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2012年3月11日日曜日

春光の家 お引渡し




 2012年3月10日無事、「春光の家」のお引渡しが完了しました。

思えば2010年の10月から始まった「春光の家」の計画、1年5ヶ月の間にはさまざまな出来事がありました。学生から修行時代を過した旭川の仕事。初心にかえって精一杯努めようと思いましたが、実現までには素晴らしいクライアントさんをはじめ、たくさんの方々の知見や心からの協力が最大の原動力になりました。

 熱環境的には圧倒的に不利となる大規模な平屋でありながら建物の断熱や省エネルギーの計算を一手に引き受け、気密をはじめとする性能検証に尽力してくれたDr.タギ氏。

 一年で最も困難な季節にありながら、工夫に工夫を重ねて現場を切り盛りした㈱橋本川島コーポレーションのN所長、計画から着工までをサポートしてくれたT課長、積算課のMさん。外装の膨大な杉板貼りや手の込んだ意匠を受け持ち、最高の気密性能まで実現してくれたK棟梁とM職長。旭川大工の優れた技量を楽しみにしながら毎週現場に通うのがとても待ち遠しかったです。

 家中に光を溢れさせ、透明度の高い空間が自由に連続することを可能にしてくれた㈱エンヴェロッブのYさん。高い性能要求値に見事に答え最高のトリプルガラスのスクリーンで中庭を囲んでくれました。ほとんど全てガラス貼りにもかかわらず性能は一昔前の10cmのグラスウールと同じというスペシャルトリプルガラスには恐れ入りました。すっかりおなじみになった遮熱ブラインドも大活躍です。

 室内の造作家具の全てを担当した㈱匠工芸の二代目Kさんには、さまざまな難題を解決していただきました。クライアントが心から愛する地域ブランド「旭川家具」。中でも匠工芸のものは和の精神を現代的な美学で表現するデザインが多くのファンを生んでいます。割れをはじめとする木の欠点をむしろ積極的に技で美に変える姿勢は、簡素でありながらも、上質な作り手の良心を伝えています。今回も全ての家具には「匠」の焼印が入れられ同社の市販品を凌ぐ仕上げが施されています。

 屋根を担当した㈱プロテックのYさんと0勾配屋根を教えてくれた先輩建築家の小室さんなしではこの建物を特徴付ける塔屋の連続するアイディアは成立しませんでした。複雑な形状にマッチする信頼性の高い防水とそれが今までの北国が抱える屋根の問題点を大胆に解決してくれました。

 室内の汚染空気を回収しその熱でヒートポンプを稼動し暖房と給湯のお湯を造るという寒冷地向けのHPユニットを提案してくれたガデリウス㈱のKさん。今後のデーター取りが楽しみです。
 ガスと電気二つの調理の熱源を持ち、コの字型の洒落た製作キッチンを担当してくれたクリナップ㈱直需事業部のIさん。毎回ながら見事な出来栄えでした。通常の家の3倍の照明回路や間接照明を丁寧に仕上げていただいた㈱亀谷電設のK専務。初めての室内空気回収型のヒートポンプに取り組んでいただいた㈱アサダ設備工業のI部長。「チーム旭川」の全員にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。また貴重な経験とチーム全員に素晴らしい仕事を与えていただきました建て主さま、ほんとうにありがとうございます。いただいた貴重な経験をもとにますます精進したいと存じます。
 

リビングから中庭の眺め

キッチンから食堂を見る。

ブラックチェリーの突板を用いた洗面化粧台の4点セット

洗面所の上部には専用の天窓が設けられている。

■データー(「春光の家」)

①:Q値   0.9W/㎡/k(機械換気0.3回/h)

②:C値   0.2cm2/㎡(建物完成時)

③:必用暖房容量  6.5kw(*:但し外気温-13℃、室温22℃の場合) 
             *但し暖房対象面積:248㎡/75坪

④:断熱       フェノールフォーム90mm外貼+GW24kg/m3
            壁:35cm、屋根:40cm相当(グラスウール24kg/m3換算)

⑤:換気      1種熱交換換気HP
⑥:暖房      土間下:低温水パイピンング、補助:電気式パネルヒーター
⑦:給湯      電気温水器(但しお風呂のみ)

今日の気分は映画のエンドロールですね~(笑い)
ご一緒にインデイーでもいかがでしょう。
http://www.youtube.com/watch?v=-bTpp8PQSog&feature=related




2012年3月8日木曜日

春光の家 が完成です

本日は、「春光の家」の完了検査。ERIさんを札幌から呼んで無事検査終了です。

次はおなじみDr.タギ氏による最終的な気密測定。結果はC値が0.2cm2/㎡と最高の結果になりました。M職長とN所長揃って安堵の笑顔がこぼれます。

現場もあと少しでお引渡し。長かった平成23年度の仕事がようやく終了します。


非常に明るい中庭の風景と隣の家の窓がどこにも見えない「俺の空」を切り取った居間の眺めです。

自分の家の中から自分の家の外壁を眺めるという貴重な?体験ができます。(笑)

中庭を囲む回廊の一部です。
今日はアラン ホールズワースでもいかがですか、彼のギターは最高ですよね~。憧れます!

