2019年6月10日月曜日

桂岡の家 外壁断熱工事その3

206による外壁の充填断熱下地がほぼ完成した「桂岡の家」の南面です。これからグラスウールを14cm充填しその上にタイベック(防風&透湿&防水)シートを貼ってから屋根面に織り上げてあったタイベックと連結します。

こちらは北側の断熱下地の様子。白色に塗られたモルタルの上から防湿ビニールを貼り、206による断熱下地を固定しました。
 
要は断熱下地でビニールごと既存のモルタルを挟み付けて固定し、工事後は筋交いとして既存のモルタル壁を再利用します。

こんな感じで縦横にモルタル外壁を固定します。

既存のモルタル外壁がビニールの向こう側に見えます。

こちらは南側の母屋貫通部。防湿ビニールも貫通してしまうのでアクリルテープでしっかり気密処理を行います。
 
いよいよ明日から外壁のグラスウールを充填します。先日お知らせしたように今の時点で大変室内は静かですが、断熱材が充填されると更にぐっと涼しくなります。
 
今日は米津玄師なんていかが

2019年6月3日月曜日

芦別の家 基礎工事 その2

「芦別の家」は現在、基礎工事が完了し建て方を待つばかりになりましたが、札幌よりも冬の寒さの厳しい芦別で必要になる、北国の基礎工事特有の工夫をレポートします。
 
写真はスカート断熱と呼ばれる工法で地中の凍結により建物が持ち上がる凍上現象を抑えることを目的に行います。
 
冬場、地面が凍結する北海道内では地域ごとに凍結深度が定められており、建物を凍上から守るためにその深さより基礎を深く設置しなくてはいけません。
 
ちなみに札幌市は凍結深度60cm、旭川市なら80cm、芦別市は70cmです。大都市圏の札幌ではコンクリートの価格が安価で、定められた深さで基礎を作ることが比較的容易です。
 
一方、地方に行くほどコンクリートの価格は急激に高騰し地方都市では凍上を安全に予防しつつもコンクリート量を減らす工夫が昔から求められて来ました。

そうしたニーズに対応する工法として北総研(北方建築総合研究所)が開発したのが「スカート断熱工法」であり、最初にマニュアル化されたのが1997年です。
 
その後、マニュアルは改定を重ねながら20年以上に渡って使い続けられている工法です。
 
これにより「芦別の家」では基礎の深さを10cm浅くすることでコンクリート量を安全に節約しています。
 
「スカート断熱工法設計施工マニュアル」http://www.hro.or.jp/list/building/koho/pdf/gijutu/skart_manual.pdf
 

基礎工事の最中に見つかった昔の暗渠用配管。電気及び上下水管の引き込みの障害となりますので撤去します。

こちらは敷地内に立てる構内電柱用の基礎。こちらはスカート断熱で浅く緩和していませんから凍結深度の深さがよく分かると思います。

このまま、内部にコンクリートを充填して基礎として使います。

埋め戻しが終わり、砂利が敷き込まれて周囲の敷地との高低差も調整された状態です。

屋根からの雨水を処理する浸透桝です。

左手前に構内電柱が立てられて建て方が始まるのを待っています。
 

2019年6月1日土曜日

桂岡の家 外壁断熱工事 その2

 
「桂岡の家」はサッシが取り付けられ断熱工事が始まりました。
 
防湿&気密ビニールを合板の上に貼り、その上からサッシのツバを被せて4周をテーピング。
 
この段階で室内に入ると以前に比べてもの凄く静かになったことに驚きます。実際は壁にグラスウールがびっしりと充填されるので音は更に静かになります。
 
今日は様子を見に来た住まい手さんと一緒に静かになった室内を確認しました。
 
外は風がびゅうびゅう・・・なのに室内から見ると無声映画のように風景の動きだけが見えて不思議な気持ちがします。

 
タイベックをサッシのツバの上に貼り付けたら、断熱下地を兼ねた4方枠を取り付け。丸三ホクシン建設さんのK棟梁のアイディアで枠の下には最初から水勾配が付いています。

出来上がりはこんな感じでタイベックはバタつかぬように四辺を折ってガラスに仮止めしておきます。もちろん最終的には壁のタイベックと一体化させるための下準備です。

下屋は野地板の傷みが進んでいたので、一旦全て取り払い新しい合板を野地板とし、上に防湿&気密ビニールを貼ったところです。

こんな風にビニール同士の重ねを充分(最低でも100mm以上)取って、建物の凹凸を覆うようにビニールを貼ります。
                              
 
こちらは断熱の下地を組み立てているところ。206でグラスウールの厚みは14cmになります。
 

北側も窓廻りの仕事が完了し、断熱下地を組むまでになりました。
 
今日は今時のフレンチポップLouaneなんていかが
 
 















