2024年6月1日土曜日

北7条の家お引渡し

先週の5月26日は「北7条の家」のお引渡しでした。馴染みのお花屋さんにお花を仕立てていただいて準備完了。

半年以上に渡り、現場で苦楽を共にした紺野さん。担当は社長さん自ら務めていただきました。建て方からお世話になった高橋棟梁、そして黙々と美しい室内や階段、そして最高の造作を作り出していただいた一ノ瀬棟梁、設備全般をご担当いただいた相澤さん、太陽光発電とそのシステムをご担当いただいた佐山さん。いつも最高のキッチンを作ってくれる石川さん、同じく最高の家具を作ってくれる桑原さん・・感謝、感謝!

そして何より全国一の住宅基準である「札幌版次世代住宅基準」と「北方型住宅ZERO」への挑戦をお許しいただいた建て主さまにこの場をお借りして心より感謝申し上げます。

ふと想えば・・2009年の「銭函の家」から早15年。巷で言われる高性能住宅専門の設計事務所として見た目は違えど300mm断熱の家を作ってきました。

「北7条の家」はその43棟目に当たります。

いつも思うのですが、最高の環境性能を持ち、燃費や居心地の良さが実感できること、そして地域の材料と技で作られていること。寿命の短い機械設備による短期間の高性能ではなく長い間、楽に手間が掛からずに住めること。子供に残して喜ばれる家にすること・・・

全て、今の時代から感じる疑問に答えることを家づくりの目標にしてきました。

事務所を始めて今年で26年目。このブログも15年目になりますが、不思議なことに大切な家づくりをお任せいただく機会をたくさんいただくようになりました。

設計者としては本当に嬉しい限り。引き続き良い家をたくさん提案して行こうと思います。
空間を邪魔することなく、軽やかで光あふれる階段。光あふれる室内はナラ材の床や白樺の家具を引き立てます。
差し込む光は少しづつ夏に、たくさん断熱をして空調計画もしっかり行いましたから夏も涼しく暮らしが楽だと思います。

ぜひ一年を通して住まいを楽しんでほしいと思います。

今日はバネッサ・カールトンなんていかがでしょう






2024年5月19日日曜日

暑さと断熱

  最近、リフォーム案件で小屋裏に出入りする機会が増えた。 5月は爽やかな北海道。だけど、小屋裏は例外なく暑い/笑・・ ふと昨年訪れた夏の岐阜を想い出した。白川郷の合掌造りの小屋裏。厚み60cm超の分厚い茅葺の屋根がまさに防水を兼ねた”超”屋根断熱となり、薄暗い室内を通り抜ける風が心地よかった。

外気温は日陰で約32℃、日向だと34℃、絶対湿度だって18g/kg以上もあった。その熱い外気が小屋裏に入ってくるのだから、心地よいというのも、よくよく思えば変な話。でも、どちらか選べと言われたら、圧倒的に白川郷の小屋裏を自分は選ぶ。

 理由は実に簡単で、茅葺の超断熱屋根は無断熱のトタン屋根のように焼け込まないから輻射熱を感じないし、34℃の外気だって風速があれば暑さに不慣れな北海道人の自分でもそこそこ過ごせるってことが分かったから。それに比べたら5月でさえトタンの焼け込みで屋根面の熱がジャンジャン入ってくる北海道の家の小屋裏は過酷でしかない・・長年の蓄積といえばそれまでだけど、断熱がいかに暑さをしのぐ上で有効な知恵だったのかを分厚い茅葺の合掌は今に伝えていると思う。

 こっから先は余談ですが・・白川郷の小屋裏でもう一つ最高だったもの・・それは北側の窓からの景色でした。


ミライの住宅の林さん、森さん昨年の貴重な学びに感謝します。


2024年5月1日水曜日

発寒の家Ⅳ 見学会を終えて

 

車が二台駐車出来て、雪かきが最小となるレイアウト。冬はカーポート内をトンネルのように使って玄関にアプローチします。夏場は手軽なBBQスペース。物置と駐輪場(除雪機置き場)も設けました。

当日は「発寒の家Ⅳ」の見学会にたくさんのご来場をいただきまして誠にありがとうございます。長く続いた新型コロナ感染症が明けて、やっと本格的な見学会ができるようになりました。引き続き、地域に相応しい住まいのデザインに取り組んでまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

夜間は一転、柔らかな光で街並みを作ります。

また今回の見学会を企画するにあたり、住まい手さまより特段のご厚意とご理解を頂きましたことを、この場をお借りして一言御礼申し上げます。見方を変えれば住まいの多くは個人宅。その一方で北国にこそ必要な間取りの知恵は現地でもまだ十分知られていません。

パッシブ換気の塔屋の壁面に取り付けられた太陽光パネル。すべてを電気で補い電気代の収支をゼロにすることを目指すのではなく、寒冷地に合った熱源の組み合わせで省エネと快適性の実現が設計のコンセプト。太陽光パネルは蓄電池と接続されており、停電時は自立が可能。冬ならペレットストーブや暖房ボイラーに電力を供給することも可能。