2012年3月1日木曜日

春光の家 内装工事03

 いよいよ大詰め!内装、最後の追い込みで現在床タイルを貼っています。中庭をガラスの回廊が囲む特徴的な空間。

 中庭の空には極力隣家の建物や屋根が入らないように検討した結果がこれ。敷地の周囲は建て込んだ住宅街ながら「俺の空」を獲得することができました。

私のインテリアは最近、和風のテイストが強いように思います。突き当たりの壁の色やテクスチュア(素材感)を変えることは床の間と床奥の関係に似ていますし、建具に突板以外の貼物を好むのも札幌の建築家の中では珍しいと思います。引き戸がドアよりも好きなところなんかも同じでしょう。


引き戸を開放した時に視線の突き当たりに責任を持つこと。小僧時代に師匠から教わった基本はとても大切なメソッドになっています。続きの部屋の奥にちらりと見える建具の柄をどのように扱うか?毎回ながら悩ましい問題です。(笑)

天窓に続く光チューブが中庭から離れた部屋も想像以上に明るくします。

今日は大好きなPacoなんて一緒にいかがでしょう?

2012年2月17日金曜日

春光の家 内装工事02

外部足場を解体し、窓のほとんどない外観が現れました。外部はほとんど杉板と破風の板金でかなり閉鎖的な印象を狙っています。素材を極力シンプルにすることで、軟石や煉瓦の倉庫のような静かな佇まいを街並みに与えたいと思いました。

室内に貼り込まれたタイル。割り肌と凹凸に光が陰影と表情を与えます。使用目的はもちろん意匠的な面白さがメインですが、室内に少しでも熱容量の大きな材料を使いたいと思ったのも動機の一つです。壁でも窓でも断熱性を高めてゆくと室内はどんどん穏やかで快適な温度環境に近づきますが、床や壁に大きな熱容量のものを使うと仕上げとしてさらに理想に近づきます。

今日はエルガーのチェロ協奏曲なんていかがでしょう。デュプレ好きのお父さんにも(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=0rNIohqHJwE&feature=related

2012年2月14日火曜日

春光の家 内装工事

 春光の家では内装工事に入っています。もうすぐ外部の足場も取れて特徴的な外観が姿を現しますが、今室内では、大工のM職長とN所長そして札幌のPCの前に陣取る私との間で壮絶なディティール決定戦が行われています。(笑)

 みなさんご存知のように私のつくる建築の細部は他とは異なっています。建築家の中でも極端とまでは言いませんが、ものと、ものとの取り合いにはこだわるほうです。(まあこだわらない建築家なんて..もともといませんけど/笑)

 たとえば赤くきれいなカラマツの柱にガラスがシュッと入る感じ。当然、野暮ったい枠なんて付けないで~とか、床のタイルからぬっとガラスが立ち上がる感じ。もちろんごつい巾木なんてNGよ~。とか...

 まあ~自分で聞いていても呆れるくらいあちこちにウルサイ、ウルサイ。
AB型の悪い癖で大らかかと思えば、途端に神経質になり、時にはやり直しをお願いしたりもします。現場員の名誉のために言っておきますが、基本的にやり直しが多い現場は建築家の責任も大きいのです。どのように作ればよいのかをしっかり伝えておかないから事は起こるわけで、一人前なら、中途を見ても完成までが、ピンとこないといけません。

柱にガラスをシュッと入れるディテール(細部)

巾木はタモ材で作られ壁と巾木、巾木と床との間にそれぞれ目地が入るもの。壁のクロスは巾木の上でピシッと揃うように端部には目透シフクビを入れる。壁の出隅は6Rの面木で丸くアールを取る。

浴室と室内の巾木の取り合い。極力ステン枠が床に埋まるように考える。ステン枠の見付けは本来25mmだが壁のコーナー面木をかぶせて15mmしか見せない。

壁は塗装。天井はクロスのため双方の取り合いをしっかり見ておく。

「春光の家」の特徴は引き込みの建具のバリエーションの多さ。上の写真は、右から左へ来るフスマの止め枠と手前から壁の中に隠れてしまう建具の取り合い部分。くう~っ難しそ~...