野幌の家Ⅱ 外装工事

「野幌の家Ⅱ」は保護材にドブ漬けしたカラマツ材を貼り始めました。

光庭と絡むアプローチ。右側は物置です。北海道の住まいでは特に動線に絡んだ半屋外の空間作りがとても大切です。除雪労働の低減や家の出入り動線の確保、駐輪場、駐車場、庭仕事や季節に応じて履き替えるタイヤや除雪道具の置き場等々・・・
 
北海道で一般的な間取りではほぼ不足する物置や半屋外の軒の下・・・
 
そんな場所を確保しながら玄関廻りのデザインをしています。
 

車が並列で停められるアプローチ空間はきっと年間を通して大活躍すると思います。
 
今日はTrainなんていかがだろう
 

新琴似の家Ⅱ 配筋検査

本日は「新琴似の家Ⅱ」の基礎配筋検査。保険法人はJIOさんです。

今日の検査員は女性の方。質問を交えながら細かく見ていただきました。

床下への浸水を防止する止水板を確認。以前は水はけのよくない地盤の時のみ入れていましたが、現在はほぼすべての基礎工事で使うようになりました。

こんな風に床下が屋内となるところに外から水が入らないように止水板を入れておきます。まず水平面のコンクリートを流し込んだ時に止水板の半分が埋まり、次のコンクリートで防水が完成します。
 
基礎下を自由に使うために特に水は厳禁。今では基礎断熱のお約束になりました。
 
今日はSara Bareillesなんていかが?硬質な女性ボーカルと懐かしいリズム・・
 

2019年5月29日水曜日

桂岡の家 外壁断熱工事

全てのモルタルを剥がし、構造用合板を貼り付けて面剛性を確保しその上から防湿ビニールを貼った南側の壁面。壁面の奥行きが凹凸となり、1階と2階の出入りも異なるので防湿&気密ラインが単純な一直線とはならない。
 
例えば1階の下屋の上にバルコニーが置かれていたり(1階壁面に対して2階壁面が引っ込んでいる場合)、袖壁の左右で外壁の出入り寸法が異なったりといったところが要注意。
 
必ず防湿&気密ラインは連続させるように考えて作業を進めて行きます。
 
 
こちらは外壁のモルタルを残した北側壁面。土台と柱の状態を確認するために水平方向に切れ目を入れて構造を露出させます。
 
一目で見て分かるように壁の黄色のグラスウールと後から床下に詰め込まれたピンク色のグラスウールがつながっていないことが分かります。
 
壁にはきつく気流止めを詰め込んで内部で発生していた壁内気流を確実に止めた上で、新たな断熱層と気密層を既存のモルタル面の上に作って行きます。

写真を見ても分かるように断熱材本来の性能を引き出すためには、その理屈や仕組みを理解し、切れ目なく連続させることがとても大切です。
 
今だからこそ言える話しですが、断熱材単体の性能はそこそこ立派でも50年前の建物の多くはその能力をほとんど引き出せていません。もちろん施工者に悪気がある訳はなく、断熱に対する当時の無知がその原因です。
 
その後1988年から北海道は地域に相応しい仕様の住まいとして「北方型住宅」の建設と普及を始めますが、その時に最初に取り組んだのが断熱の仕組みを理解した設計&施工技術者(BIS)の養成でした。
 
当時の断熱施工の様子を見るとその理由がよく分かります。
 
 
また今までの様子を見ても明らかなように寒い家の断熱構造を入居後にそれも住みながら部分的に直すという発想がどれ程無理筋かもよく分かると思います。
 
実際、住まいにとって断熱構造とは家全体に係わる事柄であり、床だけ、居間と水廻りだけ、窓だけといった部分的に解決することがそもそも難しいものです。
 
古い北海道の家の多くが新築時に断熱工事をしているにも関わらず、後に様々な部分断熱改修を繰り返すケースが多いのも、新築時の断熱がいかに頼りないものであったかを示していますし、それは同時に当初の断熱性能がいかに重要かも今に伝えています。

このまま壁を閉じると壁内が空気の通り道になってしまいます。そこで壁内にぎゅっとグラスウールを詰め込んで空気の通り道を塞ぎます。

壁から上がっていった防湿&気密シートは軒天で水平に折れて屋根の防湿&気密シートと連続させます。
 
今日は80sで行きましょう!


