2011年1月27日木曜日

北海道の寒さは本当に恐ろしいのか?

北海道への移住をためらう理由のひとつに雪と寒さがあると思う。高齢者にとっては雪かきをはじめとする作業は負担だろうし、なにより寒さは健康の敵であるからだ。本日はこんな統計を見つけたのでぜひお付き合い願いたい。
東京ガス都市生活研究所による調査によれば、日本の浴室は先進国はおろか世界的に見ても非常に危険なところらしい。反面、世界的に見れば死因として浴室での溺死はかなり珍しいケースのようだ。果たしてそれはなぜだろう?

この調査も同じく東京ガス都市生活研究所のものだが、入浴中の死亡事故は交通事故の1.5倍以上のリスクのようだ。しかしまた運転と同じように居眠りが原因で溺れるのだろうか?

実は、北海道の人間にとっては不思議なことだが、日本における浴室暖房は各国に比べて非常に遅れている。日本の浴室は床が洗い場の水掛りとなるために、脱衣所と分けて計画するのが普通であることから、浴室内に暖房機を置くことは難しい。こうした既成概念が働くので浴室を暖房しないことに違和感を覚える人が少ないのだろう。しかし隣接する脱衣所には北海道の場合ならばほとんどの場合何らかの暖房をしている。当然ながら脱衣所とドア一枚隔てた浴室も暖房空間なのである。床が水掛りのため浴室内に暖房機を置けないことは他の地域と同様ながら、浴室が暖房空間であるところが大きく異なるのである。

このデーターも数字を見ると北海道の人間ならば驚くと思う。それは浴室内が10℃という状態が珍しいからだろう。気温が10℃の室内で裸になり、42℃のお湯につかることなど現在の北海道の暮らしにおいてはずいぶん少なくなっている。血圧の変化に注目していただきたい。寒いということがどれほど健康にとってストレスになるか実感できると思う。

最後の統計は少々古いものだが、たいへん興味深いと思う。人口10万人中脳卒中で死亡する人の割合を地方ごとに比較したものである。石油ストーブが早くから普及し部屋ごとの温度差が少ない北海道の死亡率が東京とほとんど変わらないのが分かる。反面、北関東においては部屋ごとの採暖が主流であり、部屋ごとの温度差が大きい。

最新のデーターが手に入ったので合わせて掲載しておきます。
全国の47都道府県別の比較データーです。


さていかがでしたでしょうか?健康住宅などというと最近は天然素材や化学物質以外の材料でできた建物をまずイメージしがちですよね~。しかし家を暖房(全室をくまなく暖めること、部分的なものは暖房ではなく採暖と区別します。)すること。その暖房が間違いなく機能するように断熱することは、素材にこだわるのと同じくらい健康な暮らしには欠かせないことなのです。根源的に必要な要素(必須設計項目)といってよいと思います。またこうした事柄が十分理解されず、冒頭の統計のように先進国ながら国全体としては死亡率の高い住宅が多いことがたいへん残念です。

2011年1月24日月曜日

北海道の今

住民基本台帳による平成22年12月末現在の北海道の人口は5,518,088人である。


総合政策部地域行政局統計課企画情報グループ

HP:http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk

今日は統計のお話し。社会を捉える上で役に立つし、イメージで物事を片付けてしまいがちな悪い癖を矯正するのにも効果的。今、北海道でなにが起こっているのかをちゃんと知りたいなあ~と思いました。

北海道の人口は平成9年(1997年)をピークに減少に転じている。特徴的なことは平成9年以降社会増減(本人の意思又は自然増減以外の理由による増減)が自然増減(出生及び死亡による増減)を一気に逆転し、現在に至るまでその傾向が続いていることである。また平成15年以降はこれに加え、自然増減もマイナスに転じ、死亡が出生を上回る自然減と社会減がセットで北海道の人口減少の主要因となっている。年齢別転入超過数に注目すると平成12年の調べでは20~29才までの層が道外に著しく流失し次いで10~19才層、30~39才層の順になっている。

要は、最近約10年間で、北海道の人口は約20万人弱減少し今後もその傾向が続くと思われる。その中で特徴的なのは本人の意思により北海道を離れる人の増加が著しいことである。さらに平成15年以降は死亡する老人の数の方が生まれる子供の数を追い越し、高齢化が進行しながら全体人口規模が縮小する状況に突入している。中でも10歳から29歳、40歳から49歳といった今後社会の消費を牽引する世代と消費の中心世代が道外に多数流失している中で消費が低迷し物が売れない状況が慢性化している点である。