謎の溝切!これはいったいなにか??お楽しみに~(笑)

汚れが落とされ美しく顕された天井部分。

今日は、ドボルザークなんていかがでしょう?

大好きなスラブ舞曲でも http://www.youtube.com/watch?v=wpsMGuPd-cU&feature=fvst

2012年1月15日日曜日

春光の家 気密測定

 本日は、「春光の家」の気密測定です。おなじみDr.タギと愛用の測定機器。もちろん写真の右上に見えるラッパは気密がC:0.5cm2/㎡以下の高性能建物専用に使う小口径のもの。気密性能を表すC値が0.5を下回るような建物は通常の大きなラッパでは正確な測定ができません。いつも機械の測定限界ぎりぎりまで挑戦してくるしたたかな設計者専用の仕様といえばお分かりいただけるでしょう。(笑)ちなみに2005年くらいまではC値は0.7程度で大満足でしたが、ドイツのパッシブハウスやスイスのミネルギーハウスを学ぶにつれ私の意識も大きく変わりました。弱点となる部分のチェックや対処の方法等々を考えるのにあてる時間は大幅に増え、内装工事を終えるまでに確認につぐ確認をお願いするようになりました。

 M職長の気合の入ったテーピングたいへんきれいな仕事です。柱とサッシ下地の取り合い、サッシと柱の取り合い等々、テープを丁寧に増し張りして厳重に気密化してあります。

 入り隅コーナーの難しい柱廻りの処理。色付きビニールを選ぶのは重ね部分の色が濃く見えて、後からの確認がしやすいため。また厚さは必ず厚手のものを使います。

 特に注意を要するサッシと下地の角部分。他の現場がコーキングの充填のみで済ますところを、さらにその上からテープを折り返して止めている。ビニールの重ね部分が濃く見えて、しっかりと重ね巾が取られていることが見て取れます。

 実はコーナー部分のガラス一枚の寸法が合わなかったために、一時的に仮の単ガラスを入れて検査に臨んだ。本日の外気温は-10℃。トリプルガラスと単なるガラス一枚の性能がどれほど違うかよく分かるビジュアルが撮れたのでぜひご覧下さい!

 左が単ガラスで右がトリプルガラス。それも「銭函の家」で初めて用いた最強のDr.タギ仕様です。ちなみに断熱性能は10cmのグラスウールとほぼ同じです。

 引いて見るとその差は歴然。建物の省エネを考えるうえで熱に対する意識が欠かせないことがお分かりだとおもいます。ちなみに日本ではマンションの窓はいまだに単ガラスを外部に用いて室内側に樹脂サッシを組む前時代的な二重サッシ仕様が一般的。本州などは一見洒落て見えても、サッシ自体一重が未だに一般的です。温度の出入りの激しい開口部に対する配慮がもう少し進むと省エネばかりか快適性がぐっと増すのですが。

 Dr.タギの読み上げる数値に真剣に聞き入るチーム旭川の面々。
注目の結果は当初C:0.6cm2/㎡で全員かなりがっかり。徹底的に気密を行ったにもかかわらず思うように数値が伸びないことに納得がいかないM職長、思わず腕組みです。その後Dr.タギ氏のアドバイスにより漏気部分を全員で探すこと30分。柱の根元とサッシの取り合い、テラス戸のパッキンからの漏気を発見。対処後の測定ではなんと一気にC値が0.3cm2/㎡にUP、Dr.タギ氏の「これ0.2楽に行くね~」のことばに全員ホッ!と一息、その後思わず拍手でした。(笑)
N所長の、「Mよくやった!」の一言で緊張していた職長の顔に笑顔が戻り、全員にとって嬉しい測定になりました。

その後の打ち合わせも深夜に及び、お腹も空いたので最終列車を待つまで駅前食堂「中野藩」で定食を。この定食、実は出張帰りのお父さんに列車を待つまでの間に気楽に使ってもらおうと、食事にお酒を一杯付けて、12年前のオープン当事店主と一緒に考えたメニュー。1000円と1500円のバージョンがあり、1500円の方にはお刺身も付く。12年後に自分が楽しみにするとはなんとも不思議な感じです。もちろん料理の味はたへん美味しいのでぜひ一度ご賞味を。

さて今日はチーム全員にこの曲を贈ります。
原曲はプリンス.オブ.デンマークマーチ、日本ではトランペットボランタリーとして有名ですね~。

http://www.youtube.com/watch?v=n1n7WeuHCog

2012年1月9日月曜日

現場再開

最も早く現場を再開した「春光の家」、大工さんを増員し断熱工程に入りました。昨年の12月は徹底的に雪に泣かされた旭川ですが、年明けは今のところ穏やかな日が続いています。この間に一気に外部の断熱を終わらせ、内部工程に移行したいと思っています。