2019年5月28日火曜日

新琴似の家Ⅱ 基礎工事

外気温31℃の中、始まった「新琴似の家Ⅱ」の基礎工事。敷き込まれた砂利の上に防湿ビニールを敷き、地盤の熱を遮断するようにEPS断熱材を敷き、その上に鉄筋で基礎を組み立てて行きます。
 
真っ白な断熱材の上で作業していると眩しくて目がクラクラしてきます。夏の施工を考えると黒くするわけにも行かず・・・なかなか悩ましいものです。
瑕疵担保責任保険法人の指導により基礎の底板が杭頭と接することが求められているので、EPS断熱材を円形に杭本数分切り抜いています。


こんな風に杭頭の部分を切り抜いて基礎と密着するように施工して行きます。
 
EPS断熱材の無いところが玄関ポーチや半屋外物置のように床下を埋め戻してしまう部屋が上に来るところ。対して断熱材の敷いてある範囲に屋内化された床(室内)が来ます。
 
昔と比べて明快に異なるのは家の内外の考え方が基礎工事の段階から明快に分かることです。


日陰に止めた車の温度計はすぐに30℃オーバー。最近の北海道はどんどん寒冷地域から亜熱帯化しているようです。5月からこの調子だとすぐに本州のように空調作業服が必要になるのではないでしょうか。
 
すごく暑いのでハワイアンでも聞きますか〜

2019年5月24日金曜日

野幌の家Ⅱ スパイラルダクト工事 その2

美しく配管されたスパイラルダクト125φ(125mm管)。設計に際しては梁の下端を極力揃え、そこから水平展開可能なダクトスペース高を25cm確保し、天井仕上、必要天井高の順番に設計高さを設定しました。
 
一番背の高い梁の下端でも25cmのクリアランスが確保されているので圧損抵抗の少ない100φ以上の管に防露や防振用のラッキングを施しても充分に天井裏に収めることができます。
 
安全にダクト換気を行おうとするならば計画当初から水平展開できるスペースを見込んで高さ方向の寸法決め(矩計)をするコツを意匠設計者が身に付けないと、そもそも管の通る余地のない断面計画しかできようがありません。
 
特に木造住宅において従来の矩計(高さ方向の寸法決め)の検討は階段寸法や設計者好みの階高、天井高を基に行われることがほとんどで、そこにダクトスペースという視点自体がありません。従来のように平面、立面、断面が概ね固まってから24h換気の種類を検討するのはけして良い方法とは言えないのです。
 
一般的に「建物の高さ」は各種の斜線や高さ制限、壁面の後退距離や計画可能な階段の水平距離等々と複雑に関連して決められます。一旦決めてしまうと、後から配管が通らないからといって25cm上げても支障なし!なーんてまずありません。(笑)
 
ですので計画の初期、建物の外郭を検討する時に織り込んでおかないと後でかなり悲惨なことになってしまいます。
 
そもそも配管スペースが検討されていない床下や天井裏に後付けで・・なんとか配管を収めようとすると・・・詰まり易い配管の小径化、圧損抵抗が高く、潰し易く曲げ易いアルミやビニールフレキの多用・・・等々 どんどん悪循環が重なり・・・
 
住まい手の居住後に清掃や維持管理が極端に困難なダクト配管が出来上がってしまいます。ダクト換気は管内部が汚れるのが当たり前。それが給気側なら将来的には室内空気の汚染につながりますし、たとえ排気であっても風量が落ちてモーターの負担は増えるばかりです。
 
要は本来あるべき換気用のダクト配管とはまず圧損抵抗が少なくて汚れにくいもの。もちろんそれでも経年で汚れてきますから、定期的な清掃が容易なものとなります。

ダクトによる換気はビルや住宅を問わず私たちの暮らしに欠かせないものですが住まいの断熱と同様、適切な設計手法や施工法が共有されているとは言えないのが、残念ながら実情です。 
換気機も設置スペースを間取りの計画段階から確保して、精度高く配管の位置決めを行います。国産では階間に設置して普段のフィルター交換こそなんとか行えるものの、本体の交換や整備の際には天井もしくは床を壊さないといけないものも少なくありません。
 
近年は性能的には外国製に負けないものも多いのですからこの際、階間設置という筋の良くない設計思想をスッパリ捨てて、目線の高さで簡単にフィルター交換や点検が可能な壁掛け型の機械を作ってほしいと思います。

そのためには設計に対して圧倒的な意思決定権を有する、意匠系設計者のスキル向上と意識改革が欠かせないと思います。
 
建築の現場にとっての悲劇は、そもそもの意思決定が無理筋の場合、後から修正が難しいところです。まさに配管スペースの無いところに配管せよ!と言った指示はその最たるものだと思いませんか?(笑)

意匠系設計者は普段から設備系設計者の意見をよく聞き、設計や施工の勘所を充分共有しておくこと。 くれぐれも裸の王様にだけはならないことだと思います。
 
話しは変わりますが、住まいに断熱を取り入れることで簡単に全室冷暖房が可能になった日本の住まいは今後、全国的に全館空調の方向に進むでしょう。その普及には家の各所に空気を運ぶダクト配管が欠かせません。その一方、住宅向けのダクト配管の専門職はたいへん少数なのが実情です。
 
