせないのは、自動車の室内にたとえて考えていただくとよいと思います。オープンカーで走行中にヒーターやクーラーを付けても外気の影響が強すぎてほとんど効果を得られません。反対に窓を閉めておけば本当に小さな目盛りでも俄然、冷暖房の効き目が増すのを体感できるでしょう。暖房や冷房が必要な地域ではその地域に応じた気密と断熱の方法を設計者は見つけねばなりません。

コンセントやスイッチは気密フィルムの内側で配線し原則フィルムを破ることはありません。

温水配管の床貫通部分の気密化の様子です。

レンジフードの貫通部分です。北海道の高気密住宅では排気した分だけ給気も同時に行うタイプをお勧めいたします。特に室内で薪ストーブやペレットストーブを使う場合は、室内の気圧が急激に下がることで事故につながることもありますので十分な注意が必要です。レンジフードを使うとストーブの煙が逆流する。炎が消える、玄関ドアが重たくて開かない。といったことにならないように空気の流れも上手に設計すべきだと思います。

温冷水管の壁貫通部分です。

天窓から、もうすぐ上棟する隣の現場が見えます。そっちも頑張れよ~。