そうした事情を汲んで、見学をお許しいただけることはたいへん有意義であると同時に、設計者である自分のみならず大工さんや家づくりに関わる数多くの職人さん達の技を広く社会に示し、地域材の生産者さん、未来の建築を道内で学ぶ学生さんたちにとっても貴重な機会となります。その一方、そうした寛容な大らかさが縮小する社会においてこうした見学の場を地域の文化として育てたいと思っています。

南東向きに大きな開口部を設けたLDK。300mm断熱の家であれば冬場一日、6~8時間の暖房稼働で家中の室温は18℃以上を終日確保できる。但し、ずっと同じ室温環境の中に居続けるとポカポカとした刺激がほしくなる。そこで炎が見えて輻射(ポカポカ感)を改善するペレットストーブを用いて微調整(徐寒)する。

主な暖房設備でざっくり18℃を作り、高い外皮性能と日射を含む内部取得熱でそれをキープし、徐寒の微調整にはペレットストーブ等を用いる。300mm断熱の家も今回で42棟目となりましたが、暖房設備だけで微調整まで行おうとせずに、小さな設備を併用することでかなり不満の少ない暖房環境を実現できます。

シンプルに隠すことを意識した対面型キッチン。開放的なLDKとその真ん中に置かれた対面型キッチンは人気がありつつも充分な収納能力がないと成立しません。住まい手が片付け上手であることはもちろん、居間に対して解放されたキッチンセットは家具の王様でもあります。

こうして見ると実にシンプルですが・・・

実はもの凄く大容量の収納となっています。

手元を居間側から隠し収納力を上げるレイアウトです。

料理本やこまごまとしたものの収納はこんな風に90°ひねった棚を用意しました。写真のように小さなスツールなんかを入れておくのもいいと思います。キッチンに北側の安定した光を導き入れるのにも一役買っています。

こんな感じで収納物が居間側から見え難いようにしています。

間取りの中央に位置しつつも暗くならぬように工夫した階段です。壁をなめるように光が入り階段を奥まで明るくします。曇りガラスを効果的に使うのも大切なポイントです。

冬には自転車を仕舞ったり、スキーやスノボを整備したり、肩の雪も払える暖かな土間玄関です。右側は二畳にも及ぶ大容量の靴箱とコート掛け。玄関廻りの収納不足は北国アルアル・・しっかり対策しています。

最近の北海道は夏がどんどん厳しくなっています。そこでパッシブ換気の塔屋の中にエアコンを装備しています。

3種換気とパッシブ換気の排気口。ナイトパージ(夜間外気冷房)用のドレキップ窓も設けました。窓からは屋上に出ることも可能です。

徐寒目的のペレットストーブ。大きなガラスは炎を美しく見せてくれます。その一方で森林資源由来のエネルギーである薪やペレットは極力少なく使えば済むように計画します。すべてを薪ストーブでという人がいますが、それだと貴重な森林資源はすぐに枯渇してしまいます。より少なく再生可能な範囲で使うからこそ、長く使えるのが木質バイオマスエネルギー。薪だからエコなのではなく計画的に使うからこそ環境的なのが森林資源です。

パッシブ換気の床下給気部分。空気は見えませんから吹き流しを付けて、一目で給気が確認できるようにしておきます。夏場、窓開け換気が難しい期間(エアコンを使用する盛夏時等)のみ3種換気を用います。

こんな風に床下に照明も付けていつでも点検可能なようにしておきます。床下は給排水管等の設備置き場でもあります。どんなに耐久性の高い設備でも建築ほど長くはもちませんから交換時に入り易いよう、普段から点検環境と動線を確保しておきます。

今後は益々、第三者による評価が問われます。「発寒の家Ⅳ」は札幌版次世代住宅基準の最高位であるプラチナグレードです。

こちらは上記の根拠となる省エネ性を示したBELSの評価証です。



今日はタチアナ エバ マリーの歌で・・


2024年4月15日月曜日

「発寒の家Ⅳ」見学会のご案内




みなさまのおかげをもちまして取り組んでまいりました「発寒の家Ⅳ」がいよいよ竣工となります。 この度、建て主さまのご厚意で見学会を行いますのでご希望の方は必要事項をご記入の上当事務所のお問い合わせフォームよりお申込みいただければ幸いです。

*:注 4/20.21のご同業者の見学等はご遠慮いただきますようお願いいたします。

お問い合わせフォーム https://ako-a.com/contact.html
 

◆「発寒の家Ⅳ」とは

 鉄工団地と木工団地を抱える発寒地区。札幌を代表するものづくりのまちとして多くの職人さんたちが暮らした下町でもあります。近年では大手スーパーの進出やJR発寒駅近郊のマンション開発によって、都心に近い住宅街として注目されています。その一方で少し周辺を歩けば、木工所や鉄工所が建ち並ぶものづくりのまちとしての姿も健在です。