地域によっては代理店さんや水道屋さん電気屋さんが本体の取付と一体で慣れない配管を行っているケースも少なくありません。安心できる配管のためにはルールの整備はもちろん新たな職種に対する教育の必要性が高まって行くと思います。
 
また今後は配管の清掃や修理を専門とする会社やサービスが生まれるかもしれません。そんな意味でも住まいの全館空調化には大きな可能性を感じます。
 
今日はM.W.Mなんていかが

新琴似の家Ⅱ 根掘工事

根掘りを終えた「新琴似の家Ⅱ」の敷地。地下水位が高く地盤のあまり良くない新琴似地区。断熱材を敷地一杯に敷き、その上にコンクリートで15cm厚の床(耐圧版)を作り地下水が床下に入らないようにします。

こちらが環境パイルと呼ばれる防蟻&防腐処理された木製杭。国産材の有効利用、コンクリートの削減、更には高いコストパフォーマンスの観点から最近使う機会が増えてきました。
 
敷き込まれた砂利は地下水の水圧を周囲に逃がすために耐圧版の下前面に敷き込みます。

道路側からアプローチ棟、住宅棟の順番で建設されます。

現場には耐圧版の下に敷き込まれるEPS断熱材が搬入されています。

耐圧板の下に断熱材と防湿ビニールを敷き込むことでコンクリートの床下が地盤の冷たさで結露し難いように、湿気が上がり難いように工夫します。
 
今日はフレンチポップなんていかが
https://www.youtube.com/watch?v=G5erDuKhr8Q&list=PL8qNI6-4hPDouEJDQW1A9T3841M5jHJqW&index=4

2019年5月22日水曜日

桂岡の家 壁解体工事

屋根を先行させ、雨にも心配がなくなった2019年5月22日現時。少し振り返りも含めてブログを書いています。
 
写真は屋根のルーフィング(防水)を撤去し野地板から光が入った「桂岡の家」の小屋裏。棟札が見えているが、驚くべきはその小屋裏の広さです。
 
天井の上にはこんなに面白くて大きな空間があった訳で・・・天井断熱だとこの空間を全く生かすことはできません。建築のプロでなくても、この空間を使えるようにしたり、吹き抜けとして下から見上げられるようにしたいと思う人はきっと少なくないでしょう。
 
今回の工事で屋根面に沿った断熱に変更しますから、将来的に暖かな屋根裏部屋を作ることもできるようになります。
 
まさに断熱によって今まで長い間、使えなかった空間を取り戻している訳で、空間のボリュームに関して言えば、見た目は同じでも実態的には家の隅々まで使えるようになるのですからほとんど増築に等しいわけです。

天井裏に敷かれたGWを境に下側が室内、今見えている小屋裏は空間的には存在すれど気温としては外部(室内としては使えない空間)になります。
 
平たく言えば、断熱の知識が不十分だった時代は無駄の多い空間設計が当たり前。丸々部屋、数室分の空間が小屋裏として消えていたことになります。

 
上棟式は昭和45年(1970)の8月3日行われたようです。今年で築49年です。
 
宮司は地元(銭函)の豊足神社から。余談ですが同じ年には大阪万博が開催され、2年後の1972年には札幌五輪冬季大会が開かれました。

きっと家が寒かったのでしょう。壁を解体すると年代の新しいグラスウールで数回に渡って断熱改修されていることが伺えます。
 
上の写真の向かって右側がオリジナルのアルミサッシ、左側が初期のYKKプラマードです。窓が熱の逃げ道ということだったのでしょうが、この家でも樹脂サッシに交換されている部屋が比較的多く見られます。しかし窓の性能だけ上げても、その副作用で断熱の弱い部屋では逆に結露が増えたようです。
 
アルミ箔付のピンク色のグラスウールは比較的新しいものですが、湿気の通過した後に残る黒いシミ(ダスティング)が多く見られ、壁内結露が増加した様子が感じられます。

こちらの黄色いグラスウールが新築当時のものです。奥に見える壁はきれいな黄色のまま残っています。このようにほぼ当時のまま残っている部屋は基本的に暖房をしない部屋の場合が多いです。一方暖房をしていた部屋廻りに使われたグラスウールは気密シートがない場合、壁内気流にさらされてダスティングで真っ黒になり易いです。

サッシは既存の開口部下地を極力生かしながら、全てYKK430に変更します。

実際にお住いの家を極力外から断熱改修するために、一日の作業終わりにはこのように壁の養生が欠かせません。新築の場合は内装は一番後からですが、改修の場合は既に室内は出来上がっているからです。