断熱サッシを担当するエンベロップによる美しいタモ材の玄関ドア。道内でも旭川地域はまだ比較的容易に地場産のタモ材が入手できます。札幌で玄関ドアをタモで作ろうとすると、ほとんどが輸入材のアッシュですが、旭川の場合は近海ものならぬ地域材もまだ豊富です。たとえば単に集成材というと、札幌では安い順にスプルス、カバ、ニレ、タモ、ナラとなり、材種を指定しますが(2012年現時)旭川なら「タモでいいかい~」の掛け声とともに普通にタモが出てきます。(笑)地域に材料と作り手が共存できる間は建築を安心してつくることができます。

9人大集合した大工さんたち、右の黒い帽子がK棟梁。大工さんの高齢化が進む中で注目の若手棟梁です。20代で会社を興し仲間と共にいろいろな難工事を納めて来ました。普段は5名で動きますが、大きな現場は増援をたのばねばなりません。彼の一声ですぐに人が集まるのはなにより人柄なのでしょう。

今日はジミ.ヘンなんていかがでしょう。


2011年12月22日木曜日

春光の家 屋根防水工事

K棟梁とM職長、N所長、懸命の頑張りで屋根の防水工事にこぎ付けた「春光の家」、仕上げのシート防水はご存知プロテックさんです。広大な「春光の家」の屋根をみるみる張上げてくれます。北海道の屋根は長らく課題を抱えてきました。落雪か?はたまた無落雪か?フラット屋根という緩勾配の屋根はどんなに断熱をしても、寒の入りと出の時期(北海道なら12月と3月)は氷柱(つらら)に悩まされ、その時期が過ぎて屋根に積雪するようになると今度は積雪した雪が少しづつ滑り、巻き垂れに悩まされます。スノーレーンでおなじみの陸屋根は屋根面に樋を付け排水口に集めた屋根の融雪水を室内を貫通する雨水管から排水するものですが、木の葉やごみが詰まりやすく、また室内の雨水管が凍結せぬように融雪ヒーターが必要となり、結果としてかなりの電気を必要とします。要は以前は落雪させていた雪を載せておくままにするためにかえって、落とす以上の悩ましい苦労を背負い込んでしまったのが、現在の北国の一般的な板金屋根なのです。

2009年の銭函の家から始めたシート防水は、先輩建築家である小室さんから教えていただいたものですが、安価でシンプル。耐久性も高く、前述のような悩ましい北国の屋根の問題をほとんど解決してくれます。

屋根の立ち上がりの出隅部分。増し張りのシートでしっかり防水されます。

今日の旭川の外気温はなんと-10℃。そんな寒さの中でもシートをバーナーで暖め溶着液でシートを溶接しながらみるみる張上げてゆきます。寒さに大きな影響を受けないのも北国の工法として好ましいものです。

現場も今日は酷寒の中、作業は進みます。
今日はみなさんに素敵なクリスマスソングを!

2011年12月16日金曜日

春光の家 雪にも負けず

今日の旭川は午後から激しい雪になった。100坪を超える春光の家の屋根の上では懸命の工事が続いている。防水まであと一歩。外部を囲い一層でも断熱工事が終われば、状況は劇的に好転する。N所長、K棟梁あと一歩!頑張りましょう!

一服の休憩の間も雪は降り積もり丸鋸や釘打機を隠してしまう。

室内では、搬入された木製サッシが塗装後、乾燥養生され取り付けを待つ。




冬の夕暮れは早い。3時半には照明が必要になる。

現場に貼られた図面。これから天窓の取り付けを行う。

帰りの気温は約-6.1℃。急激に冷え込む。

今日は倉木麻衣でもいかが?

2011年12月10日土曜日

春光の家 屋根断熱工事

連日の雪の中、雪かきと共に屋根の断熱工事を進めるK棟梁。100坪にも及ぶ屋根の面積は、なかなかにたいへんな仕事です。今日は快晴!しかし旭川の快晴は夜間の冷え込みが心配になります。放射冷却現象といって、大地の熱がすべて空に吸い上げられてしまうからです。 現場的にはなんとか早く断熱工事を終了させて、内部の作業に移行したいところです。天候次第とはいえN所長とK棟梁の阿吽の連携プレーに注目が集まります。頑張れ~!


道路もすっかり圧雪。現場の除雪もタイヤショベルで行います。


防水の下地の構造用合板が二層貼りであることを確認します。

さーて淡々と熱く進行しましょう!
今日はYUKIでJOY!