 約200万人が暮らす札幌市は国内屈指の観光都市と共に全国一厳しい住宅の省エネ基準を有する都市です。その理由はシンプルで道内で最も都市化が進み、冬の暖房用エネルギーの消費量が高く、近年は急速な温暖化で夏の冷房需要も増えつつあるからです。この対策の一環として札幌市では令和5年度より従来の基準を見直し、高い断熱性はそのままに太陽光発電パネルと蓄電池の設置を盛り込んだ新基準をスタートさせました。「発寒の家Ⅳ」はその基準をクリアすることを念頭に設計いたしました。 札幌市の住宅基準は4段階に等級分けされていて、低いものから順に、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナと呼ばれています。今回はその最上位であるプラチナグレードの認定住宅です。

 札幌市の住宅基準を満たすと同時に北海道が1988年から開発を続ける「北方型住宅」。その最新版である「北方型住宅ZERO」の基準を満たしていますので、ぜひご覧いただければ幸いです。



春の見学会なので・・アヴァロンジャズバンドなんていかがでしょう/笑


2024年4月9日火曜日

北7条の家 内装工事

 

紺野建設さんの手でどんどん出来上がる「北7条の家」です。本日は電気屋さんが入って器具付けをしていただいています。

美しく架けられたスケルトン階段

こんな感じでLDKのアクセントとなります。

和室コーナーのダウンライト

唐松の温かな木肌に布クロスがよく合います。

今日はミシェルブランチなんていかがでしょう



2024年4月4日木曜日

発寒の家Ⅳ 内装工事その3

 


 宇野棟梁にテーブルを仕上げていただきました。いつもながら最高の仕上がりです。
本当にありがとうございます。
 白樺積層合板はラミナの木目を90°毎に積層して作られています。ですのでコーナー部分から見ると積層面も木口方向は濃く、木目方向は薄く交互に色が付きます。木口処理が不要(合板なのに無垢材みたいに使える)が売りなので無垢板同様手間をかけてよく研ぎオイルで拭き上げます。シナベニアも過去にはよく使っていたのですが・・剝がれ易い木口テープや木目を感じ難い白過ぎる表面が自分はあまり好きになれませんでした。同様に建具枠や階段材も集成材はありふれていているし、全部無垢材だとお値段も・・・そんな時知ったのが白樺積層合板。北海道では植林された松林を食い荒らす厄介者の白樺でこんなにきれいな合板を作っていただきました。

滝澤ベニヤさんありがとうございます。
滝澤ベニヤHP https://www.takizawaveneer.co.jp/


美しい木目が冴えるテーブルとなりました。

エコシラ合板の仕上げ面は、ブックマッチ(本を開いたように左右が対象となる手法)で
美しく仕上げられています。こうしたところも生産者の心遣いが伝わってきます。


2024年4月1日月曜日

発寒の家Ⅳ 内装工事その2

 図面にそこまで描いてないのに・・みんなありがとうね。

 お客さんは・・不思議でさ、言わなけりゃ、こんな細かな事、今まで気にしたことなんてないはずなのに・・良い仕事の話しをすると、途端にそれを欲しがる人が増えるんだよ。だからみんなは自動的に次の現場でも頑張り続けなきゃいけなくなる・・なんだかごめんね/笑

ただ自分はみんなから教えてもらった話を、ブログやSNSに書いてるだけなんだけど・・それが知らないうちに伝わって・・次のお客さんは「自分の家も〇〇の家みたいにしてくれますか?」とか「棟梁は〇〇さん?それとも〇〇さんですか?」なんて名前まで憶えてくれるようになる。

だからみんなが現場で教えてくれた話は、お客さんを呼ぶ魔法。良い仕事って、みんなが思うより何倍もすごい価値なんだよ。

やっぱさ・・ただルーターでカマボコ面取って終わりじゃあなくてさ・・ペーパー当ててさ、中研ぎ⇒仕上研ぎでツルツルにまで持って行くのよ~、最後は必ず手で触って仕上げなきゃダメ・・棟梁・・本当にありがとうございます(嬉泣)

棟梁:エッジまで削りそうだから上に乗って動かないようにしっかり押さえてよ。
大工さん:はいよっ!

加工は全ての建具枠、家具に・・面倒くさくて手間が掛かって・・スイマセン・・アリガト

棟梁:どーせ逃げナシでピッタリ入れてって言うんでしょう?/笑 分かってますよ


この割付で目地幅4mm?6mmでもいいですかねえ?タイルの精度から行くと気持ち広めがきれいかなあ~・・
親方:天井との際は一発勝負だからマスキングは超丁寧にね~頼んだぞ!
弟子:はいっ!

電気屋さん:形はカッコいいんすけど器具の精度はそこまでよくないんで、ピシッと水平が出るように軽く修正して取り付けときました。

今日は春めいてきたんで・・大好きなアヴァロンジャズバンド。ヨーロッパの香りがします。