2019年8月17日土曜日

高砂台の家 無事上棟


鍛冶川棟梁とS主任の努力で3間スパンの片流れ屋根が無事上棟しました。みなさん、いつ雨が来ても切りの良いところまではと・・・お盆もろくろく休まなかったみたいで、本当にごくろうさまです。

でも・・構造材とはいえ色味や材を吟味すると本当にきれいですねえ~。もちろん安価な構造材だからと言って目に見えるように使うことはけして安い仕事じゃありません。

材料の見立てが必要だし材料屋さんやプレカット屋さんにも自らの考えをしっかり伝えておく必要があります。

組み立てる時だって手垢が付かぬように足跡や欠けを残さぬように普段にも増して丁寧に扱う必要があります。骨組みを隠さないで表すと言うことは、設計者、大工さん、加工屋さん、材料屋さん、現場監督さん・・・みんなにとって一発勝負。よく分かっていない設計屋さんが仕上げなしだとその分安い!みたいなことを言いますけ・・・どちょっと違うよね(笑)

いい仕事はたとえ安価な材料でもその良さを十分以上に引き出すこと。その共通の思いに向かって現場で働く全員で頑張ることです。

嬉しいのは、一昔前ならこの天井見て「ログハウス」みたい!とか「山小屋風ですね」みたいな人が多かったんですけど、むしろ最近は若い方の方がずっと理解があります。

まあ~私の親の世代もそうですけど・・・貧しさゆえに煌びやかなメッキに憧れた世代から無垢の材料の持つ穏やかな魅力が分かる人たちが増えたんだと思う。

まあ私らの親世代のよくないところはすぐに家の大きさにこだわるところと仕上(表面)にばかり興味が行くこと。狭くたって豊かに家中を使って暮らせるのが今の良い家だし、不要な広さにお金を無駄使いせずにやり直しのきかないところにまずはしっかり予算配分すること。30年間北海道の家を見てきて最近特に思うところです。

先張り防湿シートを挟み込んだ根太受け。今回は一部顕しとするために根太材と共材にしてあります。


床下暖房はこんな風に床合板を敷く前に配管を概ね床下に入れてしまいます。これも繰り返し現場を行う中で確立されてきたコツの一つです。

今日はリシッツアのショパンなんていかがでしょう。
聞いているとなんだか水が流れるようだなって思う。
OP-1


新琴似の家Ⅱ 付加断熱工事

サッシにYKK430が入り付加断熱が概ね終わった「新琴似の家Ⅱ」です。屋根のタイベックと壁のタイベックは必ず連続していることを確認します。屋根の通気層に入った雨水や野地裏の結露水は屋根面を伝い壁の通気層から地面に向かって排水されるようにイメージしてタイベックの始末を確認しておきます。

タイベックで一旦外壁を全て仕上げてしまう感覚で実際の仕上げはそのタイベックを保護する感じに取り付けます。 

先張り防湿シートは今やどこの現場でも当たり前のように行う気密工法ですが、グラスウール(GW)を覆ってしまう前に壁の断熱材充填を神経質なくらい丁寧に見ておきます。

GWは安価で費用対効果に優れた断熱材ですが同時に最も使いこなすのが難しい断熱材でもあります。その理由は本来の性能を引き出すために屋内側からは防湿、屋外側からは防風+防水+透湿を丁寧に整えてやらなければいけないからです。

高価なボード状断熱材のように断熱材自体が防水性や防湿性を兼ね備えている訳ではないので本来の高い断熱性を引き出すためにはこうした屋内と屋外の補完性を必要とするのがGW断熱の特徴です。

大工さんには申し訳ありませんが、こうした断熱を本当に神経質なくらいうるさく丁寧にお願いするのには実は理由があります。

その一番は「簡単に直せないから」二番目は「部分的に良くても意味がないから」です。

このブログをお読みの方はきっと「桂岡の家」の記事もお読みになったことでしょう。「桂岡の家」が1970年当時最新鋭の暖房設備を持ちながらもなぜ半世紀にわたって改修を繰り返さざるを得なかったのか?

それは設備的には最新でもその設備を生かすために必要な家の断熱性能が非常に低かったからです。

後からそのことに気付いた建て主は、現在の品質と量に比べても遜色ない断熱を部分的に行います。

窓が寒ければ窓を、北側の部屋が寒ければ壁の断熱を追加し床が寒ければ床にも追加するといった具合です。

結果はみなさんもご存知の通り部分的な切り貼りではGWの断熱性能を引き出す上で欠かせない連続した気密性や防湿性を直すことは叶いませんでした。

そんな貴重な体験から学んだ結果、断熱性能は絶対に失敗する訳にはいかない。ということです。

上の写真は付加断熱(柱の外側に増し張りし断熱性を更に強化する目的で行う断熱)の表面に石膏ボードを貼りGW内部に吹き込む風を防止し、併せて防火性を確保している様子。タイベックはこの上に貼ります。

室内は壁に断熱材を入れる、断熱工事の真っ最中です。

表しになる材料と壁の内部に隠れる材料が正しく選別されているか?予定している納まりに金物は影響しないかどうか?外壁廻りを確認しながら内壁もしっかり見て回ります。

サッシの廻りもこんな風にしっかりとタイベック(防風+防湿+防水シート)できれいに覆ってから通気層+仕上を取り付けて行きます。

今日はMuseなんていかがだろう。