自己紹介

自分の写真
札幌市, 北海道, Japan
はじめまして。 北海道、札幌市で設計事務所をしています。 暮らしに最も近いものづくり「建築設計」 地域色豊かで環境的、使いやすくて長持。 そんな暮らしのデザインが大好きです。 社会の悩みを建築デザインのテーマにすると面白い! そんなことを考えながら今日もスケッチしています。建築(暮らし)のお話しあれやこれ... どうぞお楽しみ下さい。

2015年5月9日土曜日

山の手の家 解体工事&発見

性能向上リフォームは新築とは全く異なるものづくりです。なんといってもまず最初に解体工事から始まるなんてちょっと不思議な感じです。さて昨日から始まった解体工事ですが、床を部分的に解体しているときに新たな発見がありました。現場を担当するのは㈱丸稲武田建設さん。武田社長よりいつもの優しげな声で「ちょっと床が違ってるんで見てほしい。お客さんが床が冷たいっておっしゃっていた理由も分りました。」と電話が入りました。
 
そこで目にしたのが上の図の右。まずは読者のみなさんも概略が分らないと話がつまんないと思うので簡単に背景を説明しますと、この「山の手の家」1階がコンクリート造でその上に2階、3階を木造で載せている構造。北海道の人ならお馴染みの「木の城~」風の構造なんです。
 
当然2階の床はコンクリートのスラブ(床版)の上に木床が作られている訳なんですけどこれが凄く冷たい床でお客さんを完成当初から悩ませていました。当時の図面を見ると床下に20cmくらいグラスウール(GW)が入っているはずなのになぜ?それが不思議でした。(上図:左)そこで現在の床の上にもう一層新たな床を作り断熱も新たに10.5cm加えようと考えました。(上図:左)いくらなんでも床下に30cmもGWが入っていればもう冷たくはないでしょう!そんな風に考えて図面を作りました。(上図:左)ところが現場はその予想を裏切り図面とは全く異なる仕様で作られていました。(上図:右) まず根太フォームというプラスチック系断熱材でできた10cmの断熱版の上に45mmの角材を敷き並べ床を載せていたのです。その結果床下は高さ45mmの空洞が家中に連続する事になりここに外気が入って床を直接冷やしていたのです。(上図:右)肝心の断熱材である根太フォームと床の間に外気が走るのですから断熱がぜんぜん効かないばかりか暖房を焚いて床を暖めても冷気で次から次に冷やされて行くというのがその原因でした。

根太フォームの上に敷き並べられた□45mmの根太。この隙間に冷気が走ります。

こちらは根太フォームの全体像。高価な良い材料を使いながら正しく使いこなせていないことが寒さの原因でした。読者のみなさんに誤解してほしくないのは結果として適切ではない結果になってはいましたが、けして作りての悪意は感じないという点。こうした誤りが起こる最大の原因は「無知」であるからです。恐らく作りてとして、冷たいコンクリートの上に床を作ることに大きな不安があったことが感じられます。その一番の理由が32坪分も高価な根太フォームを使い床が冷えないように設計変更までして現場を納めていることです。しかしその熱意とは裏腹に根太フォームが性能を発揮することはありませんでした。外気が入り放題ということは気密が著しくよくないということです。どんなに優秀な断熱材を使おうとも温めたい床との間に寒さそのものである外気を通してしまうと結果は残念な事にならざるを得ないのです。

こちらは温水器の排気管を抜き取った後の壁の断面。グラスウールが黒く煤(すす)けているように見えるのは、躯体内気流の跡。要は壁のGWの中に風が通り抜け埃(ホコリ)だけがグラスウールに黒い汚れとして残った状態です。ところで読者のみなさんはダウンジャケットをお持ちですよね?冬場は暖かくてとっても重宝します。しかし外布がスケスケの風通しの良いメッシュ生地だったら果たして暖かいでしょうか?(笑) ダウンが暖かいのは抱え込んでいる空気に外の冷たい空気が絶対に混ざらないつくりのおかげです。だからダウンの外布はとても目の細かいナイロンツイルで防風性の高い生地を使うんです。そんな風に考えると気密って断熱を完成させるためには欠かせない相棒みたいな存在だと思いませんか。
 
もう一点気になるのが壁の中程から外に向かってなにやら木材が切断されているように見えることです。これは筋交いだと思われます。現在のように耐力面材として構造用合板が普及する以前はこうした斜材で耐震性を担保していました。もちろんこんな風に傷つけてしまっては効果が失われてしまうので今回の工事で外周部には全て構造用合板を面貼りします。
 
今日はRUSHでトムソーヤー!さあて面白くなってきました。(笑)