全国ブロック別による将来的な人口推計比較によれば北海道の人口減少はもっとも急激かつ大きく、同様に高齢化率はもっとも高い。反面、人口減少がもっとも少ないのは沖縄であり高齢化率も最も低い。
同じ地方の一員として、所得も低く公共投資に対する依存度も低くはない沖縄だが北海道との決定的な違いは、労働生産人口の内、消費に積極的な世代である20代から40代の人口が多いこと。当然ながら出生率も高く、人口減少及び高齢化共に穏やかになる。

人口の中で生産の中心となる生産年齢人口が減少しつつも、各地域は必死に頑張り一人当たりの実質総生産を押し上げている。



民間、公共ともに用地取得や設備投資に回す支出が減少傾向にある。実質的な総支出に占めるこれら固定資本形成の割合も他ブロックに比べて低く、攻より守りに入る傾向が見て取れる。全国ブロック別一人当たり投資(平成14年度)を見ると北海道の経済体質がよく分かる。すなわち公的投資(主に公共工事)依存であり民間による投資は全国ブロック中最も低くなっている。地域経済の帳尻を公共投資によりなんとか合わせている苦しい状況が垣間見える。

さてみなさんはこんな北海道をどう思うだろうか?
私らの若い時分は「若者なら東京に行け!地方にくすぶっていてもなんにもないぞ!」だった。しかしつい最近まで、いや今でも「これからは地方の時代!」ではなかったか?そんな意味でこうした統計はある意味ショッキングですらある。しかし自覚症状のない病人ほど治療に困るものはない。たとえば北海道の抱える問題もそうした事柄を乗り越える時期に来ているのではないだろうか?統計によれば、今後、住宅を必要とする若い世代は全国一早く消滅する地域が北海道であるし、消費に対して消極的な高齢層がこれまた全国一の速度で増えるのもそうである。この事実に慄いて道外に脱出を図れば前述の統計結果を自ら肯定する結果となり.....(笑)

そんな意味で統計に向き合う勇気が今必要なのではないでしょうか?
ちなみに読売新聞の調査によるセカンドライフの移住先人気ランキングの第一位は沖縄県、第二位は北海道である。




2011年1月20日木曜日

今年取り組むこと、取り組みたいこと

みなさんお元気ですか?風邪など引いていませんか?
雪がないない...などと言っているうちに、どっさり降りましたね~。(笑)
やっぱり北海道の冬、これから一段と厳しい季節に突入です。

私はといえば、今年も相変わらず1月4日から仕事を始め、昨年から懸案だった仕事用のコンピュータの入れ替えや、22年度の長期優良住宅の実績報告作成、持ち越しの計画案件の見直しや訂正等々...おかげさまで楽しく忙しく過ごしておりました。

新しくなったのはよいが、使い勝手が分からず古いパソコンの電源を切ることがなかなかできない。(笑)前のソフトでは簡単にできていたのに??とばかりに悪戦苦闘。時流とはいえこのパソコン依存体質いかがなものか??

さて今年は情報の発信に力を入れてゆこうと思います。
北海道の建築のよさを伝えることはもちろん。

昨年完成した、「南あいの里の家」、「菊水の家」双方の燃費調査や住み心地のレポート。
市民のみなさんを巻き込んだ建築のイベントや内覧会の企画。
畑作りや庭を取り入れた北海道スタイルの暮らしの提案。
北国の平屋に挑戦。
リノベーションの可能性とは?
高い費用対効果を実現するコストデザインへの更なる取り組み。
新たな生産者の発掘と紹介。

地域に生きる建築家として、いま建築が社会にできることを分かりやすく発信したいと思います。
そしてまた今年、あらたなものづくりの機会を与えてくださいましたクライアントのみなさまと
精一杯、設計を楽しみたいと思います。(でも...どうぞお手柔らかに~/笑)

                                        山本亜耕

2011年1月6日木曜日

新年明けましておめでとうございます。

みなさん新年明けましておめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。

札幌は雪の少ない穏やかな元日でした。自宅と実家を行き来しながら今年のプロジェクトのコンセプトをあれこれ考えたり、読書をしたりしました。今読んでいるのは「デフレの正体/藻谷浩介 です。なぜ不景気は続くのか?どうしてものが売れないのか?高名な経済学者ですら難儀するこの疑問に作者は、今ならネットで簡単に手に入る統計資料を用いて次々に答えてゆきます。まさに目からウロコの連続。みなさん!バブルが崩壊した90年代前半に実は就業者数が増えていたって知っていました?統計を用いる=過去から学ぶこと、何事も丁寧にデーターを示して説明することの大切さをあらためて考えさせられました。学生さんから社長さんまで、特に建築を志す若い建築家の方々にもぜひ読んでほしい一冊です。ちょっとだけ社会が分かりますよ~。